Live for love(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もう夜遅くなり病院の廊下はシンとしていた。



「こんなことになって。 たくさんの人達にたくさんの言葉をかけてもらった。 志藤さんや白川さん。 真尋や・・・陸にも、」



真太郎の声だけが静かに響く。



「・・陸?」


南は首をかしげた。



「今朝。 会社に来たよ。 『姉ちゃんは本気じゃないから、別れないで下さい』って。 わざわざ、」



ふっと笑った。



「・・よけいなことを、」


南は少しふてくされた。



「久しぶりに会ったけど、何だかすっかり貫禄ついたな~~って。 もう立派な一級建築士さんだし。 仕事もたくさんさせてもらえるだろうし。 ほんと、自分の弟みたいに思ってたから。 真尋なんかおれに勉強を教わったりするの、すんごく嫌がったし、真緒だって。 でも、陸は本当に一生懸命に勉強してたし、大学をちゃんと出て南に迷惑をかけないで生きていきたいっていうのがヒシヒシと伝わってきたし、」



「ほんま。 陸が一人前になれたのは、真太郎と社長のおかげやん。 あたしはなんもしてへんし、」



「ううん。 南のためにって・・陸はずっと思っていたし、南だって陸のためには何でもしてあげたいって・・あの頃は必死だった。 陸はおれたちの願い全てを背負って、頑張ったんだ。」




昔のことを言われると


本当にジンとくる・・・




南は真太郎に涙を見られるのが嫌で背を向けた。




「も・・萌ちゃんの様子、見てくるし、」



また陣痛室に戻ってしまった。




「苦しそうやな、大丈夫か? 腰、痛いやろ。 さすってあげる。」


さらに陣痛が激しくなってきた萌香の背中と腰をさすってやった。



「・・す、すみません・・」



「もう、志藤ちゃんのヨメのゆうこの出産に何度つきあったかなあ。 けっこう助産師とかにもなれるかもってくらい、陣痛くると痛いとこもわかるねん、」


南は笑った。



「・・・専務は、」


萌香は息を荒くして南に向き直った。



「・・・廊下にいる。 時間かかるから帰ったらって言うたんやけど、」


「・・お願いします。 もう一度話し合ってください・・あたしは、大丈夫ですから、」



「・・・ん。 わかってる。 萌ちゃんは余計なこと考えないで。 元気な赤ちゃん産むことだけ考えて。 それはあたしの願いでもある。」


南は萌香の手をぎゅっと握り締めた。





「うん。 そーなの。 今病院・・・。 まだちょっとかかるかなあ・・・。 まあ、おなかの赤ちゃんは元気みたいなんやけど、」


南は志藤に連絡をした。



「栗栖のお母さんに連絡したんか?」


志藤は心配そうに言った。



「そう思ったんやけど。 萌ちゃんが生まれてから連絡してくださいって言うもんやから。 ・・けっこうまだまだ普通の母子みたいには過ごせへんのかなあって。 ま、あたしついてるし、」


「そっか・・・。 んで? ジュニアも一緒なの?」


「うん。 なんか知らんけど。 なりゆきで、」



南はまだ廊下の椅子に座ったままの真太郎をチラっと見た。



「ま、それも運命や。 ちゃんともう一度心の中の全てをさらけ出して話しするんやな、」


志藤はふっと笑った。



萌香の出産が二人にとって何か追い風になればいい、


そう思った。




萌香のお産とともに、二人は出会ってからのたくさんのことを思い出します・・・


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