「泣くな、はらちゃん」第9話~2人が選んだ結末 | 日々のダダ漏れ

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「泣くな、はらちゃん」
 
第9話
2人が選んだ結末


ユキ姉) どうしたの? みんな。
はらちゃん) 実はですね、ユキ姉。昨日、テレビの
       ニュースというのを、男たちで見まして。



ユキ姉) 何それ?
あっくん) この世界の出来事を教えてくれるものな
      なんですよ。
ユキ姉) へえ。それで?
笑いおじさん) この世界、怖いところだぞ。
マキヒロ) 怖いっすよ、この世界は。だってですよ。
      大きな、車みたいな空を飛ぶものが、大勢
      の人を殺したり、
戦争というものらしいです。
あっくん) それに、この世界の人たちは、かわいい
      犬くんや動物を、閉じ込めてしまったりもす
      るんです。
笑いおじさん) この世界には、美味しいものを沢山
        食べられる人と、全然食べられない人
        がいるんだ。おかしくないか?
たまちゃん) この世界の人は、食べないと死んでし
       まうのにみんなで分けないんだよ。
       何でだよ?
はらちゃん) どう思いますか? ユキ姉。
ユキ姉) はらちゃんは?
はらちゃん) わかりません。でも、黙ってようって、
       男たちで話し合って決めたんです。だっ
       てせっかく、私たちの神様、越前さんだっ
       てああいう風に言ってくれてるわけだし。
       神様だって自分の世界を悪く言われたら
       嫌じゃないですか。
ユキ姉) まあねえ。
あっくん) 僕はなんだか、自分の世界に帰りたくな
      りました。
はらちゃん) そんな、やめましょうよ。私たちはこの
       世界のこと、知らないことだらけじゃない
       ですか。
あっくん) だって・・・
はらちゃん) 確かにこの世界には、私たちにはわ
       からないことが沢山あるけど、でも素晴
       らしいところです。私はこの世界の人間
       になりたいです。


**********
 
田中) 僕ね、子供の頃、こういう話好きだったんで
    すよ。ほら、夜人間が寝た後、人形とか、オ
    モチャが動いたり話したりとかして。
あるじゃ
    ないですか。
で、実は生きてましたみたいな。
    僕、本気で信じてて、夜寝たふりしてじっと見
    てたりとかして。しませんでした?
清美) まったく。
田中) ですよね。
清美) で?
田中) あの・・・何か、嫌な気持にさせたらアレなん
    ですけど、そういう話の終わりは大抵、元に
    戻るんです。
僕らに、大切なことを教えてくれ
    たりとかして、彼らは去って行く。
大抵そういう
    終わりなんですよ。
ずっと幸せに暮らしました
    っていうのはあんまりないっていうか、無理っ
    ていうか。
清美) 何で無理なの?
田中) いや、なんでって僕に聞かれてもわからない
    ですけど。多分、僕らにとっての世界がここで
    あるように、彼らにとっての世界は別にあって、
    彼らにとっての幸せは・・・



田中) すいません。余計なこと。
越前) いえ。

**********
 
ユキ姉) ほっときな。
     あいつはさ、私達を殺したんだよ。
はらちゃん) ユキ姉、それは違います。
ユキ姉) 何が?



はらちゃん) 百合子さんは、越前さんの神様。つまり
       神様の神様なんです。百合子さんは、私
       たちのお母さんなんです。
百合子さんが私
       たちを生んでくれたんです。
母、またの名
       を、お母さんです。ね、越前さん。
越前) え・・・はい、そうです。
たまちゃん) あ、あのさあ、一応言っとくけどさ、何か、
       俺だけちょっと違うっていうかさ、みんなと
       は。あのなんていうのかなあ・・・

越前) ごめんなさい。
    その問題はとりあえず今はいいですか?
たまちゃん) あ、はい。
ユキ姉) はぁ・・・しょうがないなぁ。すぐ逃げるんだよ、
     あの人は。
ダメな神様なんだ。世話が焼ける
     よ、ホントに・・・。で、どこにいるの?


**********

ユキ姉) あなたには、私たちを造り出した責任がある
     のよ。
神様の神様なんだから。逃げないでよ。
     ちゃんと見届けなさいよ! 私たちのこと。

百合子) 許してくれるわけないっ、と思ったからさ。
     私あなたたちを、一度殺したんだし。




ユキ姉) 誰が許さないって言ったのよ。覚えてるのは、
     私だけだけど・・・。
私はあなたが神様で、幸せ
     だったわよ。
居酒屋だけじゃなくて、いろんな
     場所を描いてくれたし・・・。
みんな) ん?
ユキ姉) 漫画の絵だって、ずっと上手だったし。
みんな) ん?
ユキ姉) 同じことばっかりじゃなくて、いろんなこと喋
     れたし。いろんな服だって着れたしさ。
はらちゃん) そ、そうだったんですね。
ユキ姉) 好きだったわよ。あなたがつくる世界。
     もう、そこに戻れないのは、わかっている。
     今の神様は・・・越前さんだからね。
笑いおじさん) まあ、あれだよ。神様の神様。
        今の神様を、よろしく頼むよ
マキヒロ) 頼りないっすよね。雑なんすよいろいろ。
あっくん) そうなんですよ、広がりがないっていうか。
笑いおじさん) まあ、力不足だな。
たまちゃん) 俺は・・・
       まあ、いろいろあるけど、今日はいいや。
越前) どうもすみませんでした。
はらちゃん) 私は、越前さんが大好きなので。
越前) うるさいです。もう、遅い。




ユキ姉) ねえ、いなくならないでよ。
百合子) やさしいんだね、ユキ姉は。
はらちゃん) よかったですね、越前さん。
越前) はい。


**********
 
百合子) ありがとね、越前さん。あたしの漫画をあ
     なたが好きでいてくれて、ホントによかった。
越前) そんな・・・
百合子) いい神様だよ。あなたは。
越前) ええ? なんか不満だらけみたいですけど。
百合子) それくらいがいいんだよ。あたしのはさ、
     クオリティが高すぎて、だからこっちが追い
     つめられてしまった。
     ゆるいくらいでちょうどいいんだよ、世界は。
     不満があるぐらいのほうがさ。
越前) はあ。
百合子) 大丈夫? 越前さん。
越前) え?
百合子) 不安なんでしょう? このままはらちゃんた
     ちを、この世界に留めておくの。
あーんなに
     まっすぐで汚れてないのに、変わってしまう
     かもしれないもんね。
この世界の現実に染
     まって。
ほら、映画やアニメだったら、幸せ
     に暮らしました。はい、ハッピーエンドっ
て終
     われるけどさ。人は、ハッピーエンドの後も、
     生き続けて行かなきゃならないから。

     大変なのは、ハッピーエンドの後なのにね。
越前) はい。


**********








はらちゃん) なんでですか?
       これがこの世界ですか?





越前) やめてはらちゃん! お願い、お願い・・・



越前) ごめんなさい。ごめんなさいはらちゃん。
    はらちゃん・・・ごめんなさい。
    こんな世界でごめんなさい。
はらちゃん) 越前さん・・・
越前) ごめんなさいはらちゃん。
    みんな・・・ごめんなさい。

**********
 
はらちゃん) 痛いです。
       心が・・・とても痛いです。越前さん。
越前) はい。
はらちゃん) どうか・・・
       私を嫌いにならないでください。
       嫌いにならないでください。
越前) なるわけないです。なるわけないです。
あっくん) 僕は・・・僕は帰りたいです。
マキヒロ) あっくん・・・
あっくん) 帰りたい。自分の世界に帰りたいです。
      帰りたい・・・
たまちゃん) それもいいかもな。
笑いおじさん) ああ、別の世界ってのは、あるん
        だろうなあって考えてるぐらいが、楽
        しいのかもな。
たまちゃん) ああ、不満はどこにいてもあるんだ
       ろうしな。
笑いおじさん) ああ。
あっくん) マキヒロは、どうなんですか?
マキヒロ) あっくんとはずっと仲間っすよ。
ユキ姉) それが・・・いいのかもね。
はらちゃん) 私は・・・私は・・・





はらちゃん) 越前さん・・・
越前) はらちゃん。
はらちゃん) はい。
越前) 私たちは、両思いです。
    ほら、泣くな、はらちゃん。





**********
 
秀子 そう~帰っちゃったのお?
   なーんか、寂しいわねえ。
ひろし) 宇宙に帰ったんだろ。
越前) ふふ。そうかも。
ひろし) ふふふ、やっぱりなあ! 宇宙かよ。
越前) お母さん。冴えない娘でごめんね。
秀子) あっ?
越前) ひろし。
ひろし) ん?
越前) 冴えないおねえちゃんでごめんね。
ひろし) いやあ、こちらこそ。
    バカな弟ですいませんね。
越前) ホントだよ。
ひろし) ハハハ。
秀子) 変なおかあさんでごめんね。
ひろし) ハハハ。やっぱそう、変だよ。

**********

はらちゃん) え、えち、越前さん?
越前) 来ちゃいました。




みんな) えぇ~~~!?

**********



秀子) いい笑顔だわ。あの子。

**********

ユキ姉) いいの?
越前) はい。だって、子供の頃から、漫画の中
    の世界で、はらちゃんたちとずっと一緒だ
    ったら
いいのにって思ってたし。
    あの世界は、もともと好きじゃないんです。
ユキ姉) そう・・・
越前) はらちゃん。
はらちゃん) はい。
越前) ずっと一緒にいましょうね。
はらちゃん) はい!




 
暴力シーンなんて、よくある何度も見てきたシーン
なのに、それが、とても辛くて心が痛むのは、はら
ちゃんだから。無垢な魂を持つはらちゃんが、傷つ
けられ、暴力を知り、愛する人が傷つけられるのを
見て、怒りを知り、ついに人を殴ってしまう、傷つけ
てしまう、そんな負の感情を知ってしまった、まさ
にその瞬間を見てしまったから。「喜怒哀楽」の中
でまだ知らなかった「怒」の感情を、はらちゃんは
知ってしまい、嫌だと思っていた暴力をふるってし
まう。そういう負の感情も、リアルでは、大人にな
るということ、誰もが経験することかもしれないけ
れど・・・。はらちゃんは、はらちゃんの世界にいれ
ば、越前さんがそういう世界を描くことがなければ、
怒りも暴力も知らずにいられた筈の存在だから。
はらちゃん自身が、誰よりも心を痛めることになる
暴力を、自分の拳が知ってしまったことが、それ
を見ることが、とても辛くて、哀しい。なんて、残酷
で深い脚本なんだろう。こんな風に、暴力というも
のへの悲しみ、切なさを感じさせることができるの
かと、こみあげてくる涙を抑えることができなくて。
何より、怒りを知ったはらちゃんの表情を見事に
変化させた長瀬智也のイケメン力にやられた!!
おバカもイケメンも見事に演じ分ける長瀬に脱帽。

そして、またも号泣させられてしまった、まさかの
展開。思わず「デスノートか!」と叫んでしまった
人は、漫画ファンならかなりいたんじゃないかと。
ノートに自分を描きこむのではないかとは思って
いたけれど、別人格にしかならないだろうしと、油
断していたところに、まさかの「神様」の力?が発
動する展開になるとは・・・。やられました。こうき
たかあ・・・。気持ちはわからないでもないけれど、
あっさりと漫画の世界に行ってしまえるほど、越
前さんがこちらの世界を、こちらの世界にいる自
分を好きになれずにいたことが、何だか哀しくて、
ノートに描かれたとびきりの笑顔が切なくて・・・。

自分がいるべき世界がそれぞれあって、その世
界から逃げるような気持ちがどこかにあって、別
の世界に行くのは、愛とはちょっと違うような。あ
まりにも、自分の存在をないがしろに思っている
越前さんのままでは、幸せとは思えなくて・・・。
最後に、ロクデモナイ弟くんが、バカ力を発揮し
てくれそうなので、彼のトンデモ力に期待大!!

一体どんな結末が用意されているのか。また泣
かされてしまうのだろうけれど、泣きながら笑顔
になれる、そんなラストが待っていると信じたい。
はらちゃんも越前さんも、とびきりの笑顔で・・・。

 
●「泣くな、はらちゃん」HP

「泣くな、はらちゃん」関連ブログ↓
第1話 「恋するヒーロー!!」
第2話 「恋したけど片思い」
第3話 「両思いになる方法」
第4話 「涙のバレンタイン」
第5話 「もう会えないの?」
第6話 「家族になりましょ」
第7話 「ずっと一緒」
第8話 「神様のナゾの真相」
第9話 「2人が選んだ結末」
第10話(最終話) 「私の世界」


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