<10月31日(日)>

穏やかな秋の日曜日、家から一歩も出ずに、ここ数日で見逃したテレビ番組を観たり、パソコン遊びをして過ごしたのですが、ブログ書きはなかなか進まず、やっと3週間前に観たリゴレットが書けただけで、溜まる一方。来週はまた忙しいのに・・・。

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一体、このプロダクションは何度観たのでしょう。


先回(2009年2月→こちら )は、10年以上も待ちに待ったレオ・ヌッチだったので必死で切符を取って、感謝と感激で3回拝聴しましたが、今回は、「ちぇっ、又ホロかよ」だし、おまけにジルダが一年前のあのシャモニーのリンダ(→こちら )のヘナヘナ声のEglise Gutiérrezだし、行くのよそうかなとも思ったけど、公爵役のウーキョング・キムだけは聞き逃せません。


オペラ三昧イン・ロンドン
ということで、10月11日の初日に一回だけ安い切符で行くことにしたのですが、近づくに連れて、ホロのリゴレットはまあ我慢できるとして(今までホロは何十回も我慢できたわけだから)、ジルダ聴きたくないわあ、と怖れていたところ、なんと数日前に、いつのまにか他のソプラノに変っているのに気付きました。


ROHサイトのキャスト変更ページも載せずに変更するなんて妙ですが、「Eglise Gutiérrezは実力不足ということがわかったので降ろしました」とは書けないからかしら? そんな良いニュースは早く知らせて欲しいのにむかっ


クリップ

リゴレットってどんなお話なの?と仰る方は以前の記事(→こちら )をご覧下さいですが、要するに、


ヴィクトル・ユーゴー原作の、涙なくしては見られない哀れなせむしの宮廷道化師父娘の愛と復讐のよく出来たストーリーで、ヴェルディの傑作。 


マクヴィッカーの安普請プロダクションは全く頂けませんが、衣装だけは洒落てて好き(舞踏会のおっぱい丸出しドレスは不自然ですが)。


カメラの調子が悪かったのでカーテンコールの写真はありませんがしょぼん、ざっとパフォーマンスについてだけ書いておきます。


オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Giuseppe Verdi
Director David McVicar
Set designs Michael Vale
Costume designs Tanya McCallin
Conductor Dan Ettinger


Duke of Mantua Wookyung Kim
Rigoletto Dmitri Hvorostovsky
Gilda Patrizia Ciofi
Sparafucile Raymond Aceto
Maddalena Daniela Innamorati
Giovanna Elizabeth Sikora
Marullo ZhengZhong Zhou


オペラ三昧イン・ロンドン

クマリゴレット


ディミトリー・ホロストフスキー(以下いつものように親しみを込めてホロと呼び捨て)、2005年7月にROHでタイトル・デビューした時は話題になったものですが(→こちら )、懲りずにまだやってたんですね。或いは、私は興味がないので知りませんが、あれ以来他でもやってたのかも。


2年前は、髪は真っ白でも若くて美男子のホロが禿げカツラや顔に漫画みたいなシワを描いたりして爆笑ものでしたが、今回はどれどれ少しはまともになったかしら、と、ちょっと楽しみにして初日に駆け付けた私。嫌だ嫌だと言いながら、本当はホロのこと愛してるのかしらラブラブ!はてなマーク


などど、このブログを頻繁に読んで下さる方が聞いたらのぞけりそうな信じ難いジョークは言っちゃいけませんが、結論を言うと、はい、ホロのリゴレットはデビュー時に比べると、全ての面で年齢相応に成熟してました。


5年前は、年寄りに見えるように腰をいつもうんと曲げ(でも、活発過ぎる動きと全く調和してなかったけど)、口をへの字のし、随分わざとらしい態度が、努力は認めるけど外れてると思った私ですが、今回は身のこなしもメイクもかなりナチュラルで、キワ物的面白みはなくなってつまんなかったけど、リゴレットとしては本物に近づき、おまけにまろやか過ぎる声と歌い方も、今回はいつもになくエッジが利いて、ホロさん、なかなかやるじゃないの、今まで私が観たホロの中ではベストだったかも、とまで思いましたよ。


ホロを誉めるのは、もしかしたらこれが初めてかもですが、新聞批評も上々だったようだし、なかなか立派なリゴレットに成長してました。2度観たいとまでは思わないし、ヌッチとは比べ物にならないけど。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン


ネコジルダ

下手っぴのEglise Gutiérrezの代役は、立派な知名度のあるパトリチア・チョ-フィだったので万歳と叫んだ私クラッカー 彼女のジルダは ROHでもすでに観てるので新鮮味はないですが、優しいチョ-フィの声と容姿はジルダにぴったりで、今回も一生懸命声を張り上げる彼女に声援を送りました。この後、病欠した日もあったようですが、無事復活したようです。


しっぽフリフリ公爵

韓国人テノールのウーキョン・キム君、またの名が朝青龍なので、東洋人であること以外に大変なハンデを背負っているのですが、甘さと力強さが程よくミックスされた声が好きドキドキ 

そして、どう頑張っても、ビジュアル的に納得させることはできないのにも拘わらず、残酷で横暴な腕白というわかりやすい役作りで熱演したのも、好感が持てます。なんと言っても、オペラ歌手はルックスよりも歌唱力ですから。

などと、普段は面食い発言が目立つ私が言っても信憑性に欠けるかもしれませんが、キム君は違う役でもっと聴いてみたいテノールの一人です(ROHではラ・ボエームと薔薇の騎士のちょい役で出演経験あり)。


さそり座殺し屋

レイモンド・アチェストはつい最近真珠採りでも聴いたバスバリトンですが、今回も凄みのあるのは容貌だけで、歌は迫力なくてペケ。


人気オペラのリゴレット、また再来年あたりにやるんでしょうが、違う人で聴きたいです。少なくとも、今回のダブルキャストであるパウロ・ガヴェネッリおじさんだけは避けて欲しいです。


ヒヨコマルーロ

リゴレットの宮廷仲間というほんのちょい役ですが、「あら、長身で可愛い東洋人が!」、と目が釘付けになったのは、ここ数日ここで話題にすることが多い中国人バリトンのZhengZhong Zhou。Jette Parker Young Artistsの新入生である彼にとってはROH初舞台だった筈で、歌も演技も緊張して硬かったけど、初々しくてチャーミングでしたラブラブ! 彼が出てる間は、禿げカツラのホロになんて当然目もくれませんでしたわ。因みにこの周正中君は26歳で既婚ということがわかりました。

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