コーチングとペップトーク・・・その6 | 映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

ペップトーク(Pep Talk)とは人を元気にする短いスピーチで、コーチングの最後のスキルとも言われているそうです。映画に出てくるペップトークを通して、みなさんにもペップトークを知っていただければ幸いです。

 今日、プロ・コーチの方にお会いして、コーチングに関することをいろいろ教えていただきました。


 この方は、ペップトークにとても興味を持ってくださっており、コーチングのスキルにペップトークのスキルをプラスすることで、たくさんの相乗効果が得られるという事例を紹介してくださいました。


 そのひとつひとつの事例に関してはあらためて紹介させていただきます。


 で、その方とお会いして、お話を聞いたあとに、その昔に聞いたマネジメントのことを思い出したのです。


 それは今から15年くらい前ですが、立教大学名誉教授で立教大学に観光学部を開設するのに尽力された岡本伸之 教授(現在は帝京大学経済学部教授・・・私がお話をうかがったときは、まだ立教大学社会学部観光学科だった)にホテルマネジメントやホスピタリティに関するお話をうかがいに行ったときのことでした。


 教授は、ホテル経営の成功の要因としてヒルトン・ホテルの創業者コンラッド・ヒルトンの言葉「Location,Location,Location」(1にも2にも3にも立地)を引用して、出店場所の優位性がまずは経営を左右するのだと説明してくださいました。


 ・・・ただし、基本的な条件は立地にあるものの、同一条件のときに人的マネジメントによる売り上げや収益の差が起こるのだということ、マネジメントの質の重要性を、事例を通して解説してくださったのです。


 その事例とは、有名なファミリー・レストランの人事・配置転換による業績の変化でした。


 ファミリー・レストランは、基本的には、出店したらビジネスが成功する要因を周辺人口・交通量・道路幅・周辺の競合状況など、細かな基準設定し、それをクリアした立地に絞って出店しています。

 その意味では、コンラッド・ヒルトンの「Location,Location,Location」に通じるものがあります。


 しかも、ファミリー・レストランは、徹底したマニュアル化で一定レベル以上の接客技術を徹底し、統一したメニュー・統一の価格で、どの店も均質なサービスを提供できるように経営工学を徹底しています。


 それでも、売上の良い店と悪い店が出てくる。


 ほぼ同一条件にも関わらず、売上の高い優良店A店のa店長と、売上が悪いB店のb店長を入れ替えたらどうなるか・・・


 みなさんはどう思われますか?


 オペレーションがマニュアル化されていても、売上に差が出ること自体が私には信じられなかったのですが、

(徹底したマニュアルのぺレーションなのだからマネージャーの交代による売り上げの変動はない・・・と思っていた)人的マネジメントが売上に影響するという前提の話を聞いていますから、私の推測は


 A店はa店長のマネジメントが良かったのをb店長が引き継ぐのだから、売上はあまりかわらない。

 一方、B店は優秀なマネージャーa店長がテコ入れすることにより、平均的な売上の店になる。


 というものでしたが・・・×でした(涙)。


 正解は、b店長のマネジメントによりA店は売り上げが下がる

 a店長のマネジメントによりB店は優良店になる


 でした。


 そのときは「へぇ~」としか思っていなかったのですが、15年以上もたって、何故か今日、その話を思い出したのです。


 そもそもA店長とB店長のマネジメント・スキルの違いって何だったんだろう?


 マニュアル化されているオペレーションを徹底するのがファミリーレストランのマネジメントであれば、私の仮説の回答である「優良店A店はb店長が引き継いでも売り上げは下がらない」はず。なのに下がるということは、店員のサービスレベルではない他の要因が、売上(お客様の再利用)に大きな影響を与えたということ?


 だとしたら、それは店員の「モチベーション」?


 そういえば、私が社会人になりたてで、現場で営業をしていたときに、ほぼ2年サイクルで支店長が変わった。


 1人目は進軍ラッパを吹くような、営業出身のイケイケドンドンの支店長


 2人目は本社秘書室長から支店長として赴任してきた人


 3人目は財務・業務畑出身で利益率や効率に関して細かい人


 さて、みなさんはどの支店長のときが一番業績が良かったと思いますか?


 って、コレだけの情報ではわかりませんよね。


 一番悪かったのは最初の支店長。営業出身だから営業を統括できるのかというとそうではなかったということ。


 3番目の支店長のときは、決して雰囲気は悪くはありませんでしたし、前任者から引き継いだ土台の上にQCの発想を持ち込み、改善することで利益体質が良くなったり、業務の流れがスムーズになりました。


 でも、今思い出してみると(その前の支店長が良くなかったせいかもしれませんが)、赴任当初は「本社で会長や社長の秘書連中をたばねていたオッサンに支店経営ができるんか?」って、入社して2年過ぎたばっかの若造が思っていたわけです。

 ところがどっこい、目標未達成でも前の支店長みたいに血相を変えて怒るわけでもない(厳しくないというわけではありませんでしたが)、淡々と管理職を指導していたような気がします。(前は灰皿が飛んだりしてましたから)


 この支店長がどんなマネジメントをしていたのか、当時平社員だった私は知るよしはありません。


 ファミリー・レストランのa店長がどんなマネジメントをしていたのかはわかりません。


 ただひとつ言えることは、この人たちは「人の気持ちを明るく前向きにしていた」のであろうこと。

「モチベーションアップ」の何かをしていたのであろうということ。

「目標を達成するということに対して、何らかの心理的アプローチをしていたのではないか」ということ。


 特にa店長は、叱ることなくマネジメントしていたのではないか(上記の支店長は、あまり厳しく叱るってことに出くわしたことがないのでわかるのですが)ということ。


 だとしたら、この両者はコーチングのスキルを何かのきっかけで体得して実践していたのではないか・・・


 なんてことを思ったのでありました。




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