オペラ三昧イン・ロンドン


2月10日、18日、25日の3回、ロイヤルオペラハウスのRigolettoに行きました。


リゴレットって何?、と首をかしげる方は→こちら をご覧下さい。涙なくしては見られない哀れな宮廷道化師父娘のお話です汗 音楽も素晴らしくて、ヴェルディの一番の傑作ではないでしょうか。何度聴いても飽きません。


オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Giuseppe Verdi
Director David McVicar
Set Designs Michael Vale
Costume Designs Tanya McCallin


Conductor Daniel Oren
Duke of Mantua Francesco Meli
Rigoletto Leo Nucci
Gilda Ekaterina Siurina
Maddalena Sara Fulgoni
Sparafucile Kurt Rydl
Giovanna Elizabeth Sikora
Count Monterone Iain Paterson
Marullo Charghan Lim

Matteo Borsa Daniel Norman
Count Ceprano Vuyani Minde


しかし、このプロダクションには飽きているのに3回も行ったのは勿論レオ・ヌッチが出るからで、彼が出る予定の4回分は全部押さえてあり、全部行くつもりだったのですが、14日はミラノから帰ってくる日に当たってしまい、空港からその足で駆け付けたらちょうど良い時間だったけど、「飛行機がガトウィック空港に着くのは4時だね、じゃあ夕飯までには帰宅できるね」というトーチャンに、「あ、私さ、帰りにちょっとROHに寄るから、帰るのは11時かな」、とはさすがに言えませんでした。

10日の初日にヌッチが病気で出なかったらその日も行っただろうけど、初日にかぶりつきでとりあえず一度は観たし、14日の切符はupperslipだったので、直前まで握り締めてたけど、結局人に譲りました。


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                  横から後ろから、拝ませて頂きます



これほどまでにヌッチにはご執心な私。バリトンには燃えないのですが、ヌッチだけは別。


ヌッチをご存知ない方は、面食いの私がお熱になるんだったら若くてハンサムなんでしょ、と思うかもしれませんが、いーえ、レオ・ヌッチは60代の大ベテランで、禿げてるし見掛けは全然ぱっとしないオッサンなんです。でも声と歌い方が大好き。


イタリア人の彼は、30年くらい前にROHのリゴレットで急遽代役で出演したのがきっかけで(パヴァロッティと共演)世に出たっていうのに、ロンドンには全然来てくれないってひどいじゃないの、と私はいつも怒っているのですが、そんな私の切ない気持ちも知らず、遠い日本にはしょっちゅう行ったりして、いつも悔しい思いでしたわ。


一度だけ2003年の夏に「道化師」に出る予定だったので、嗚呼やっとと思って楽しみにしてたのにキャンセルされちゃいましたもんね。若い歌手ならまだ待てるけど、ヌッチも年だから、早く見ないと衰えてしまうじゃないのよ~、と焦る私の前にやっと登場してくれたヌッチ様。


紛う方ないヌッチ節を生で聴けて、それだけで大感激の私ラブラブ!。他の歌手たちを圧倒するほどの声量ではなかったのは年のせいかもしれないけど、私は3回とも舞台袖の席だったので問題なかったし、さすがと誰しも思ったにちがいない余裕と貫禄。


大ベテランらしい振る舞いはカーテンコールでも出て、18日と25日(彼の最終日)には2幕目が終わってジルダと二人で抱き合ったり誉めあったりして勝手にカーテンコール、25日はさらに幕の途中で(リゴレットの一番の見せ場アリア直後に)ヌッチが「ほれ、君と君、ご挨拶して」と舞台からオケのメンバーを指名したりして。そんなの前代未聞ですよ。


今までのROHのリゴレットに比べると(今までの歌手たちは→こちら )、ヌッチは松葉杖もついてないし、ちょっとだけビッコするくらいでことさら身体的ハンデを強調もせず、ごく普通の人としてリゴレットを意外にあっさり演じました。乱交パーティ場面のいやらしい余興も自分ではせず、他の人にやらせたのもヌッチが「わしゃ、そんな下品なことしたくないぞ」とでも言ったのでしょうか。若い美男子ホロストフスキーの大袈裟メークの爆笑リゴレットと比べるのは失礼としても、年恰好からも素顔で演じることのできるヌッチのさりげなさと細かい部分まで表現できる余裕が漫画的にならずに道化役リゴレットの悲しいペーソスを滲み出し、期待通りの最高のリゴレット。


ヌッチのために奮発してストール・サークルに3回も座ったので100ポンド以上の出費となりましたが、多分これが最後の生ヌッチでしょうから、惜しいとは思いません。それどころか、スカラ座に比べればROHってなんて安いんだろうとありがたさが身に染みました。


しかし、休まずに出てくれて本当に助かりました。ありがとう。だって、ヌッチ殿が不調だったら、代役はダブルキャストのパオロ・ガヴァネッリおじさんに決まってますもんね。それだったら観たくない、かと言うとそうでもなくて迷ってしまうだろうと言う理由は、公爵役のフランチェスコ・メリも娘ジルダのエカテリーナ・シウリーナもそれはそれは素晴らしかったからです。


シウリーナは、以前のROH2回とパリ・バスチーユでジルダを聴いたことがあるので理想的なジルダだということはわかってました。でもこんなに何度も聴くと飽きるかと思っていたけど、何度聴いても聞惚れました。先週のリサイタル もとても良かったし。


ROH初登場のフランチェスコ・メリも今回とても楽しみにしてた若手テノールですが、期待以上に良くて、びっくりしたくらい。若々しくて力強さのある芯のある美声に、今までのROH公爵ナンバーワンはご贔屓丸ちゃんだったけど(比較は→こちら )、メリをトップにしようかしらとすら思ったりして。芝居も含めたら(単純な役なので大した演技力は要らないものの)、メリがベストかな。ヴィリャソン、ベチャラ、ヴァルガスという一流テノールを差し置いての一位ですからね、私がどれだけ誉めてるかおわかりでしょう。


イタリア人同士のヌッチとメリはまるで親子のような雰囲気もあり、シウリーナと3人、役柄に皆さんぴったりでバランスも良く、共演するのも楽しそうに見えて、今までのROHリゴレット・トリオとしてはこのチームがダントツのトップ。今シーズのROHはなかなか出来が良いのですが、その中でも思い入れのある私にはハイライトでした。



ベルベルベルベル

さて、その素晴らしいテノールのフランチェスコ・メリのリサイタルが3月11日にあるのですが(St. John's Smith Squire)、先月のシウリーナ同様、切符がたくさん余っています。これではあんまりですから、ロンドンの皆さん、是非行って、一緒に声援しましょうよ~クラッカー  詳しくは→こちら



カメラ以下、3回分の大きい写真をずらっと並べときます。私にとっては大切な思い出ですから。



12月10日初日
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22月18日 左からの方がいいですね、このプロダクションは。
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32月25日


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