『これから真太郎にとって大変なことが山ほどあるだろう。 そんな時きみがそばにいてくれたら。 何も心配をすることはないから。』
あの日
北都から言われたことを思い出した。
いつだって
社長は真太郎のことを思い。
南は思わず涙が零れ落ちてしまった。
「私には・・・これまでの社長とあなたのことはわかりません。 だけどおっしゃっていました。 『自分は無我夢中でここまで仕事をしてきたけれど、いつかは仕事もできなくなることもある。 そのあとのことを思うとこれでよかったのかとも思う。』と。 あなたにたくさんの困難を与えてしまうことを本当に心配をされていたのかもしれません、」
お父さん・・
真太郎は父の姿を思う。
物心ついたときから仕事ばかりで
遊んでもらった記憶もほとんどなく。
普段から無口で父とはいえ非常に近寄りがたかった。
高校生の時に東大を受験するかどうか悩んだときに父は意外なことに自分にアルバイトをすることを勧めてきた。
それが何の解決になるのか、その時はわからなかったが
仕事をすることの大切さを教えたかったのかもしれない。
その通り、今まで何不自由なく生活してきた自分にとって働いてお金をもらうことが
どんなに大変なことかをそこで学んだ。
そして
そこで南と出会った。
先のことをよく考えている父は
ひょっとして自分と南を引き合わせるつもりで彼女に同じ職場を紹介したのか、とも思え。
だとしたら
仕事人として以上に
父はすごい。
そして
どれだけ自分のことを想ってくれたのだろう・・・・・。
まるで父からかけられた魔法のように
南と出会ったおれは
彼女の生きることへの貪欲さや仕事への意欲。
全てに感化されて、東大を受験する道を選んでホクトにも入る決心ができた。
「・・真太郎・・・」
南に声を掛けられるまで
涙がこぼれているのに気づかなかった。
全ての想いが溢れて
止まらなかった。
父の愛情に胸が熱くなる真太郎。 南との出会いもすべて・・・
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