「泣くな、はらちゃん」第5話~もう会えないの? | 日々のダダ漏れ

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「泣くな、はらちゃん」
 
第5話
もう会えないの?


越前さん(麻生久美子)を見守る秀子(白石加代子)
とはらちゃん(長瀬智也)



秀子) 昔っから熱に弱いのよ、この子。
はらちゃん) ん? 熱に弱い?
秀子) そう。何度も死にかけたことあるのよ。
はらちゃん) 死にかけた、とは?
秀子) 死にそうになるってこと?
はらちゃん) 死にそうになる、とは?
秀子) 死ぬかもしれない、ってことかしらねぇ。
はらちゃん) 死ぬって何でしょうか?
秀子) どういうことかしらねぇ・・・
    世界から、いなくなるということ?
はらちゃん) いなくなる? それは困ります。
秀子) そうね。ふふふふ。
    なんでも質問するのね。はらちゃんは。
はらちゃん) すみません。わからないことだらけで。
秀子) そうよね、この世の中、
    わからないことだらけよね。


**********



越前) そっか。それで私が神様なわけだ。そうよね。
    私が描いてるわけだしね。
確かに神様よね。
    世界を創ってるわけだ・・・私が。そうよね。登場
    人物をどうしようと、私の自由なわけだもんね。

**********

百合子(薬師丸ひろ子)にはらちゃんのことを
相談する越前さん。



越前) どうすればいいですか?
百合子) う~ん。いいんじゃない? 別に。
越前) はあ。
百合子) いいと思うけどねえ、私は。はらちゃん。
越前) え?
百合子) だってさあ。男としては理想だよ? 自分が作
     った男なんだからさあ。自分の思う通りの男を
     作れるわけでしょ? 面倒くさいときには出て来
     ないし、会いたいときにだけ呼べるわけでしょ?
越前) まぁ、そうですけど・・・。
百合子) それに、自分のことを神と崇めて、絶対服従
     なわけでしょう? あなたが描いた漫画の人な
     んだからさ。
越前) まぁ、そうですけど・・・。

**********

たまちゃん(光石研)にいろいろな話を聞くはらちゃん。



たまちゃん) お前、家族は?
はらちゃん) 家族?
たまちゃん) ああ、いや、親とか、兄弟とかいないのか?
はらちゃん) わかりません。
たまちゃん) あ、そっか。わかんないのか。
はらちゃん) はい。
たまちゃん) いるのかいないのか。ああ、
俺と一緒だな。
はらちゃん) えっ?
たまちゃん) いや、俺と一緒だよ。親も兄弟も、いたのか
       いねえのかわかんねえ。まあ、
親はいたんだ
       ろうけどな。わかんねえんだ。
で、結局、家族
       も持たなくてさ。
1人だよ。ふふ。1人っきりっ。
       ふふ。
まぁ、いいんだけどな。ときどき思うよ。
       俺が死んでも泣いてくれる人はいるのかなぁ
       ってな。
はらちゃん) 死ぬって、
       世界からいなくなるってことですよね?
たまちゃん) うん。
はらちゃん) 工場長がいなくなったら寂しいです。
       私が泣きます。
たまちゃん) おいおい、うれしいこと言ってくれんねぇ。
       ありがとよ。
はらちゃん) でも、死ぬってよくわかりません。
       死んでいなくなったらどうなるんですか?
たまちゃん) 俺も死んだ事ないからわかんないけどな。
はらちゃん) そうなんですか?
たまちゃん) まあな。おかげさまでな。いろいろ考え方が
       あるけど、天国に行くとか、地獄に
行くとか、星
       になるとか、いろいろさ。
でも・・・。



たまちゃん) 消えてなくなんじゃねえのかなあ。
       命がなくなるわけだからな。
はらちゃん) 命? もう会うことはできないんですか?
たまちゃん) そうだな。この世界にいる者は、
       みんな、いつか死ぬわけだからな。
       悲しいけど仕方ないんだよなあ。
はらちゃん) この世界にいるものはみんな・・・
たまちゃん) ああ。
はらちゃん) あの・・・漫画の人間は死にますか?
たまちゃん) 漫画の人間?
       漫画に描かれてる人間のことか?
はらちゃん) はい。
たまちゃん) 死なないだろうな、ずっとあれは。
       命があるわけじゃないからなぁ。
       ははっ。うらやましいよなぁ。

**********

百合子) はらちゃんは全く悪気ないのにねえ。
越前) え?
百合子) 子供よりもっとピュアなんじゃない?
     はぁ・・・でもなんか可哀想だね。




百合子) 私さ、この間やめといたほうがいいと思うって
     言ったよね。
越前さんと、はらちゃん。
越前) はい。
百合子) あれ取り消す。ハッピーエンドにはならないか
     もしれないけどさ、
でも、彼の気持には、ちゃん
     と応えてあげるべきなんじゃ
ない?
     だって、あなたが作ったんでしょ?彼を。
     神様なんでしょ? あなた。
     世界を創った神様にも、
     責任はあるんじゃないかなぁ。


**********

越前) いやらしくなく、抱きしめてください。
はらちゃん) 抱きしめるとは・・・どうすればいいですか?
越前) こうやって、ギュって。
はらちゃん) こうやって、ギュっ。これであってますか?
越前) あってます。
はらちゃん) よかったです。




越前) 嫌いなの。イヤなの。人が死ぬの嫌いなの。
はらちゃん) 越前さん。何があったんですか?
越前) 玉田工場長が・・・死んでしまったんです。
はらちゃん) 工場長さん。
       たまちゃん、が、
死んだんですか?
越前) ええ。
はらちゃん) え? もう、会えないんですか?
       たまちゃんに。
越前) ええ。
はらちゃん) 悲しいですね。死ぬって。
       もう、会えないんですね。
       工場長さん・・・たまちゃんに。

       悲しいですね・・・もう会えないなんて。
       越前さんも、いつか死んでしまうんです
       か? イヤ
です。そんなの絶対イヤです。
       私も死にたいです。



越前) えっ?
はらちゃん) どうして、私は死なないんでしょうか?
       ごめんなさい。わからないことばかりで。
       私と越前さんは、住む世界が違うんです
       よね。これじゃ、両思いじゃないですよね。
越前) 両思いです。
はらちゃん) えっ?
越前) 両思いですって、言ったんです。



越前) 何だかサッパリわからないけど、
    両思いなんです。私たちは。
だって、あなたのこ
    と好きに決まってるじゃないですか。
私が作った
    んだから。一番好きなキャラなんだから!
 





はらちゃん) 気持ちいいものなんですね。
       チュー、またの名をキス。

越前) 言わなくていいんです、そういうことは。
はらちゃん) そうなんですか?
越前) はい。
はらちゃん) 言いたいです。
越前) え?
はらちゃん) みんなに言いたいです。越前さんとの、
       チューまたの名をキスは
気持良かったと、
       みんなに言いたいです!

越前) 絶対ダメ!
はらちゃん) 絶対言いたいですぅ!
    工場長さんのたまちゃんにもお礼を言いたい
    です! 
あぁ・・・。もう・・・いないんですね。
    死ぬって・・・こういうことなんですね・・・。




はらちゃん) あっ!
越前) 何ですか?
はらちゃん) いいこと思いつきました!
越前) 絶対いいことじゃない気がします。


**********

(漫画の世界)

はらちゃん) では、今日から新しく我々の仲間として
       生きていく
ことになった友達を紹介しよう!
マキヒロ) 友達すか?
あっくん) 犬じゃないですよね?
ユキ姉) 嫌なやつなら殺すしかないね。
笑いおじさん) ははははは。
はらちゃん) では どうぞ! たまちゃんです!

たまちゃん) イェイ! たまちゃんで~す!
       今日からよろしくぅ!

 



みんな) お~~!
はらちゃん) 乾杯しましょう!
みんな) 乾杯!





あんなに切ないキスシーンの後でのはらちゃんの
タコ顔に爆笑。なんてせつなくて・・・笑えるんだ!
はらちゃんの、初チュー、またの名をキス!

たまちゃんの死には、えー! そう来ちゃう? と思
ったけれど、ここで死なせちゃうのー?と残念にも
思ったけれど、「死」について実感のない、そして、
親しくしていた人がいなくなったら寂しいということ
を実感する為には、「たまちゃん」しかいなかった。

話の「都合」かもしれないけれど、でも、たまちゃん
がはらちゃんに言ったように、「この世界にいる者
は、みんないつか死ぬ」わけで、そのいつかは20
年後かもしれないし、明日かもしれないのは、みん
な本当は同じだと思う。明日死なない保証なんて、
誰にもできない。そういう、誰にでも訪れる、予測し
ようのない死は、ドラマだけじゃなく、現実にはある。

正直言って、たまちゃんにそれほどのシンパシー
を感じて見ていたわけではなかったし、脇役だと認
識していたのだけれど、それなのに、たまちゃんの
死は思ったよりずっと悲しくて、人が死んでしまうこ
とのせつなさ、空虚感をはらちゃんと一緒に感じて、
涙が止まらなかった。人はみんな、いつか死んで
しまう。当たり前のことが、悲しくて、せつなくて・・・。

漫画の世界の人間は死なない。漫画の中にたまち
ゃんを登場させることを思いついたはらちゃん。亡く
なった人が、心の中で生き続けるように、漫画の中
でも、キャラは生き続けていける。本物のたまちゃん
ではなくても、越前さんの心の中のたまちゃんでも、
そこにあの笑顔があるのを見ることができるのは、
救いにもなっていて。心のなかにあるものを、漫画
という形にしただけのことだと思えば、アリなのだ。
ただ、リアルの世界にも登場してくるとなると、別の
話になってしまって、クローン問題に近くなってしま
うような。メンドクサイ問題が山積みになってしまう。

矢東薫子(おそらく百合子さん)が描いた漫画にも、
作者の想いが込められていたとしたら、それゆえ
に漫画を描くことをやめてしまっていたとしたら・・・。

物語には、終わりが必要で、始めることは簡単でも、
終わらせることが何より難しい。世界には未完の物
語が、きっと数限りなく存在しているのだろうと思う。

越前さんが、自分の創った世界をどう終わらせるの
か。はらちゃんと自分の関係をどう終わらせるのか。
なんにしろ、せつなくて、せつなくて。はらちゃんも、
マキヒロも、ピュアな彼らの行く末がせつなくて・・・。
はらちゃんに影響されているのか、なんだか自分も
ピュアな涙が零れ落ちてしまう、そんな稀有なドラマ。

 
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