「リバースエッジ 大川端探偵社」第4話~アイドル・桃ノ木マリン | 日々のダダ漏れ

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「リバースエッジ 大川端探偵社」



第4話 アイドル・桃ノ木マリン
 
「ある女性を探して欲しい」と、中年男 (マキタスポー
ツ)
がやってきた。男が手にしていたのは、80年代に
デビ
ー曲1枚で姿を消した幻のアイドル・桃ノ木 マ
リン(小
里奈)。30年前、地元の商店街で桃ノ木 マ
リンが歌
う姿を見て以来、彼女に夢中になり、その時
彼女と握
手した右手を現在まで一度も洗っていない
という。男は最近会社を
リストラされ、もう1度彼女に
会って、人生を変えたいの
だという。早速、桃ノ木 マ
リンの調査を始めた村木(オダ
ギリジョー)。マイナー
なアイドルだった為、調査に苦
戦する村木だったが、
ある驚きの情報に突き当たり…!

**********

村木) 本名は、水野裕美さんとおっしゃいます。
水野) 私はゲイでもないし、女装マニアでもないん
    ですが、事務所の方針で、女性のフリをして、
    アイドル歌手をやらされておりました。アイドル
    にしてやるって、新宿のディスコでスカウトされ
    まして。郷ひろみみたいになれるかなと思った
    ら、松田聖子みたいになれって言われて。
    これでも、昔は女の子に間違われるくらい、美
    少年だったんです。今だったらオネエキャラで
    売り出すんでしょうけどね。女として、デビュー
    させられたんです。あの頃の芸能界は、何で
    もアリだったんですよ。でもね、私が可愛かっ
    たのは、成長期が遅れてたからなんですよね。
    デビューして半年も経ったら、声変わりはして
    くるし、ノドボトケも出てくるし、髭も濃くなって…。
    デビュー曲も売れなかったし。さすがに社長も
    もういい、無理だよって。
村木) 失踪したわけじゃなかったんですね。
水野) いや、もともといなかったんですよ。
    桃ノ木マリンなんて女の子は。
中年男) これは、ドッキリかなんかですか?
村木) 信じられない話だとは思いますが、この方が、
    桃ノ木マリンだったんです。
中年男) そんなバカな。何でこの人がマリンちゃん
     なんですか。えっ!? ねぇ、ちょっと見て下
     さいよ、これ。え? これ、ほら、見て下さいよ。
     こんな、ハゲちらかってて、髭だらけのむさ
     苦しいおっさんが、マリンちゃんなわけないじ
     ゃないか! え? 説明して下さいよ。ねぇ!
     どういうことなんですか? マリンちゃんじゃな
     いでしょ、絶対に。
所長) 何か、証明できることはありませんかね?

(音楽に合わせて歌って踊ってみせる水野)

「瞳にA級保存」
 
♪3日遅れのジュテーム
 すれ違いのクライング・ゲーム
 ふたりで見た夏のサンセット
 思い出になってしまうの?
 出会った日の輝き 私の瞳は覚えてる
 
 忘れないで 忘れないで 忘れないでね
 きっとA級保存 わたし ずっと消さない
 恋のラ・セゾン
 
中年男) …マリンちゃん?
(水野と一緒に歌って踊り出す中年男)
 
♪忘れないで 忘れないで 忘れないでね
 きっとA級保存 だけど 消えちゃうかも
 恋はミステリー
 
 だから 今日は見えなくても ケ・セラ・セラ 
 なるようになるのよ
 明日は見つかるから ケ・セラ・セラ
 その時まで ケ・セラ・セラ

中年男) (水野に抱きつき)
     マリンちゃん!ありがとうマリンちゃん。
     ありがとう。会いに来てくれたんだね。
     オレ洗うよ、この右手洗うから。
     で、新しいスタート、切るよ。
     ありがとう。ありがとう、マリンちゃん。


**********

所長) 驚き桃の木…ってオチか?
村木) そういう意味でつけた芸名みたいです。
所長) 芸能界ってのは、バケモノ屋敷だな。
村木) アイドルって何なんですかね?
所長) そうだな。う~んと、永遠の…幻か?
    
(メールの着信音) おっ! メグミだ。
    (メールの写真を見て) アハハハハ! 
    えっ? これ…男かよ! え~っ!
村木) しかしあの男これからどうするんですかね。
所長) そうさな…。まぁ、知ったこっちゃねえけどな。
村木) 無責任ですね~!
所長) ♪ケ・セラ・セラ~♪
    なるようになるんだよ。人生なんて。
    ハハハハハ!


**********

水野) 俺たちみたいな不器用な人間は、
    東京には向いてないんですよ。
中年男) でもできますかね? 私に。
      トラックの運転手なんて…。
水野) 大丈夫ですよ。しばらくは俺と一緒にこの
    トラックに乗って、仕事覚えてください。
中年男) できるかなあ…。
水野) 男がアイドルやってたんですから、
    やってみりゃ何だってできますよ。
中年男) フフフ…そうですね。
水野) どうにでもなりますよ。人生なんて。
中年男・水野) ♪だから 今日は見えなくても
         ケ・セラ・セラ なるようになるのよ
         明日は見つかるから ケ・セラ・セラ 
         その時まで ケ・セラ・セラ♪


**********

アダルトな話が続いたと思ったら、ここにきてアイドル
話! いいね~こういうセンス。桃ノ木マリンちゃんの
正体は、途中できっと男なんだろうな~と予想はつい
ていたけれど、笑えるほどムサくなっていてウケまし
た。まあ、ギャップを持たせるならそこまでしないとね。
似ても似つかない男がマリンちゃんだと言われても、
どうしても信じられない男に、歌って踊ってみせる男
マリンちゃん。見ているうちに、昔のマリンちゃんの姿
が重なって…今やもう、あのマリンちゃんにしか見え
ない~状態に。姿形は変わっても、魂は変わらず?
一緒に歌って踊り出す中年男。昔アイドル、昔ファン
の二人が楽しそうに踊る姿がいい。アイドルって一体
何なんですかね? 村木の問いに、「永遠の…幻」と
答えた所長。なるほど~うまいこというね、所長さん。
アイドルとは…自分の中にある、こうあってほしいと
思う願望を投影したもの、存在すると信じていたい幻、
のようなものなのかもしれない。蜃気楼のように、目
には見えても、手には触れられないような。目の前に
存在するアイドルと、自分が思っているアイドルは違
うんだろうなあと思うし。ファンの数だけ、アイドルとい
う幻が存在するのかも…。桃ノ木マリンの♪ケ・セラ・
セラ~が、頭から離れず、繰り返し聞かされるうちに
だんだんと気になるというか、好きになりそうで怖いw


「リバースエッジ 大川端探偵社」関連ブログ↓
第1話~最後の晩餐
第2話~セックスファンタジー
第3話~ある結婚
第4話~アイドル・桃ノ木マリン
第5話~怖い顔グランプリ
第6話~がんばれ弁当
第7話~夏の雪女
第8話~女番長
第9話~命もらいます
第10話~もらい乳/決闘代打ち
第11話~トップランナー
第12話~依頼者は所長

●「リバースエッジ 大川端探偵社」HP


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