Close your eyes(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

真太郎は少しだけ寂しそうな笑顔を見せた後、スッとまた病室を出て行った。



「真太郎、」


南はあわてて彼を追いかける。




もう彼の背中がたまらなく寂しくて。




「待って、」


南は真太郎の腕を取った。




南のことも

父が思い出したのだ、とわかり



真太郎はもう精神的に参ってしまった。




「お義父さんは・・まだまだ治療の途中やん。 真太郎のことを忘れてしまったんやなくて! 少しずついろんなこと、思い出してる途中やねん!」


彼の前に回り込んで必死に言った。



彼は


まったく輝きを失った目で。




「・・だから。 もういいから、」



そこに意識がないように言った。



「いいから、やなくて! もう少し待ってあげて。 あの・・社長が、お義父さんが、真太郎のことを忘れるわけないやん!!」




そこに、ゆかりと真緒が出くわした。



「南ちゃん・・・」




「だから! あたしたちも・・・・もうちょっと頑張ろう・・・。 今は仕事のことも・・・」



その言葉に


真太郎の心の中の何かが音を立てて壊れていった。





「・・・もう・・・」



うつむいてそうつぶやいた。



「え・・?」




「頑張れないよ!!」



びっくりするくらいの大きな声だった。



「・・真太郎・・・」



南は大きな目を見張った。




「・・何をどう頑張ればいいんだ!! おれは結局ひとりじゃなんにもできなくて!! 志藤さんや・・みんなの力を借りて、ようやく何とかなってるし!!  今まで何のために必死に頑張ってきたんだ??  大学に入ってから・・ずっとずっと親父と仕事して!  いや、おれは子供のころから親父の後をずっとずっと追いかけてきた。 周囲もそれを期待して! でも、自分ならその期待に応えていけるって・・・・思ってた!  おれは・・・親父にとって・・なんだったんだ・・・」



真太郎も流れてくる涙をぬぐおうともしなかった。



ゆかりも真緒も呆然と立ちつくす。




「・・もう・・何を頑張ればいいんだ! これ以上おれはどう頑張ればいいんだ!」



真太郎は我を失っていた。



「・・真太郎、」



南は彼の腕をぎゅっと握った。



「・・・南に何がわかるんだ! もう・・・おれのことなんかほっとけ!!」



そう言って、彼女の手を振り払い真太郎は足早に歩いて行ってしまった。





なにがショックといって。



真太郎が大きな声で恫喝する姿を初めて見た。


それは母親であるゆかりでさえも、だった。




とうとう真太郎がキレてしまい、そんな彼の姿に南も大ショックですが・・・



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