天声人語の担当が「おじさん2人とおばさん1人になった」日 | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

ふたつきほど前、天声人語の3人の「中の人」のうちのひとりが女性になった。天声人語史上初めての女性筆者だそうだ。遅すぎるかもしれない。でも私は嬉しかった。「そういうわけで、今日から小欄の担当は、おじさん2人とおばさん1人になった。」というその部分を、思わず頬を緩ませてしまいながら読んだ。

その数日後、ふとしたきっかけから、その「中の人」が私の大先輩の郷富佐子さんだと知った。もう10年以上も前になるけれど、会ったこともある人。(たしか)築地の朝日新聞本社でお茶をして、がんばってね、って声をかけてもらった。

中の人が郷さんだと知ったときのはじけるような驚きと、嬉しさと、湧き上がるエネルギーみたいなものを最近になってもたまに思い出す。身近な人が、きっと私も想像のできないような様々なものとたたかいながら、時に理不尽な思いやプレッシャーも感じながら道を切り拓いていると知ることがこんなにも力をくれるのか、と。エンパワーメントって、こういうことなのかな、と。

毎朝これは郷さんかなと思いながら天声人語を読む。今日もそう。今日の天声人語を書いたのは郷さんかもしれないし郷さんじゃないかもしれないけれど、最後の2文を何度も何度も読んだ。

「戦争はあらゆる心を破壊する。だからどれだけ遠くても、どれだけ困難でも、やめさせなければいけない。」