「ひよっこ」 第35回
第6週 「響け若人のうた」
初めてのお給料日とピンクのブラウス
みね子) 一生懸命捜してくれてる綿引さんには
悪いけど、このまま、見つかんない方が
いいなって。心のどっかで思ってで…。
愛子) ちゃんと毎日を頑張って生きてないと、
いいことはやって来ない。神様がいるの
かどうか知らないし、いたとしても、本当
にみんなのこと平等に見てるのかなって
思うけどね。でも、ちゃんと頑張ってない
と、神様は気づいてくれない。私はそう
思う。私が神様だったら、つらいことあっ
ても頑張ってる人に、幸せをあげたいな
って、思うしね。
みね子) (頷く)
**********
(コーラス)
一同) ♪恋はやさし 野辺の花よ
夏の日のもとに 朽ちぬ花よ
熱い思いを 胸にこめて
疑いの霜を 冬にもおかせぬ
わが心の ただひとりよ~
**********
お父さん。
何だか今日はみんな、
ニコニコしています。
なぜだと思いますか?
今日は、お給料日なのです。
私にとって、初めての、
お給料をもらう日です。
松下) こらこら、仕事中だぞ!
「お給料出たら何食べる?」とか
こそこそ相談しちゃダメだ!
一同) は~い。
松下) こら! いつまでもピーチクパーチク
やってると、給料明日にするぞ!
(ブザー)
松下) 冗談だって。
豊子) 言っていい冗談と悪い冗談があると思
いますが。ちなみに今のは悪い方です。
松下) 分かりました。悪かったよ。でもな、み
んな、ここんとこ効率あまりよくないぞ。
生産台数目標下回ってるからな!
今月の!
幸子) みんな、松下さんのお給料が下がった
らかわいそうだから、頑張りましょうかね。
一同) は~い。
幸子) スイッチ入れま~す!
一同) はい。
愛子) 本当なんですか? 目標下回ってるって。
松下) ええ。最近、本社の方がうるさくて。
更に生産台数上げろって言うんですよ。
冗談じゃないですよ、本当に。
愛子) 大変ですね、板挟みで。
松下) 分かってくれますか?
ありがとうございます。
愛子) でも、いい顔ですよ、お給料日の顔。
松下) そうですね。
**********
松下) ご苦労さまでした。
女性) ありがとうございます!
このころのお給料はみんな、手渡しでした。
しかし3年後、ボーナスの支給日に
現金輸送車が強奪されるという、
3億円事件が起きました。
この事件をきっかけに、手渡しから、
振り込みに変える機運が高まったと
いわれています。
松下) 谷田部みね子さん。
みね子) はい。
松下) ご苦労さま! はい!
みね子) ありがとうございます!
お父さん。
これが、給料袋なんですね。
ずっしり重く…は、残念ながらないけど、
私が東京に来て、
1か月頑張った証しなんだと思うと、
私、給料袋も大切に取っておこうって、
思いました。
(袋の中から明細書と現金を取り出すみね子)
ちなみに、みね子のお給料は、1万2000円。
そこから、食費や税金、保険料、積立金
などが引かれて、手取り6000円です。
この年、大卒公務員の初任給は、
2万1600円でした。
**********
<郵便局>
(郵便書留の封筒に 実家の
住所を書いている乙女たち)
(封筒に現金を入れるみね子)
みね子は手取り6000円の中から、
5000円を送ります。
残りは、1000円になってしまいますね。
(実家宛ての封筒に現金を入れる時子)
豊子) 澄子、そいほとんど全部でねえ。
大丈夫なの?あんた。いくら何でもさ。
澄子) いいんだ。使わねぇし、おれは。
豊子) んだか。
澄子) あ~でも、ちょこっとだけ…。
(封筒からお札を抜き取る澄子)
(笑い声)
**********
(乙女寮の食堂に来ている
訪問販売の業者たち)
業者) はい、いらっしゃい、いらっしゃい。
いらっしゃい、いらっしゃい。
お母ちゃんいくつ?
女性) お母ちゃん39やけど。
業者) か~若いね! これなんかどうだ?
愛子) みん、な無駄遣いしちゃダメよ!
よく考えてね!
無駄遣いは、ダメですからね!
業者) 舎監さん、そりゃないよ。デパート
なんかに比べたら安いんだから!
愛子) 何言ってるの。この子たちを守るの
が私の仕事ですから。よく考えてね、
みんな。迷ったら、やめときなさ~い!
業者) え~!?
(ノートと消しゴムを手に取るみね子)
時子) ちよ子と進に?
みね子) うん。
2人に買ってやっかなと思ってさ。
時子) うん。
みね子) ねえ、これどう思う?
時子) うん。かわいいね。
みね子) 本当?
時子) 喜ぶよ、絶対。
みね子) じゃ、お願いします。
業者) 60円です。
みね子) はい。
ありがとうございます。
(洋服売り場に行くみね子)
みね子) やだ~すてぎだなぁ!
優子) どれ? あっ、ほんとだ。かわいいね。
幸子) みね子似合いそう。
みね子) え…?
時子) あててごらん。ほら! 貸して。
幸子) あっ、鏡!
(姿見の前に立ち、ブラウスを
体にあててみるみね子)
幸子) わ~ぴったり!
優子) かわいいね。
時子) いいね。
澄子) めんげねぇ、みね子さん。
豊子) お似合いだと思います。
みね子) そうけ?
(値段は950円)
みね子) 無理だ…ハハハ…。
ちょっと、戻してくっかな。
(名残惜しそうなみね子)
みね子) あっ、時子、ありがとう。
(別の売り場で手ぬぐいを見つけるみね子)
みね子) ねえ、これ、じいちゃんにどうかな?
時子) あ~いいね!
優子) すてき! 迷っちゃうねえ。
女性) これ見で!
女性) めんこい!
女性) めんこい!
女性) どんだ?
女性) 鏡…。
(ブラウスを手にした、先輩乙女)
女性) うわ~めんこい!
女性) すてきね。
女性) 花柄似合うね。
女性) 似合ってら?
**********
1週間後
女性) ご苦労さま。
みね子) ご苦労さまです。
(あのブラウスを着た先輩乙女が出てくる)
女性) ごめん、お待たせ!
女性) いいね~。
女性) 似合ってら?
女性) よし、行ぐが。
女性) 行こう行こう!
女性) あっ、ご苦労さまです。
みね子) ご苦労さまです。
女性) どこ行く?
女性) 喫茶店さ行こう!
(先輩乙女を目で追うみね子)
**********
時子) どうした? みね子。
みね子) ううん。
時子) そう?
幸子) 銭湯行ごうが?
澄子) はい!
豊子) 好きですね、本当に。
優子) みね子。荷物、届いてあったよ。
みね子) ありがとう。
優子) はい。
みね子) お母ちゃんだ。
(包みを開けるみね子)
みね子) え…?
(白い襟の、胸のところでリボンで
結ぶ、ピンクのブラウス)
みね子) お母ちゃん…。
(着替えながらみね子を見ている時子)
(手紙を見るみね子)
(美代子からの手紙)
みね子様。仕送り、本当にありがとう。
無理してませんか? みね子が働いて
送ってくれたお金は、大切に、大切に、
使わせて頂きます。本当にありがとう。
このブラウスは、お母ちゃんがつくりま
した。みね子は、こんなのが好きじゃ
ないかなと思って、つくりました。
いがったら、着て下さい。
(すすり泣きするみね子)
みね子) お母ちゃん…。
(ブラウスを抱き締めるみね子)
(こらえきれず、そっと涙をぬぐう時子)
**********
初めてのお給料、どうだったっけ? 忘れちゃったよ。
銀行振込だったし…。バイトで現金をもらった時の方
が働いた実感を感じたような気も…。とはいえ、やっ
ぱりお給料日はときめくよねえ。ワクワクするよねえ。
みね子の手取りの給料は6000円。仕送りは5000円。
実の仕送りが2万円と聞いて少ないと思ったけれど、
2万円は大きい額だったんだね…。過酷な環境の中、
一生懸命頑張って働いて得た、貴重なお金だったん
だね…。実が東京で暮らしていた、暗いあの部屋を
思い出すと、何だかとても切ない気持ちになってくる。
手元に残った1000円から、ちよ子と進にノートと消し
ゴムを、じいちゃんには手ぬぐいを買ってやろうとす
るみね子がいじらしい。可愛いブラウスは高すぎて
諦めるしかない。みね子の方が似合ってるのにね。
諦めるしかないのは分かっていても、女の子だもの
ね。おしゃれだってしたいよね。つらいよね、みね子。
お母ちゃんから届いたピンクのブラウスがうれしか
ったのは、視聴者も同じ。美代子さん、ありがとう!
あのブラウスよりずっと、お母ちゃんのブラウスが
似合うと思うよ。おしゃれだと思うよ。よかったね~。
人が人を思いやる気持ちであふれるドラマを見る
ことができる幸せ。毎日ちゃんと頑張ろうって思え
る幸せ。朝ドラは…やっぱりこうであってほしいね。
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