Ein Eindruck~感動(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「NYに?」


「うん。 1週間ほど行ってくる。 音楽祭の仕事で、」



父は一線を退いたとはいえ、現役のピアニストでもある。


たまに講師以外の本職の仕事で海外に行く。




「マサの様子はどうなの?最近ウチには来ないけど、」



父は支度をしながら私にそう言った。



「・・・頑張ってるみたいよ。 バイトも減らしてもらったみたいだし、」


彼のことを口にするだけで動揺する。



「そう。 私のほうにもそんなに縋って来ないし。 大丈夫なのか少し心配になってきたんだ、」



彼は


私に協力をして、と言ったわりには


確かに自分からやってくることはなかった。



部屋からピアノの音が聴こえて、


何度も何度も同じ箇所を繰り返して弾いているのを聴くと


煮詰まっているのかなあ、と思ったり。



「・・・オケの合わせまでには何とか形にしないと。 NYから戻ったら私も様子を見に行くよ、」


父はフッと笑った。




そう言われると心配になり


この日は彼がバイトの日だったので『Ballade』に向かった。



また人がたくさんだったけど、フランツが『特別席』を空けてくれた。



「何を飲む?」


と聞かれて、


「・・・うーん・・・。 気持ちが軽くなれる飲み物を、」


すると


フランツはニッコリ笑って、私の前にキレイなピーチ色の『ジュース』を置いてくれた。





彼はいつもの通りだった。


時々お客さんと会話をしながら演奏をして




そして



彼が何曲目かに弾き始めたのは


リストの『愛の夢 第3番』



私は頭の中がだんだんとぼんやりとしてきて。


頬づえをついてそれを聴いた。



なんて


優しいんだろう・・・・・



目を閉じた。



その音が身体の隅々にまで浸透してくる。


気がついたら涙が頬を伝わっていた。


理由はない。


でも、彼のその音は否応がなしに心を揺さぶり続ける。




私は彼のピアノを聴きながら


本当にすごくすごく


気持ちが軽くなって



そのまま


意識が遠のいた。



絵梨沙はやっぱり真尋のピアノを聴きたくてたまりません・・・これが意外な展開に???


My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。