とりあえず・・・・M君を留守番させ、私とY君は対象者の車を追尾する。
運転は私、PCで現在位置をフォローするのはY君の仕事である。
「57号線・・・・ずっと対象者宅方面に走ってるっすねぇ・・・真っ直ぐ帰るんじゃないっすか・・・。」
「かも知れん・・・でも一応追っかけないとな・・・。」
自然に足にも力が入り・・・・車はスピードを増して行く・・・。
「今(対象者)どの辺?」
「え・・・っと・・・・クリスタルモールんとこあたりっす!」
「・・・・う~ん・・・・まだだいぶあるな・・・。」
正直・・・今日は無理かな。と考えていた・・・。
「あ!社長!!」
Y君が言う。
「停まった?」
「っす!クリスタルモールの中に入ったっす。」
「よし!」
クリスタルモールとはショッピングモール(複合施設)の事である。私は急いでそこへ向かった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
モール内駐車場と言っても・・・面積的にはかなり広い。しかし幸いにピンポイントで現在位置が出ていた為、比較的に早く探し出す事が出来た・・・。
「よっしゃ・・・あった・・・。」
「っす・・。」
すぐにY君はモールの全景と対象者使用車両を撮影する。
「どこに張り込もうか・・・・。」
私とY君は対象者使用車両から距離を置いて・・・・とは言っても撮影するには支障の無い程度で張り込む事にした。
車輌の中には対象者はいない。間違い無くモールの中に入ったのだろう。中を探せばもしかしたら左腕を吊った対象者を探す事が出来るかも知れないと考えはしたが・・・・とりあえず車輌付近で2人とも待機する事にした・・・。
今回の目的はあくまで対象者の顔を確認し、撮影する事である。映像で見る対象者と実物で見るそれとは若干イメージが違ってくる場合がある。
私はそれほど苦にならないが、Y君やM君はニュアンスが違うと間違う可能性がある為、今後の調査を見据え2人で確認&撮影をする事に決めたのだ・・。
また撮影するタイミングが遅れると車に乗り込む瞬間しか撮れない可能性もある為に私はモール方向から歩いて来るそれらしき女性を見たらすぐにY君に知らせる役である。車外に出て立ち張り(立って張り込む事)をする。
ハンディカムを持っている人には判ると思うが、待機モードにしていても実際に撮影するまで立ち上げるには数秒かかる。その数秒の遅れで撮影に間に合わない事もあるのだ。
ここぞ。という撮影の時には絶対にミスをしない為、敢えて撮影のみに徹する事もある事を知ってほしい。
調査の技術はその場面場面で何に重きを置くかで決まると言っても過言では無いのだから・・・。
平日の昼間という事もありそんなに人の多さは感じない・・・・これなら店内に入っても探す事が出来そうだ・・・。正直、そんな誘惑も気持ちを駆り立てる・・・。
しかし・・・今迄何度も肩透かしを喰らった相手である。慎重に進めよう・・・そう考えて誘惑を封じ込める・・・。
30分ほど経過した時・・・
「ん?」
出入口を見やると・・・・独りの腕を吊った女性が歩いて来る・・・。
「おっ・・・・・??」
正直・・・・派手で綺麗系だとは聞いていtが・・・・。
残念ながら顔は大きめのサングラスでよく判らない・・・髪はセミロング位の長さ・・・身長160cm前後。
色は白くスレンダーな美人だろう・・・モデル並とは言いすぎかも知れないが、パッと見目立つ女性ではある。
私はすぐにY君に見える様、頭を掻いてみせた。Y君はすぐに後部座席から撮影機器(ハンディカム)を回す・・・。
普段の調査であれば出来る限り車外で撮影する。映像の鮮明さが変わってくる・・・しかしそれを許さない程対象者は警戒していると踏んでの撮影手段である。
勿論、私達の車輌は後部3面にスモークを貼っている為、日中であれば後部座席はほとんど見えない・・・。
私はY君への合図の後、車の陰に身を潜め・・・(潜めたかどうかが問題じゃない!)対象者を観察した。
予想通り・・・・ピクリとも左腕を動かさない・・・。私は影から車に乗り込む瞬間を待っていた。
対象者は右腕にバッグと買い物したと思われる紙手提げを持っていた・・・。乗り込む瞬間にはきっと隙を見せる筈だと踏んでいたからだ・・・。恐らくY君の映像も顔のアップから左腕のアップに変わっている筈。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
しかし・・・・対象者はボンネットの上に荷物を乗せると右手でキーを取り出し、ドア開け・・・・荷物を全て乗せ込んだ・・・。
「くそっ!」
判っていた事とはいえ・・・・なかなか手強い。
対象者は車に乗り込むと・・・・移動を開始した・・。
すぐに私も車輌に乗車し発信したが・・・・結果、帰宅しただけだった・・・。
「やっぱり簡単じゃないね・・・・。」
車内で私はY君にこう切り出すと・・・・。
「いや・・・そうとも言い切れないっすよ・・・。」
Y君がニヤリと笑った・・・。
「何で?」
「いや・・・僕どアップで撮影してたっすけど・・・。乗った後・・・対象者左側に一瞬沈んだっす。」
「何で??」
「僕も何をしたかは判らなかったっす・・・でも右肩の動きを見てたらあれは絶対左手で何かしたっす・・・。」
「なるほど・・・・・。」
ただのあほだと思っていたが・・・なかなかの洞察力・・・。
吊ったままの左腕で左側に沈む理由が見つからない・・・。
しかし・・・・・それをどうやって撮影する??
帰宅を追い掛ける途中・・・・ずっとその事ばかりを考えていた・・・。
(続く)
※弊社はお客様のプライラバシー保護や個人情報の保護には万全を期しております。この物語はフィクションです。登場する人物や団体は全て架空のものであり、実在する人物・団体とは一切関係ありません。尚、作品のリアリティを追求する為に、私を含む弊社スタッフは全て本物です。悪しからず。
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