Ein Eindruck~感動(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

私は彼に嫉妬を丸出しにしてしまった。



同じピアニストとしてやっぱり選ばれたのが彼だということは悔しくてたまらない。




彼のせいじゃないのに。


みっともない。



私は彼の顔が見れずにそのまま立ち去ってしまった。




「ねえ、聞いた?」


レッスンの後、同じピアノ科のハンナが私に声を掛けてきた。


「え?」


「創立祭のオケのピアノコンチェルト。 あのデカい日本人の男に決まったって、」


もう噂はすでに広まっていた。



「え・・ええ。」


「なんかドイツ語もわかんなくて授業についていくのも精一杯だって話だったし。 講義にきてりゃ寝てるし。 なんでそんな人が選ばれたのかしら。」


「さあ、」


私もこのことに関してはもう何も言いたくなかった。


「エリサはフェルナンド先生の娘なんでしょ? 何か聞いてないの?」


「ううん。 何も、」


「何でもマエストロが直々に頼み込んだとかで。 それで。 彼、日本の有名な企業の社長の息子らしいんだけど、いくら積んだのかしらってもっぱらの噂よ。 日本人ってお金で人を動かすのが得意だって言うし、」


彼女は笑いながら話したが


耳を塞ぎたくなるほどだった。



「エリサもパパの力が通じなかったのねー。 気の毒に、」


彼女はそれだけ言ってスッと私の前から立ち去った。



すごく


嫌な気持ちだけが心に残った。



彼はいまだここでは『わけのわからない日本人』でしかなかったから。






「ああ。 シモンから話があってね。 私は賛成したけど、」


気になって父の元に行ってしまった。



「マエストロはあの私とのデュオを見て・・・・彼に頼もうと思ったのかしら、」


「ああ。 ピアノコンチェルトで競演するピアニストが決まらないって前に話をしていて。 私にも誰か推薦してくれないかって頼まれていたんだけど。」



私を推薦してはくれなかったんだ・・・・



その時落胆した表情をした私に気づいた父は



「あのね。 コンチェルト向きの演奏家っているんだよ。」


と、優しく言った。


「え・・?」


「絵梨沙のようなわりと個性の強いピアニストより、調和が上手なピアニストのが向いている。 マサはね、そういうのに長けていると思ったから。」



あのピアノデュオの本番を思い出す。


自分に合わせて欲しいと言っただけなのに


彼は見事に一発で合わせる事ができた。



あのエレナとの『チャルダッシュ』も。



彼と一緒に演奏すると


自分の力以上の何かが引き出される気がして。




「まあでも。 あの曲は難しいからね。 もちろん私も協力はするけど、テクニックがまだまだな彼はちょっと大変なんじゃないかな、」


父の心配は私も思っていたことだった。



「だけど。 彼の『ラフマニノフ』を聴いてみたいね。 そう思わない?」


悔しいけれど


父の言葉を否定できなかった。


真尋の才能に嫉妬をしてしまう絵梨沙。それでも彼の弾くラフマニノフは聴きたいと・・・


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