「あまちゃん」 第11回(完全版)
第2週 「おら、東京さかえりたくねぇ」
自分が育った町の良さは見えにくい
夏) 最初のうちは、足ヒレ付けた方が、
深く潜れっからな。よし!
ようやくアキは、新人海女として、
スタート地点に立ったのです。
**********
<袖が浜>
夏) まっすぐ下さ潜るコツは、とにかぐ、
ケツを高~ぐ上げる事だ。あどは、手
や足を一生懸命動かして、底まで潜る。
苦しくなったら、岩さ蹴って、上がって
くる。それだけだ。やってみろ。
(大きく息を吸い、潜るアキ)
(手で水をかき、海底をめざす)
(ウニを見つけるが、
体が浮いて採ることができない)
アキ) ウニがいだ!
夏) 何で取ってこなかった?
アキ) 体が浮いて、届かなかった。
夏) ウニだと思うから取れねえんだ。
これからは、銭だと思え。
アキ) …銭?
美寿々) んだ。1個500円。
10個で5000円。そう思ったら
なんぼでも取れっぺ!
アキ) わかった!
(海に戻るアキ)
アキにとって、短かった夏休みが、
終わろうとしていました。
**********
<北鉄のホーム>
(ウニ丼を売り終えたアキが来る)
(シャッター音)
アキ) あっ…。
(ヒビキがいる)
アキ) あの~…。
ヒビキ) 何? 何だよ~。
アキ) 今日は私一人です。
昨日はありがとうございました。
ヒビキ) …何が。
アキ) おじさんのおかげで、
1分40秒も潜れたんです。
ヒビキ) おじさんじゃねえし。
アキ) お礼にこれ。
おばあちゃんが作った、北鉄名物…。
ヒビキ) 俺ウニ食えねえし。
アキ) え?
ヒビキ) 食べるとブツブツ出るとブツブツ
出て死んじゃうし。ブツブツ…。嘘だよ!
つうかどけよブス! 邪魔なんだ。
アキ) …ブス?
ヒビキ) うわ~きれい! すごくいい!
(浴衣姿のユイにカメラを向けるヒビキ)
ヒビキ) ちょっと目線外してみよっか。
(シャッター音)
アキ) かわいい~。
**********
<漁協>
安部) 朝がらずっとだ。
美寿々) アキちゃん、
アキ) は~い!
美寿々) それ軍手だよ!
軍手。足さ履いたら笑われるよ。
アキ) ヘヘッ、エヘヘッ…。
かつ枝) 恋の病だな…。
美寿々・安部) じぇ!
かつ枝) 間違いねえ。
ありゃ、好きな男ができだ時の顔だ。
かつ枝さんの想像は、
アキは確かに、恋をしていました。
ただし、相手は男ではありません。
**********
ヒビキ) うわっ奇跡。奇跡きた!
**********
アキ) ねえねえ、おばあちゃん。
夏) うん?
アキ) いっつも北鉄の車両の
夏) 足立先生の娘のユイちゃん。
アキ) あの子さ、超かわいくない?
弥生) 何だおめえ
アキ) この間、駅のホームで
(回想)
アキ) あ…あの!
ヒビキ) 何だよおめえ
ユイ) どうしたの? アキちゃん。
アキ) じぇ! な…名前覚えでたんだ。
ユイ) フフッ、覚えてるよ。リアスの
アキ) んだ。毎日、電車で会ってっけど、
ユイ) なまってるね。
アキ) なまってねえな。
ヒビキ) 何なんだよブス。時間ないの。
ブスは海潜って、ウニでも取ってろ。
アキ) ブスじゃないもん!
ヒビキ) イデイデッ! アイテテッ!
夏) う~ん、
弥生) 人にもウニにも失礼だからな。
(回想)
アキ) ねえ、あの人知り合い?
ユイ) ううん。今日初めて会ったの。
アキ) じぇじぇ!
ユイ) カメラマン志望?
私のブログ見て、コメントくれたの。
アキ) へえ~ユイちゃん
ユイ) ねえ、アキちゃんち、
下北沢ってさ、演劇とロックの街
ユイ) うん。
アキ) そうなの?
ユイ) うん…。あっ、そうだ。
アキ) …という訳で、ユイちゃんと
夏) そうか、いがったなあ。
アキ) あっ、来た!
**********
ユイ) どう、これ?
アキ) かっけえ!
ユイ) アキちゃん! こんな感じ。
アキ) じぇじぇじぇじぇじぇ!
今野) お~アキちゃん!
何だ足立先生とこのユイちゃんも!
ユイ) あの、見学していいですか?
菅原) お~い、
見学って言ってねえで手伝ってけろ!
今野) おい、こっち来い! こっちさ来て。
ユイちゃんも、ほい。
毎年9月に開催される、北三陸秋祭り。
それぞれ地区ごとに派手な山車を作り、
市内の目抜き通りを練り歩く、
山車を作ります。
大吉) お~! 随分進んだな~!
菅原) お~先輩ちょうどいいとこさ来た!
上野作業手伝ってけ。
普段は犬猿の仲と言われる、
北鉄と観光協会も、秋祭りの時期は、
一時休戦して、山車作りに精を出す。
作業は、深夜に及ぶ事もあります。
**********
春子) 友達って?
夏) 足立先生の娘さん。
山車見に行ぐから、遅ぐなるって。
春子) 大丈夫かな~。
夏) 何が?
春子) いや、何となくさ…。
勉) あの子はいい子だよ。
春子) いい子だから問題なのよ。
夏) 帰んなきゃいいべ。
春子) え?
夏) じゃ、戸締りだけ頼むど。
弥生) お疲れ様~!
やっぱ寂しいんだよ、夏ばっぱ。
春子) やめてよ、何言ってんの…。
**********
<山車小屋>
(ジュースを2本受け取るユイ)
大吉) どうした、アキちゃん。
アキ) 何でもね。
大吉) 休むべ。
ユイ) 何何?
アキ) いや…この山車が、町を練り
ユイ) そっか…。
アキ) んだ。秋祭りなのに。
アキは見れねえんだ。
ユイ) でもいいな、東京。
アキ) いいがなあ?
ユイ) お台場とか行った事ある?
アキ) ない。
ユイ) ないの!? 原宿は?
アキ) ない。
ユイ) え~嘘! 何で?
アキ) 何でって、用事ねえし、
ママが行っちゃ駄目って。
ユイ) もったいないよ~。
見えない景色がある事を、
アキはユイから教わりました。
という事は、
ユイには見えてないのかもしれない。
二学期の事は、
ここでしか見れないものは、
**********
勉) ここだ。
アキ) じぇじぇ~。
勉) うん…。
足元さ気をつけて。
アキ・勉) イデッ…。
勉) ほれ、これが琥珀。
8500万年前の樹液が固まった
アキ) 琥珀もすげえけど、それを
勉) まあね。やってみっが?
勉) ここはいいど。夏は、涼しくて
自分ど、向き合う場所だ。
アキ) 誰も来ないの?
勉) ああ。なんぼおっきな声出しても、
外には聞こえねえすけな。
アキ) そうなんだ…。
勉) んだ。スナック梨明日でカラオケ
ほんとだ。すっきりした。
勉) いがったな。アキ、もっとやっぺ。
アキ) うん。
勉) もっと!
アキ) これ琥珀?
勉) いや、キツネのフンだ。
アキ) じぇじぇじぇ!
勉) フフッ、じぇじぇ! ハハハハハ。
**********
世界の中心…ではなく、勉さん(塩見三
アキがユイに恋のような気持ちを抱くの
そして、ユイがアキに語った東京への
故郷を出てみると、自分が故郷のこと
ふるさとは遠きにありて思ふもの
室生犀星の有名な一節が思い浮かぶ
クドカンの脚本は、いろいろと、心を揺
アキを通して、春子もまた、故郷で見
(ここからは追記、
あまちゃんは、「ガール・ミーツ・ガール」
そして、登場時には、まさか最後まで深
少しずつ、いろんなものが、積み上げら
あまちゃん日記(11)~第2週「おら、東京さ帰りたくねぇ」
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