「あさが来た」第112回~けったいな友達ができた千代と加野銀行の閻魔紙 | 日々のダダ漏れ

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「あさが来た」 第112回
第19週 「みかんの季節
けったいな友達ができた千代と加野銀行の閻魔紙


千代) びっくりぽんや。
宜) フフ…。教えてあげましょか? このお方の事。
千代) いいや、結構だす。
宜) あさ先生はなぁ、あの御一新の時代に
  潰れかけてた大阪の両替屋に現れた、
  救いの神のようなおなごさんなんや。
千代) はぁ? 救いの神?
宜) そう。この両替屋いうのがさんざんでなぁ。
  お三味線やら謡やら、趣味三昧の旦那さんに、
  まだ若い跡取りさんて、頼りない男たちばっか
  りやったそうな。
千代) 何でそないな事知ってはるの?
宜) 雑誌の記事とか読んでたら分かります。
  そこに、男顔負けのこの度胸のあさ先生がやっ
  て来て、旦那たちを追いやって店取りしきり始め
  たんやて。ほんま、肝の据わったお方でなぁ。鉱
  山行く時は必ず拳銃持ってって。「働かへん男ら
  はこれで」言うて、ズド~ンやて。ほんで、とうとう
  その頑張りでお家の勢い盛り返して。今はあの、
  大阪の加野銀行や、商社までぎょうさん手を広
  げて。女だてらに頭取になってはるのやて。
千代) 頭取?
宜) 座右の銘は「七転び八起き」。
  それに、常に優雅に洋服を着こ…。
千代) あのなぁ! 何威張って言うてはんのか分
    かりまへんけど。その、あさ先生とかいう人、
    ちょっともそないなおなごやあらしまへん。

**********

うめ) やぁ、汽車のおかげで、えらい気軽に
    京都まで来てしまいましたなぁ。
かの) ほんにほんに。奥様、せっかくお千代様
    の新しい着物作りはったのに。
    もうすっかり足腰弱なってしまいはって…。
うめ) いいや。うめも、来られてうれしいのでござい
    ます。やっぱりこうダラ~ンいうのはうちは、
    ようせん事だすさかい。
千代の声) あんたの話は、み~んなでたらめだす!
うめ) お千代様の声だすなぁ。
宜の声) はぁ? でたらめやて!?


**********

千代) まず第一に、
    そのおなごは頭取やあらしまへん。
宜) へ?
千代) 加野銀行の頭取は、八代目加野屋久左衛門、
    白岡榮三郎だす。それに、加野商店の社長は、
    その兄の白岡新次郎。2人とも頼りないどころ
    か、大阪実業家の顔だす!
宜) はぁ…。
千代) それに、その、あさ先生とかいう人は、いっぺ
    んピストル暴発させた事があるさかい、それか
    らは怖い言うて、一生ピストルは持たへん言う
    てはりました。
宜) いや、うちが読んだ本では…。
千代) うちはこの耳で聞いてます! それに、洋服着
    こなすやなんていうても、シャキッと決めるのは、
    たま~に写真撮る時ぐらいだす。ふだんはお化
    粧もせんと、スカートバサバサさしながら、銀行
    の中大股で歩いて…。頭かて、髪結いさんにも
    頼まんと、クルクルッと自分でまとめて、かんざ
    しブス~ッて挿してるだけ。優雅どころか、ずぼ
    らそのものだす!
宜) まあ…。
千代) 座右の銘も、「七転び八起き」どころか、
    「九つ転び十起き」だす!
宜) あなた…名前何やった? ひょっとしたら、ただ
  のアホで不真面目な女やないのと違う? 着物
  しか興味ないような顔して、そないいろんな事…。
千代) あんたこそ、いつも何読んで学を積んではん
    のか分からへんけど。書いてあることをただ
    鵜呑みにするさかい、そないなことになります
    のやで! 頭でっかちしてんと、次からはちゃ
    んと、自分がその目ぇで見たものを信じたほう
    が、ええのとちゃいますか?
(部屋を出て行く千代)

**********

千代) はぁ…。何でうち、こないむきになって…。
かの) あっ、お千代様!
うめ) 今の声…。声だけ聞いたら、
    おあさ様にそっくりだしたなぁ。
宜) 「九つ転び十起き」やて…。なんという名言!


**********

そして、和歌山では…。

あさ) 養之助。あんたもしっかりな。
養之助) うん。
あさ) そら、ご飯がようけ食べられるゆう
    兵隊さんに憧れるのも分かるけど。
    一番大事なのは一家だすさかいな。
養之助) うん。
あさ) 時には出来のええお兄ちゃんばっかり
    褒められて、ええなぁて思うこともある
    かも分かれへんけど。あんたにはあん
    たのええとこがきっとありますさかいな。
養之助) え? えっ、どこ!?
あさ) へ?
新次郎) いやいや、お邪魔しました。
惣兵衛) はぁ…新次郎さんと、もうちょっと
     お酒飲みたかったんやけどなぁ。
新次郎) まあ、店のみんなも、待ってますさかい。
     なぁ、あさ。
あさ) へぇ。
はつ) なぁ、あさ。これ、もろてくれる?
    寒なってきたし、これ羽織ってたら、
    小鳥さんにも狙われんかて済むやろし…。
あさ) 嫌や…。いつのまに?
    あない忙しそうやったのに…!
はつ) 洋服に合いそうなもん縫うのも初めてやった
    さかい、うまいこと出来てるかどうか分からへ
    んのやけど…。
(はつの縫ったケープを羽織ってみるあさ)
あさ) うん。あったかい!
はつ) なぁ、あさ。何やうち…。
あさ) お姉ちゃん、あのな…うちの千代は、お姉ち
    ゃんみたいなおなごはんになりたいんやて。
はつ) え?
あさ) 子供ってほんま、思うどおりにいかしまへんな。
はつ) ほんまだすな。
栄達) あ~もうお帰りだすのか。
新次郎) 藍之助、待ってるで。
藍之助) はい!

**********

あさ) おおきに。旦那様。
新次郎) ん?
あさ) やっと一息つけたような気ぃします。
新次郎) ハハッ。今頃だすか? まあ、帰ったらまた
     すぐ、慌ただしくなりますやろけどなぁ。
あさ) へぇ。
新次郎) ほんま言うたらなぁ。
     わてが、一番休みたかったんや。
あさ) ん?
新次郎) 加野商店が出来て、
     加野銀行が出来て、阪神紡績も出来てて…。
     こないして、あさの手ぇ握って、
     ゆっくり歩く暇もなかったさかいなぁ。
あさ) 旦那様。やっぱり…。
    一泊だけ、行ってみまひょか? 温泉!
新次郎) お…ほんまか?
あさ) うん。
新次郎) よっしゃ、行こ! わてな、実はいろいろ、
     調べてきましたのやで。
あさ) ん?
新次郎) 紀州の温泉いうたら、
     白浜に龍神に湯の峰に…。
     いや、せやけどやっぱり龍神がよろしなぁ。
     龍神の湯は、紀州徳川家御用達で、
     美人の湯いわれてなぁ。
あさ) 美人の湯? そらよろしおますなぁ。
新次郎) ええやろ? ほれ。ハハハ!
あさ) 美人になれますやろか?

**********

2人は、温泉の宿に泊まって、
大阪に帰ってきました。


あさ) ただいま。
うめ) あっ、お帰りなさいませ!
    お千代様もちょうどお休みで、
    京都からお帰りでございます。
あさ) 千代も!?


**********

あさ) 千代。ちょっとええ?
(千代の部屋に入るあさ)
あさ) ん? いてへんの?
千代) ちょっと! 勝手に入らんといてぇな!
あさ) 千代…。お帰り。
千代) ただいま。

(みかんを千代に渡すあさ)
千代) おおきに。
あさ) 悪いけど…国語の教科書貸してくれへん?
    また、随筆の依頼が来てしもたさかい、
    勉強したいんだす。
千代) どうぞ。ちゃんとした事書いてな。
    誰が読んでるか、分かれへんのやさかいな。
あさ) ん?
千代) いいや。別に…。
あさ) ふ~ん。教科書でええ奥さんやいうて載って
    るのは、山内一豊の奥さんなんだすなぁ。
千代) そうだす。
    夫をよう支える、良妻賢母の見本だす。
あさ) ふ~ん。
    やっぱりこないなんが、ええ奥さんなんやなぁ。
千代) まあ、女学校友達には、「うちが目指す女子
    は巴御前や」、なんて言うてる、変わり者もい
    てはりますけどな。
あさ) へえ~。へ!? お友達、できたの?
千代) へ? あ…まあ、けったいな子ぉやけどな。
    いつの間にかケンカしてるうちに、
    仲ようなってしもてて…。
あさ) そうだすか! そらええなぁ。
    女学校でお友達やて。ええなぁ。
    お母ちゃんうれしいわ!

**********

新次郎) ちゃんと母親と娘として、話してますがな。
うめ) ほんまだすな。

**********

千代) そんな矢継ぎ早にいろいろ聞かれても、
    答えられへんわ。
あさ) フフフ。そうだすなぁ。
    ほな、お友達の事から教えて。


**********

新次郎) どないしましたんや?
榮三郎) ああ、お兄ちゃん。
     あの、酔っ払いの客は…。
萬谷) 分かっと…分かっとう。待たしてもらう。
新次郎) ああ…えらい人相変わってますけど。
     あら、萬谷さんやな。

**********

萬谷) えらいまた繁盛してはりますなぁ。
新次郎) いやいや、ぼちぼちだすわ。
     …で、今日は、どないな事で?
萬谷) 金、貸してくれ。
    わてにもな、いよいよ運が向いてきたんや。
    ええ話が懸かっとんのや。元手が…あっ!
榮三郎) どないしはりました? 萬谷さん。
平十郎) あっ…またあの客。
新次郎) 大丈夫だすか? これ飲んで。
サカエ) ア~ッ!
あさ) 大丈夫だすか!? サカエさん!
サカエ) はい。
萬谷) さ…酒や! 酒くれ! 酒飲んだら治るんや!
あさ) うちは銀行だす。お酒は売っておりまへん。
萬谷) またお前か。おなごは引っ込め!
    わてはなぁ、新しい商いする事になったさかい、
    金貸してくれ言うとるんや。銀行ちゅうのは
    そないなための場所とちゃうんかい!
あさ) 萬谷さん。銀行いいますのは担保があって、
    返済の見込みがあって、この先伸びるやろ
    いう見通しのあるとこに、お金用立てさして
    もらいます。そやけど今のあんさんでは無理
    やいう事だす。
萬谷) 何こら!
    女は黙って言うとんじゃ! 生意気な!
新次郎) まあまあ…。
萬谷) ハッ。わては客や! こうなったら、
    金受け取るまでここ動かへんで!
あさ) 萬谷さんがお帰りだす。お酒ようけ飲んでは
    るみたいやさかい、ほかのお客さんの迷惑に
    ならへんよう丁重にお帰り頂いとくなはれ。
男衆) へぇ。
萬谷) う~ん!
男衆) 帰りまひょ! 帰りまひょ!
萬谷) 何すんのや…! あ…ドケチ! 強欲女!
    んしょっ! 俺はお前の事絶対に許さへん
    からな! クソ! ケッ! 放せ、こら!
平十郎) おい!
     誰が一体何であんな人を通したんや?
     ちゃんと閻魔紙、作ったやろ!
あさ) 閻魔紙?
平十郎) これは、閻魔紙いいまして。
     来てもろたら、仕事に差し支えのある、
     要注意のお客の名前を書いた紙です。
弥七) …で、それをこないして、
    みんなで机んとこに貼ってますのや。
あさ) へえ~。そやけどこら便利だすなぁ。ん?
新次郎) ん?

その、閻魔紙には…

あさ) これは…。

ちょっと意外な人物の名前が、
書いてあったのでした。


**********

マスコミなんて、雑誌なんて…読者が喜びそうな話を
ドラマチックに盛って書くのはいつの時代もお約束?
雑誌から得た知識で憧れの人・白岡あさ伝説をその
娘に語る宜に「頭でっかちしてんと、次からはちゃ
と、自分がその目ぇで見たものを信じたほう
が、ええ
のとちゃいますか?」と一喝する千代。うんうん。全く
その通り~なのだけれども、それは…あんたもなっ!

自分が見えていると思っている以上に、まだまだもっ
と見えてくるものはありますのやで~! 千代ちゃん。
ケンカするほど仲がいいといいますか…いつのまに
か、2人はお友達になっていたようです。千代に友達
ができたことを喜ぶあさが、めっちゃかいらしいなぁと。
女学校で学べて、友達ができるなんて、それが許され
なかったあさには、もの凄~く羨ましいお話しだよね。
普通ではないかもしれないけれど、はつとはまた違う
ところで、なかなかいいお母ちゃんだと思うけどね~。

加野銀行にはアル中の要注意人物・萬谷再び。そう
いう輩に備えてへぇさんによる「閻魔紙」の存在する
ことが判明。こういうの、あちこちで存在するんだろう
なぁ…。ブラックリストというより、閻魔紙っていうほう
が、何となくユーモラスではありますが…。自分の名
前がどこかの閻魔紙に書かれていたらショックだ…。
閻魔紙に書かれている意外な人として、今後活躍す
るだろう一人は思い当るのだけれど…どんなメンツ
が要注意人物に判定されているのか、気になります。


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