Ein Eindruck~感動(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

とうとう試験当日。



「おはよー・・・。 なんかぶっつけだなァ・・。 だいじょぶかな。」


彼は眠そうにやって来た。



「・・・私に。 合わせてくれる?」


私は徐に彼に言った。


「え・・?」


「私のペースで弾くから。 それに合わせて。」



「あ・・うん、」



彼はその意味が把握できないまま頷いているようだった。




あれだけの練習をしている彼に


もう技術的なことを言うのはやめよう。




あとは二人の息が合うのを待つだけだから。





私たちのために2台おかれたピアノの前には10人ほどの先生たちがズラっと並んで。



一瞬緊張が走ったが



「ちけーな。」



その距離がすごく近かったので、彼がボソっとそう言った。


それがおかしくてクスっと笑ってしまった。





目と目を合わせて、私の主旋律からスタートした。



今までは彼のペースに併せようとばかり思っていたけど、今日は自分のペースで自分のピアノを弾いた。



彼はすごく自然に私のピアノを包み込む。



それがすごく心地よかった。



どうしてこんなに『大きな』音を出せるんだろう・・・・



彼のピアノを知れば知るほど


そればかりを思う。





その時


ずらっと並んだ講師たちの中にいた『ある人』に私はまだ気づいていなかった。


思えばこの試験の時から彼の運命は動き始めていた。


ものすごい勢いで。




いつもテンポが合わずにいた箇所にやってきたが



今日は信じられないほどピッタリはまって。


まるで二台のピアノの音がひとつになって


オーケストラのように一糸乱れぬ音になった。




・・・・すごい・・・



鳥肌が立った。



もう自分が弾いているんじゃないような


素晴らしい演奏を聴いている観客のようになってしまった。



自分で自分のピアノに感動したことなんか


今までにあっただろうか。


どんなにすごいコンクールの時だって、弾き終えた時の達成感だけで


感動なんかしなかった。



心が震えて


涙が出そうだった・・・。




ぶっつけ本番のような状態で二人の息はようやくぴったりと合いました・・・


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