Es glitzert~きらめき(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

それでも少しずつ彼との息も合ってきているのがわかった。



「あ~~~、すんげえ疲れた。 集中しすぎたな~~、」


彼は練習室を出たところで肩をグルグルと回した。



「それだけできるなら最初からちゃんとやればいいのに、」


思わずグチりたくなった。



「ほらよく言うじゃん。 ええっと・・・『ノウあるタカはツメをかくす』?だっけ? 」


「よく言うわよ・・・・」


「ねえねえ『ノウ』ってさ、『脳ミソ』のこと? 『ノウあるタカ』って頭がいいってこと?」



また意味不明なこと聞いてくるし。



「・・『ノウ』は『能力』の『能』じゃないの・・・? よくわかんないけど、」


バカらしいけどまともに答えてしまった。



「へー、そうなんだあ・・・。 って、『ノウリョク』ってどう書くんだっけ???」



もう答える気も失せた。




そこに



「あ、マサ!」


一人の女子学生が彼に声を掛けた。



「おう。 来てたの?」


「ええ。 室内楽の練習で。」


背の高いこの美女は音楽院内でも有名人だった。



エレナ・ヴィッツ



ヴァイオリン科の首席で、国際コンクールでも優勝するくらいの演奏家だ。



「パートナーと息が合わなくて。 ・・・あなたに振られちゃったから、」


彼女は笑った。



「・・フラれた??」


思わず反応してしまった。



すると彼女は私に気づいて


「・・・ああ、ピアノ科のフェルナンド先生の娘さんね。 この前のコンクールでも優勝したっていう・・・」


私のことも知っているようだった。



「そうそう。 彼女とピアノデュオで試験受けることになってさあ。」


彼は明るく言った。



「へえ~~~」


彼女は失礼なほど私をじーっと見た。



「彼に室内楽一緒にやらない?って申し込んだのに。 あっさり断られちゃって。 そういうことかあ、」


エレナは思わせぶりにそう言った。



「先生が。 やりなさいってゆーから。」



彼がまるで父から命令されて仕方なく自分と組んだ、みたいな言い方をしたので



「こっちだって。 別にあなたとなんかやりたくなかったわよ。 ほんっとパパったら面倒なことを私に押し付けて、」


思わず憎まれ口を叩いてしまった。



「私、前に『Ballade』に友達と行って。 彼のピアノを聴いたの。 ウチの学生だって言うからびっくりして。 一緒にやりたいってずっと思っていたのに、」


彼女も彼のピアノの不思議な力に引き込まれたようだった。




「ねえ。 もう終わったの? これから食事でもどう?」


彼女は私の存在を無視して彼にだけそう言った。


「メシ? うーん・・・」


チラっと私を伺ったので、


「・・じゃあ。 あと3日しかないんだからちゃんとやってよね。」


何だか腹立たしくなってそのままその場を去ってしまった。



そうです、なんだか腹立たしいのです・・・


My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。