「ほんと。 東洋人だと思ってナメてるんだから。 もっと言った方がいいわ。」
事務局員はエレナからの申し出だったので仕方なく真剣に練習室の空きを探してくれて、抑えることができたようだった。
「ほんと。 日本人に厳しいからな~~~、」
彼もため息をついた。
「創立祭のコンチェルト。 決まったんでしょう? マエストロに直々に見染められたって噂よ、」
「ん~~。 まあ。 でも難しくて大変、」
「私もオケに参加するから。 よろしくね、」
二人は目を合わせて微笑み合った。
慌てて階段の陰に隠れてしまった。
私が隠れることないのに。
そう思うけど二人が一緒の所を見ると胸が騒がしくなる。
彼なりに必死に練習を重ねているようだった。
バーには週2回しか行かなくなったので、それ以外は部屋か学校の練習室、父の家でレッスンを重ねていた。
あまり学校でも姿を見なくなり
少し心配になった。
ピアノの音が聞こえていたので、隣の部屋のチャイムを鳴らした。
聞こえないのか、と思い何度も鳴らしたけど全く出ない。
思わずドアノブを握るとドアが開いてしまった。
鍵、開けっぱなし・・・・
そのまま彼の部屋に入って行った。
部屋は私が片付けてから1週間しか経っていないのに
もう
足の踏み場もないほど散らかっていた。
何コレ・・・・
彼は私が来たことも気づかずに一心不乱にピアノを弾いているようだった。
もう12月だと言うのに上半身裸で・・・・・
少し驚いて帰ろうとすると、
「・・あ????」
彼が私に気付いて振り返る。
「・・・あっと・・・。 チャイム、鳴らしたんだけど・・・・。」
目のやり場に困って目を逸らした。
何だか無精ひげも生え放題で、髪もボサボサだった。
「あと・・・焼きたてのパンが売っていたから、」
と、紙袋を差し出すと
いきなり鼻をクンクンとさせて
「・・・メシ・・・・」
ゆら~~~っと立ち上がった。
えっ・・・・!!!!!
私はもう絶句してしまった。
なぜなら彼はパンツ一丁だったから・・・
エレナが真尋に協力しているのを見て、なんとなく複雑な絵梨沙は・・・
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