ガリレオ第６話「密室る（とじる）」

ガリレオ

第６話　「密室る（とじる）」

岸谷）　ちっちゃな泡が立ったんです。この辺りに。

湯川）　それはおかしい。

岸谷）　でしょ？小学生の頃だかに本で読んだんで
　　　　す。お風呂に入って体に泡が付くのは、最初
　　　　に入った人だけだって。

湯川）　水には大量の空気が溶け込んでいる。その

　　　　水を沸かすことで、溶け込んだ空気が泡とな
　　　　って出てこようとする。それを、過飽和という。

岸谷）　これですよね？

湯川）　最初に風呂に入ったとき、体に沢山の気泡
　　　　が付くのは、それまで辛うじて、水に溶けてい
　　　　た空気が、刺激によって一気に放出されるか
　　　　らだ。

岸谷）　そう書いてます。

湯川）　君が入るより前に、野木祐子が風呂に入っ
　　　　ていたとしたら、過飽和の状態はすでに終
　　　　わっていて、君の体に気泡が付くことはあり
　　　　得ない。

岸谷）　つまり、美人の野木さんは・・・
湯川）　嘘をついた。

岸谷）　どうしてそんな嘘を？

湯川）　嘘をつかなければならない理由があったか
　　　　らだ。

岸谷）　お風呂に入っていた20分間に、野木さんは
　　　　窓から抜け出し、篠田さんを連れ出してあの
　　　　谷底に突き落とし、そしてまた、窓から戻って、
　　　　何食わぬ顔で私たちの前に出てきた。そう、
　　　　シャワーで髪の毛をぬらすことは忘れずに。

湯川）　実に面白い。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

岸谷）　今日は栗林さんいないんですか？

　　　　コーヒー飲まないんですか？
　　　　湯川先生？え？
湯川）　僕はここだ。あれは、ホログラム。
岸谷）　ホ、ホログラム？

湯川）　野木祐子が、かつて研究していたコヒーレ

　　　　ンスとは、ホログラム。つまり立体映像に応
　　　　用される技術だ。このホログラムを使えば、
　　　　篠田さんの部屋を、密室に見せ掛ける事が
　　　　でき、彼女自身のアリバイも、立証すること
　　　　ができる。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

湯川）　見る人間の立ち位置と、光を当てる角度に
　　　　よって、何もない空間に、立体映像を作り出
　　　　すことができるんだ。野木祐子は、これと同
　　　　じ方法を使ったんだ。
岸谷）　どういうこと？
湯川）　鍵が閉められているように見える、ホログラ
　　　　ムシールが貼られていたんだ。

湯川）　そしてその映像が、完全に立体的に見える
　　　　ためには、光の当て方が重要なんだ。ほら。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

野木）　やっぱり、悪いことはできないわね。

野木）　きっと、私がどうして篠田さんを殺したのか
　　　　もわかってるんでしょう？刑事さんは。
岸谷）　それは、自白ととってよろしいですか？
野木）　どうせ、騙し通せるはずはない。私は、篠田
　　　　さんを。私を、上司だと慕ってくれてた、若くて、
　　　　優秀な研究者を、殺してしまいました。あの子
　　　　がいなくなれば、楽になれると思ったのに・・・。

　　　　逆だった。楽になるどころか・・・

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

湯川）　君は、根に持ってるのか？
岸谷）　は？
湯川）　僕が君のことを、
　　　　美人じゃないと言ったことに対して。
岸谷）　別に。可愛いって言われることあるもん。
湯川）　それはよかったな。だがしかし、可愛いと、
　　　　美人は別ものだ。全く違うカテゴリーなんだ。
岸谷）　は？
湯川）　美人かどうかは、顔の長さ、そう、目と口の
　　　　距離が顔の長さの36％、両目の感覚が、顔
　　　　の幅の、46％の割合で顔面に配置されてい
　　　　るかどうかという黄金比率と呼ばれる、数値
　　　　的根拠が存在するんだ。しかし、可愛いには
　　　　数値的根拠は存在しない。つまり、可愛いと
　　　　は、限りなく非論理的な、感覚的主観でしか
　　　　ないということなんだ。
岸谷）　主観で結構。可愛いって言われて何が悪
　　　　いの？めちゃくちゃ嬉しいです。
湯川）　だからよかったじゃないか。僕は、数値的
　　　　根拠のない、感覚的主観である可愛いには
　　　　全く興味がないと言ってるんだ。

湯川）　わかったら帰ってくれ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

わざわざ高級家具に数式を書きまくる・・・って、
これってワザととしか思えない～！！ドＳ湯川、
いえ、いじめっ子湯川？楽しんでるよね～あれ
は絶対。明らかに岸谷で遊んでるよね～。湯川
先生ってば、いけない遊びを覚えちゃった？ｗ

そして美人には数値的根拠があると。なるほど、
湯川先生は数値的根拠がある美人には興味が
わくわけですね。でも、根拠のない感覚的主観
である「可愛い」と思う気持ちが存在してくれるお
かげで、世界は繁殖できてるのだと思う、たぶん。

非論理的、感覚的主観バンザイ！　＼(^o^)／
美人じゃなくていいもーん。可愛いって言ってく
れる人がいればいいもーん！　・・・ってことで♪

いつのまにか、生意気というよりは泣き虫刑事
になりつつある岸谷は、要するに、男性に免疫
のない女の子なんだなあ（第３話参照）、と思う。
湯川の気を引きたい（好きというより、関心がな
いと言われ続けるのが悔しい感じ？）けれども、
当然ながら、湯川に軽くあしらわれ翻弄される
役回りに。吉高に合ってるから、私は結構好き。
何より、岸谷で遊ぶ湯川先生が楽しそうだしｗ

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