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Kierkegaard
(や、やーさん真澄くんである。だ、ださい・・・しくしく、こんどちゅうにびょう的な服、スタイルにしよう)

その前の話
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「もうちょっとなのにな、この平凡な顔がいけないのだろうか?」

(普通に可愛いから、平凡ていうけど、昔のマヤちゃんは、それはもう、可愛かった)

マヤは、公園の噴水の自分の姿を映してみた。

一指し指でくるくる回す。

「つ、冷たい」

上を見上げる、空が茜色に染まる、様々な紅に、蒼に、紫に、西の方角に、フォーマルハットがきらりと輝いた。

「星が、好きなあなた」

目を閉じて好きな人を想う、ほうと息を吐いた、木枯らしが運んだ木葉が一枚、頬に張り付いた。

秋が終わろうとしていた夕暮れだった。

「マヤ」

振り返ると真澄がいた、マヤは、頬をつねった。

「痛い、ほ、本物?」

真澄は、優しい笑みを浮かべていた。

マヤは駈けた、その胸の中に。

他愛ないおしゃべり、真澄のからかう言葉に、小気味よくマヤは、切り返す。

いつのまにか、空に星が瞬いていた、澄み切った夜空に。

「どうしたらこの顔が、もう少し、大人びた、きれいな顔になるかと悩んでいるんです」

くすくすから、大口を開けて、真澄は笑う。

「相談するんじゃなかった」

マヤは口をとがらせて、頬をふくらます。

「簡単な方法はある」

「教えて下さい」

真澄は、マヤを胸の中に閉じ込めた、耳元で囁く甘い言葉。

先ほどの夕焼けのように赤くなる頬に口づけが降りてきた。

「君は、舞台の上では、絶世の美女になれるさ」

「化けるって、言いたいんですね」

「俺は、素の君も、舞台の君も、いつも美しいと思っている」

「速水さん・・・」

「遅くなった、送るよ」

「はい」

差し出された左手、結んだ手と手、伝わるぬくもり、暖かいと、マヤは思った。

つづく (6)