「ひよっこ」第53回~私たちがずっと忘れないでいれば、工場はなぐなんない | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「ひよっこ」 第53回
第9週 「小さな星の、小さな光」
私たちがずっと忘れないでいれば、

工場はなぐなんない

 

 

豊子) やだ。やだ、絶対やだ!
    やだ…やだ…やだ。
    やだ…やだ…。
    絶対やだ~!


お父さん…。
豊子が…豊子が…。

 

**********

 

愛子) どうしたの?

幸子) 中に豊子が。

男性) おい、どうなってんだよ!

松下) ちょっと待って! お願いします。

男性) こっちも仕事でやってんだよ。

    何時までに運ぶっていうな。

松下) 分かってます。

    ちょっとだけ待って下さい。

(男に頭を下げる松下)

幸子) 豊子どうしたの? 開げで。

愛子) 豊子ちゃん、どうしたの? 突然。

    愛子さんと話そう。ね?

    開けて、出ておいで。

みね子) 豊子。どうしたのよ? あんた。

時子) 豊子。お願い、開けて。

幸子) 豊子開げで。こんなごどしたって…。

豊子) わがってる。わがってるよ、幸子さん。

    こんなことしたって、何にもならねって

    のはわがってる。わがってるんじゃ!

幸子) じゃ、どうして?

豊子 しゃべりたいんだよ。

   嫌だってしゃべりたいんだよ。

   誰にがは分かんねけど、おれは嫌だ。

   みんなと一緒に、働きてえ。

   そうやってしゃべりてえんだよ。

   おれは今まで、一度だって嫌だって言っ

   たことはねえ。高校さ行げねえって、両

   親から言われた時も、悔しかったし、悲

   しかったし、何で何でおればっかりって

   思ったけんど…。でも嫌だとは言わな

   がった。わがったって言った。でも嫌だ。

   これは嫌だ。意味がないがもしれない。

   バカだって思うがもしれない。時間の

   無駄だと思うがもしれない。でも、おら

   は嫌だって言いたい。こったの嫌だ!

   最初は、心ば開けねがったけど、時子

   さんがさ、「もういいでしょ」って。「もう

   意地張らなくていいでしょ」って。うれし

   かったんだ、おら。うれしかったんだ…。

時子) 豊子…。

豊子) ここは、おらが本当の自分でいられ

    る所なんだ。今までそったな所はねえ。

    だからこの工場で、乙女寮で、仲間た

    ちで、一緒に笑って、一緒に泣いて…。

    一緒に悩んでくれて…。そんなの初め

    てだったんだ…。初めてだったのに…。

    なして? なして? なして、みんなと一

    緒にいちゃいけねえの? なしてここで

    働いではいげねえの? なして?

    (すすり泣き)

    何言ってんだか、自分でもわがんねえ

    よ。バカだと思うじゃ。バカでいいじゃ…。

    (すすり泣き)

みね子) 豊子…。

愛子) 分かった。分かったよ、豊子。

男性) 悪いけどな。もう、時間だ。開けないん

    だったらドア壊しても運ばせてもらう。

松下) ちょっと待ってくれと言ってるんだ!

    あなたたちだって、

    あの子と同じように働く人間だろ。

    分からないか? あの子の気持ちが。

    中学出たばっかりの、女の子。

    たった一人で親元離れて、初めての

    職場なんだ。なくなるのが嫌だってい

    う気持ち、あんただって分かるだろ?

男性) そう言われてもな、困るんだよ。

    俺たちだってそんなことしたかねえよ。

    でもそれが仕事なんだよ。

(頭を下げる松下)

愛子) 大丈夫。豊子ちゃんは自分で

    出てきます。大丈夫。

    豊子ちゃん。壊されちゃうよ。

    みんなで毎日通った、この扉。

    そんなの嫌でしょう?

みね子) 豊子。私だって嫌だよ。

     大好きだったから。そこが。

     自分の席に座って、仕事すんのが

     大好きだった。最初は全然できな

     かったけど、でも頑張って、負けな

     かった場所だからさ。でもね、豊子。

     悲しいけど、なぐなんないよ。

     なぐなんない。私たちがずっと忘れ

     ないでいれば、工場はなぐなんない。

     ずっと。ずっとなぐなったりしないよ。

     そうでしょ? 豊子。

     それにさ、私たち決めたでしょ?

     最後まで笑っていようって、

     それが私たちらしいねって。

     約束したでしょ? 違う? 豊子。

男性) 悪いけど、もう勘弁してくれ。おい!

(もめる声)

男性) 分かるけど! 分かるけど!

(鍵を開ける豊子)

(戸が開く音)

(豊子にしがみつく澄子)

澄子) このバカぁ! このバカがぁ!

豊子) バカにバカって言われたくねえ!

澄子) おれがバカなら、おめえは大バカだ!

豊子) んだな。

(すすり泣き)

澄子) バガ!

(豊子の頭をたたく澄子)

時子) 豊子…。

(豊子を抱きしめる時子)

幸子) ほんとにもう!

愛子) やれやれ。豊子ちゃんも世話が

    焼ける子だったんだねえ。

豊子) すみません。

(豊子のお尻をたたくみね子)

みね子) こら!

豊子) 痛え!

みね子) 今いい音したねぇ。

(笑い声)

澄子) こら!

(豊子のおしりをたたく澄子)

豊子) なにすんだ、おめ。

 

お父さん…。

豊子の小さな反乱は、

時間にしたらほんの何分かのことで、

歴史に残るようなことでは

ないのかもしれないけど、

確かに、今ここで起きた事件です。

私の歴史年表では、

とっても大きな出来事に、なると思います。

いつか、みんなで笑い話にしてやろうと。

何度でも笑い話にしてやろうと思いました。

 

**********

 

(トラックに積み込まれるベルトコンベヤー)

男性) あっ、じゃあ…。

愛子) ご苦労さまです。

    よろしくお願いします!

松下) よろしくお願いします!

一同) よろしくお願いします!

時子) すみませんでした。

(男たちに頭を下げる一同)

(頭を下げる男たち)

男性) さっ、行こう!

男たち) はい!

(ラジオを抱き、頭を下げる一同)

愛子) さっ、おなかすいたね。

    和夫さんのごはん食べに帰ろう。

    今日は最後だから、カレーライスだよ。

    通いの子も特別に入っていいって。

    さっ、行こう!

一同) はい!

(愛子と共に食堂に向かう乙女たち)

(乙女たちの後ろ姿に頭を下げる松下)

 

**********

 

<食堂>

(幸せそうにカレーライスを食べる乙女たち)

 

お父さん…。

お父さんへの、心の手紙では、どうしても

私の近くにいる人の話になってしまうけど、

ここには、大勢の乙女たちがいました。

みんなそれぞれに、私とおんなじように、

物語があります。何だかそれって、

すごいなぁと思います。そんな物語が、

ものすっごくたくさんあるのが、

東京なのかなって、思いました。

**********

今日もまた、いっぱい泣いた。泣かされた。豊子が

かわいくてかわいくて、そんな豊子の乱が切なくて。

しゃべりたいんだよ。
嫌だってしゃべりたいんだよ。
誰にがは分かんねけど、おれは嫌だ。
みんなと一緒に、働きてえ。

そうやってしゃべりてえんだよ。

 

ずっと「いい子」だった豊子がしゃべりたい気持ち。

思いを言葉にしたくなったその気持ち。どうにもな

らないと分かっていても、言葉にすることは無駄じ

ゃない。本当はみんな思ってる。本当は嫌だって。

 

でも嫌だ。これは嫌だ。

意味がないがもしれない。
バカだって思うがもしれない。

時間の無駄だと思うがもしれない。

でも、おらは嫌だって言いたい。

こったの嫌だ!

 

わかってるけど、大人は言えない。言っちゃいけ

ないと我慢する。言えるのは、まだ子供の豊子。

きっと、乙女たちは救われた。松下も、愛子も…。


ここは、

おらが本当の自分でいられる所なんだ。

今までそったな所はねえ。

だからこの工場で、乙女寮で、

仲間たちで、一緒に笑って、一緒に泣いて…。 

一緒に悩んでくれて…。

そんなの初めてだったんだ…。

初めてだったのに…。なして? なして? 

なして、みんなと一緒にいちゃいけねえの? 

なしてここで働いではいげねえの? なして?

 

業者を説得する松下さんの「中学出たばっかり

の、女の子。たった一人で親元離れて、初めて

の職場なんだ」、というセリフに、遠い日の自分

の姿が重なって、また泣けてくる。「分かったよ、

分かったよ」と受け止める愛子さん。松下さん、

そして愛子さんの大人のやさしさに泣けてくる。

 

悲しいけど、なぐなんないよ。
なぐなんない。

私たちがずっと忘れないでいれば、

工場はなぐなんない。ずっと。

ずっとなぐなったりしないよ。

 

うん。なぐなんないよ。ずっと忘れないでいれば、

自分が覚えていれば、いつだって心の中に、大

切な場所はある。大切な人はそこにいるから…。

 

豊子に、一番にしがみつく澄子。バカと言い合え

る、大切な友達。愛子さんの「やれやれ」が愛に

溢れてて、「世話が焼ける子だったんだねぇ」の

セリフに思わず、「お母ちゃん」と叫びたくなった。

やっぱり、東京の姉…じゃなくて、お母さんだね。

 

松下さんと業者さんたちがもみ合う中、スローモ

ーションになった瞬間、金八世代は、「世情」と思

い浮かべたはず。でも岡田脚本は、ひたすら優

しかった。機械を運び出す男たちも、それもまた

彼らの仕事。悪い人たちじゃないんだよね。彼ら

に率先して詫びを入れる時子。頭を下げる乙女

たちに、頭を下げて去って行く男たち。ことさらに、

人を悪者に描かなくても、思いは伝えられるのよ

ね…。人にはそれぞれの立場がある。それだけ。

松下さんの乙女たちへのお辞儀にもう、涙涙…。

 

みね子の心の手紙で言っていたように、あの場

にいた乙女たちそれぞれに、物語はある。乙女

たちの中の人たちにも。役名があったとしても、

覚えてもらえるほどの出番は、なかっただろう子

たちにカメラを向けるやさしさが嬉しくて、泣ける。

 

乙女たち、ご安全に~! くじけずにガンバレ~。



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