Fine Tomorrow(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

朝から

頭の中がゆらゆらとゆれていた。



「どうもありがとう。」

長野新幹線のホームまで夏希は彼の荷物を持ってやった。


もう新幹線がホームに入ってきている。


「正月から出かける人もあんまりいないから、空いてるね。 ありがとう、荷物。」

と高宮は手を出してその荷物を肩に引っ掛けるようにした。


「大丈夫、ですか?」

夏希は彼にそう言った。



色んな意味で。

大丈夫なのだろうか、とだんだんと心配になってきた。



長野では

妹の結納というめでたい席でありながら、彼にとってはあまり居心地のよくない場所なのかもしれない。


足にギブスをして

痛々しい姿で。

それもまた心配な気がして。



発車のアナウンスが入る。



「じゃあ、」

高宮は杖をついて、乗り込んだ。


「あの・・」


「え?」




「帰って・・・きますよね?」




高宮はそんな彼女の言葉に、



「ウン、帰るよ。 絶対に、帰ってくる。」

にっこりと微笑んだ。



発車のベルと

その笑顔に

夏希の心の中のスイッチがふっと入ってしまった。




高宮への気持ちが

どんどん

どんどん溢れる。



ドアが閉まる瞬間。



夏希は何かに背中を押されるように新幹線に乗り込んでしまった。






「・・・へ・・???」





びっくりしたのは

高宮だけじゃなかった。


閉まってしまったドアの音で夏希はハッとした。




え?

あたし、なに乗っちゃってんの???



「えっ!?」




後ろの窓にへばりついて動き始めた景色を確認し、自分の状況を把握した。



「どっ・・・どうしよう!」



パニくる夏希。

唖然とする高宮。


「どっ・・・どうしたの??」

ようやく声が出た。



「わ、わかんない。 何だか・・何だか、知らない間に体が動いちゃって・・・・」



そう

この前と同じ。







ひょっとして

おれのことが心配で?



高宮はようやく冷静にそう思えた。



まだオロオロする彼女の姿がおかしくて、ぷっと吹き出した。


「今日は空いてるよ。 大丈夫、席くらいあるから。」


「え・・・」



夏希は高宮を見た。



「一緒に行こう。 長野へ。」



優しく微笑む彼を。



高宮の言葉にボーっとしていた夏希だったが、すぐにハッとしてバッグから財布を出す。


「って言うか! あたし5000円しか現金持ってない!」

情けない財布だった。


「いいよ。 そんなのおれが払うから。」

高宮は笑って、車掌に話をして切符代を支払った。


「す、すみません。」

夏希は恥ずかしくて顔が上げられなかった。




ほんっと

何も考えずに

あたし、なにやってんだろ。

心底情けない。



「・・嬉しかったよ。」



「え・・」



「まだ・・別れたくなかったから、」



そんなことを言われて。

もうめちゃくちゃ恥ずかしい・・・。



「おれのこと、心配してくれたの?」


「は、はあ・・まあ・・・。 でも! 行ったってどーにもなんないし! 妹さんの結納なのに!」

現実がどんどん見えてくる。


「気にしなくていいよ。 結納は本家があるからそこですることになってるけど、うちの家族もホテルだもん。 加瀬さんにもホテル取ってあげるから。」



「えっ!」



夏希はまた過剰に反応してしまった。



「べ、別々だよ、もちろん・・」

慌てて付け加えた。


「な・・何しに行くんでしょう・・あたし、」

自分にも問いかけた。



またそれがおかしくて。

高宮は笑ってしまった。



「誰に言ってるの、ソレ・・・」



「さあ・・・」



そうこうするうちに新幹線はどんどん長野に向かう。



夏希はまたしても自分でも不可解な行動に出て、とうとう長野まで行くことになってしまいました・・

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