クリスマスイブに願うのは | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

地球を旅するカフェの心底美味しいケーキを食べながら、ずっと考えていた。今日はクリスマスイブ。ハンナになんて声をかけようか。

ハンナはウクライナ南部ヘルソン出身のピースボートの元船員。戦火を逃れ、今はルーマニアで暮らしている。ロシアのウクライナ侵攻が始まった時に生後4ヶ月だった息子さんは、もう1歳だ。今日はどんな気持ちでいるだろう。メリークリスマスでいいのかな?…そんな中、今日もヘルソン市砲撃のニュースが入る。クリスマスイブに故郷が破壊されるニュースを聞くのはどんな気持ちだろうか。少し前に話をした時は「悲惨なニュースばかりで悲しむことも驚くこともなくなった」と言っていた。考えて、悩んで、「愛と祈りを送ります」としか言えなかった。いつも代わり映えしない言葉。つくづく自分が嫌になる。

先日、ピースボートがずっとお世話になっているガザ地区のザヘルさんのインタビューを訳した。昨年5月のイスラエルの攻撃で家が破壊されたザヘルさん。子どもたちに願うことは?との問いに「人生が子どもたちにとってフェアであること」と答えていた。ザヘルさんはこれまでの人生で「こんなのフェアじゃない」と、どれだけ憤り、どれだけ踏ん張ってきたのだろう。

戦争は市民にとって、いつもフェアじゃない。どちらの市民にとっても。大きな正義語りにのみこまれて、自分たちの幸せを自分たちで当たり前に手に入れられるフェアさを失わないように、私は戦争ではなく平和を訴える。