Es glitzert~きらめき(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

試験が明日に迫ったけど


彼は学校に来ている気配がなかった。


いつも一緒になる講義にも姿を見せなかった。



私はますますもう諦めの気持ちになってしまった。




この日は午前中で学校を出て、街の楽器屋で楽譜を買ったり


夕飯の買い物をしたり


ぶらぶらと過ごしていた。



「エリサ!」



呼ばれて振り返るとフランツが手を振っていた。



ここは気がつけば彼の店の近くだった。



「こんにちわ、」


私はさっき買ったパンのことを思い出して



「これ。 良かったらどうぞ。 たくさん買ってきたから、」


と彼に手渡した。



「ありがとう。 ここのは美味しいんだよね。 あとでいただくよ。」


フランツは気のいい笑顔を見せた。


「あ。 マサのところに来たの?」


続いてそう言われて



「は?」



思わず聞き返す。



「昨日も今日も。 朝から店のピアノ弾かせてくれって。 ゆうべなんか仕事のあと店に泊まっちゃったみたいでさ。 今朝来たらもう弾いてたし、」


「え・・・・」


「よく早くから店で練習してるよ。 アパートにあるピアノ、鍵盤の重さが気に入らないって。」




いくら防音を施していると言っても、隣でピアノを弾けばわずかには聞こえる。


だけど彼の部屋からはそんなにピアノの音が聞こえてこなかった。



いったいいつ練習をしているんだろうと


ずっと不思議だった。




そっと店のドアを開けると一気に


ピアノの音が私の身体を包み込んだ。


『花のワルツ』


だった。



私がドアを開けたことも全く気づかずに


彼は一心不乱にピアノを弾いていた。



その顔は


今まで見たこともないほどものすごく真剣で。


ものすごい集中しているのがわかる。




「いっつも。 弾き始めると周りが見えなくなっちゃうみたいでさ、」


後ろからフランツがそう言った。



彼がひとりで弾く『花のワルツ』は素晴らしかった。


私のピアノなんか必要としないほど。



私と一緒に弾くことで


彼のピアノまで殺してしまっているんじゃないかと



今までピアノだけは人に負けたくないと思っていた私が


こんな風に思うだけでも信じられない。



とうとう


声がかけられなかった。



真尋はフランツの店で必死に練習をしていました・・・


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