高宮の退院も明日に決まった。
「そっか。 生まれたんだ・・・。」
昼休み、夏希は萌香のことを伝えたくて、高宮の病室にやってきてしまった。
「うん。 南さんがね、ちょうど居合わせて。 ずうっとついてたんだって。 は~~~、あたしも早く赤ちゃんと栗栖さんに会いたいな~~。」
夏希はもうワクワクが顔に出ていた。
「なんか。 おれが入院している間に・・いろんなことがあったなあって、」
しみじみしてしまった。
「そーだね・・・。 あとは。 早く南さんが戻ってきてくれるといいんだけど、」
夏希の言葉に
「・・早く仕事に復帰して。 専務の手伝いをしないと。」
高宮は急に現実に戻ってしまった。
「あ、ダメダメ。 お医者さんもあと1週間は自宅で療養するようにって言ってたし。 ウチに戻ってくれば、ほんっとあたし何でも隆ちゃんの面倒みちゃうし!」
夏希はそう言って満面の笑顔を見せたが
「・・なんかそれも心配なんだよな、」
高宮は笑ってしまった。
そのころ
斯波は。
台風は過ぎ去ったものの、まだ新幹線のダイヤが混乱し
切符さえ取れない始末であった。
あ~~~~!
もう!
走って帰りてえ・・・。
萌香に会いたい気持ちと。
生まれてきた我が子に会いたい気持ち・・・
って。
おれの子かよ。
ふっと我に返りそう思ってしまった。
なんか
ピンとこないけど。
どんな顔して・・・対面するべきか。
今さらながらうろたえたりもしていた。
そうだ、名前も考えないと!
ぜんっぜん忘れてたし。
子供が生まれるっていうことはわかっていても、実感が沸かなくて
名前なんか考えてすらいなかったし。
大丈夫かな・・おれ。
帰りたいけど帰れないというジレンマの中、余計なことまで考えてしまう斯波だった。
高宮も退院が決まり、そして斯波も『お父さん』になった自分にしみじみし・・あとは南のことだけが心配ですが・・・
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