夏希は翌日、高宮に言われたとおりにお昼には病院にやって来た。
「は~~~、もう手紙書くの昨日も夜中までかかっちゃって・・」
夏希はその続きを病室でやろうと紙袋持参だった。
「ごめんな。 夏希ばっかり忙しい思いさせて、」
高宮は申し訳なさそうに言った。
「だいじょぶ、だいじょぶ。 あたしが言い出したことだし。」
と、ニッコリ笑った。
高宮はベッドのリクライニングを起こした。
「え、起きて大丈夫なの?」
「うん。 先生がね、本くらいは読んでもいいって。」
「そっか。 よかったね。 なんか持って来て欲しい本あったら言って。」
そして高宮はサイドボードの引き出しから小さな箱を取り出した。
「座って。」
と、夏希に横のイスに座るように言った。
「・・?」
何かと思い彼の言うとおりにすると、高宮はその箱を開けた。
「え・・・」
それはペアのマリッジリングだった。
本当なら
今日は結婚式だった。
「・・これだけ恵に宝石店に取りに行ってもらったんだ、」
「隆ちゃん・・」
高宮は女性用の方を手にして、そっと夏希の左手をとった。
式で交換するはずだった指輪。
彼女の左手の薬指にはめた。
夏希は少し驚いたように高宮を見た。
「じゃあ、これは夏希がして、」
と、自分の指輪を彼女に手渡した。
「う・・うん、」
もちろん高宮の、いや男性の指に指輪をはめるだなんて初めての経験だった。
何だか緊張してしまった。
というか。
今、ここで高宮が指輪の交換をしようと言った意味がよくわからずにいた。
式はいつになるかわからないが延期になった。
その時までこうすることだってないと思っていた。
高宮は自分の指にはめられた指輪を愛しそうに見つめて、
「ほんと。 ごめんな、」
ぽつりと言った。
高宮は病室で夏希と指輪の交換をします・・・。
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