Live for love(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「のど、かわかない? 水、」


南はコップの水をストローで萌香に飲ませてやった。



「・・すみません・・・」


その時、また陣痛の波が来て南の手をぎゅっと握った。



「ほんまに。 苦しいなあ・・・。」


彼女の額の汗を拭ってやった。



「・・でも・・もうすぐあの人の子供が・・・抱けるって・・・。 それが、嬉しいんです、」


萌香は苦しそうに息をしながら、少しだけ微笑んだ。



「萌ちゃん・・」



「あたしは・・・こんな人並みの・・幸せなんか手に入れることなんかできないって、思ってましたから・・・。」



目を潤ませる彼女に



それまでの彼女の人生を思う。



人を愛することさえ。


きっとなかったんだろう。


愛することを知らないなんて


人として生まれてきて、誰でもできそうなことが


彼女はできなかった。



生きることに精一杯で、自分の身体をお金に変えて。



南は声も出さずに必死に耐える萌香の手をぎゅっと両手で握り締めた。



女性にとって愛してる人の子供を産むことが最大の幸せにちがいない。



あたしには


それができなかった。



何度も泣いたけど


そのたびに真太郎だけがそばにいてくれたらいいって


そう言い聞かせて。



こうして苦しんでも最愛の人の子供を産もうとしている萌香が本当にうらやましく。



「・・南さん・・」


萌香は小さな声で南の名を呼んだ。


「ん?」


「あたしたちの・・・幸せは。 こうしてみなさんに出会えたことです。 ・・南さんとも。 もう・・・誰が欠けることなく・・・ずっとずっと・・・側にいてほしい・・。 あたしたちは・・・みなさんのおかげで・・幸せになれたんです・・」




そう


あたしたちだって。



南は自分と真太郎のことを思い出す。



自分たちだけではなくて、たくさんの人達のおかげで幸せになれた。




台風がだんだんと関東に近づいているようで、窓の外を見ると雨風が強く吹きつけている。



時計は深夜2時を指していた。



真太郎は眠ることもせずに、腕組みをして廊下のイスに座って待っていた。



「萌ちゃん、苦しいだろうに声も出さずに堪えてるの。 ・・ゆうこなんかもう・・めっちゃわめいて大変やったのに、」


南は戻ってきてそっとそう言った。



「・・・たくさん。 つらい思いをしてきた人は。 本当に苦しくてもなかなか泣いたりわめいたりできないんだよ、」



真太郎はふっと微笑んだ。



「なあ、・・聞いてもいい?」


南は神妙な顔で真太郎に問いかけた。


「え・・・?」



ゆっくりと顔をあげた。



萌香は苦しんでいますが、南は愛する人の子供を今産み出そうとしている彼女が羨ましく思えます。

そして・・・


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