「・・・私・・・いろいろ手伝うから・・・あの、」
彼をベッドに寝かせた後、申し訳なさそうにそう言った。
こんなことになってピアコンを仕上げなくてはならなかった彼にものすごい時間のロスになるようなことになってしまった。
「え~? いいよ、別に・・・時間はかかるけどトイレには何とか・・・」
「とにかく。 一度私も部屋に戻って・・・」
私はいつも鍵をしまっているバッグを探ったが
「えっ????」
どこを探してもない。
「・・なに?」
「かっ・・・鍵がない!!」
コートやパンツのポケットも見たがない。
「え~~~~、どこかに落としたのかしら・・・」
もう踏んだり蹴ったりだった。
「そ、そうだ・・・大家さんに・・・」
このアパートの1階に大家さんが住んでいる。
しかし
「大家のおばちゃん、1ヶ月くらい旅行で留守にするって下の掲示板に貼ってあったよ、」
彼から冷静に言われて
「えっ!!!」
またパニくった。
「まったく、抜けてんなあ、」
彼に言われると非常に腹立たしかった。
「先生のトコにいさせてもらえば、」
「パパも1週間NYなのよっ!」
彼に声を荒げてもしょうがないのだが
もう頭の中がごちゃごちゃだった。
へ・・・
部屋に戻れない・・・・・
私はしばし呆然としていた。
まとまったお金も持っておらず、通帳やカードは自宅で。
泊めてもらえるほど親しい友人だっていなかった。
彼はそんな私に
「・・・ここにいたら?」
と言った。
「えっ!!」
このときの私はきっとものすごい顔をしていただろう。
「だからあ。 おれ、こんなでしょ? なんもできないでしょ??? 先生が帰ってくるまで。 」
彼はそれがおかしかったのか
笑いながら言った。
・・なんもできないの意味もよくわかんないけど。
私は彼がこんなことになってしまった責任も感じなくはなかったので
他に選択肢が思いつかず
仕方なくそれに同意をすることになった・・・・。
行きがかり上、絵梨沙は真尋の部屋に居候することに・・・
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