「あ・・・」
立ち上がった瞬間、萌香は一瞬ガクンと力が抜けた。
足元に何かが伝わる感触があった。
「え・・・?」
南は彼女の足元が濡れているのに気づく。
「これって・・・・、えっと・・破水じゃない???」
「破水・・?」
萌香は苦しそうにおなかを摩った。
「ヤバいって! どっ、どーしよ!! びょ、病院・・・」
南は慌て始めた。
萌香は何とか病院に電話をすると、すぐに来るように言われた。
「救急車呼ぶから!」
慌てる南に、
「・・救急車は・・大丈夫です。 タクシーを・・ ここから病院はすぐです、」
萌香は苦しそうに言った。
「えっと! タクシーって・・どーやって呼べばええねん!」
南の方がパニックだった。
「あ~~! もう! ちょっと待ってて! 今すぐそこで捕まえてくるから!」
痺れを切らして南は萌香をソファに寝かせて、部屋を飛び出した。
外は台風の余波で雨風が強くなっていた。
そんなこともお構いなしに南は傘もなしに外に飛び出す。
その時
「・・・南?」
傘を飛ばされないように両手でしっかりと持ちながら歩いていた真太郎が声をかける。
「・・・真太郎・・・?」
南は呆然とした。
「・・どう、したの? あわてて。」
彼にそう言われて我に返り、
「は、早く! タクシー呼んできて! 萌ちゃんが大変なの!」
縋るようにそう言った。
「は・・・? タクシー? 栗栖さんが??」
いきなりそう言われてわけがわからなかった。
「いいから! 早くタクシー捕まえてきて!!」
「大丈夫?」
真太郎が捕まえてきたタクシーに南は萌香を抱え込むように乗り込んだ。
「・・はい、」
破水の量はたいしたことはなかったが、なんだかおなかの張りが強くなったようで、萌香は大きく息をしておなかを摩った。
「今日はこんな天気で道も空いています。 すぐ着きますから、」
助手席に乗った真太郎は彼女を安心させるようにそう言った。
真太郎は南に会いに来ましたが、思いもよらずそこでは萌香が産気づいていて・・・。
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