国民年金保険料の納付率は、平成24年度では6割弱となっています。前年度よりは少し高くなりましたが、それまでは年々下がっていました。

 

同年度の地方税を除く滞納発生割合(新規発生滞納額÷徴収決定済額)は1.1%です。徴収方法なども異なるため単純に比較することはできませんが、税金の滞納に比べて未納になっている国民年金保険料の割合は、非常に高いと言えるでしょう。

 

税金は納めないと国税庁が差し押さえなどをして、厳しく取り立てるからだということも聞いたことがあります。しかし、国民年金の保険料を滞納したままにしても、差し押さえをされることになります。

 

国民年金の保険料を未納のままにしておくと、督促状が届いて督促を受けることになります。そして、督促状に指定された期限までに保険料を納付しないと、法律で次のように決められています。

 

厚生労働大臣から処分の請求を受けた市町村は、市町村税の例によってこれを処分することができることになっています。また、悪質な滞納者の場合には、厚生労働大臣の権限を委任された財務大臣が滞納処分を行なうことができることになっています。


つまり、督促で指定された期限までに保険料を払わない場合は、税金と同じように取り立てることができるということです。財産や給料などを差し押さえされることになります。

 

実際の運用では、税金ほどには取り立てられていないようですが、滞納すると法律上は税金と同じことが可能になっています。保険料の納付率が上がらなければ、差し押さえする件数も増えていくことが考えられます。

 

 

また、本来の納期限を過ぎてしまうと、保険料に加えて延滞金も徴収されます。納期限から3ヶ月までは年率7.3%、それ以降は年率14.6%の利息が日割りで掛かります。

 

 

その他にも、障害年金や遺族年金を受けられなくなる可能性もあります。国民年金の保険料を払い込んでいる期間と保険料免除期間を合わせた期間が、被保険者である期間の3分の2以上ないと、どちらの年金も支給されません(※)。遺族年金の場合は、実際に年金を受取る人ではなく死亡した人が保険料をどれだけ払い込んでいたのかが条件になっています。受取る人が保険料を払い込んでいたかどうかは関係ありません。

 

 

国民年金の保険料納付率は、2030代前半の人が特に低くなっています。しかし交通事故などに遭い、突然重度の障害者になってしまう可能性もあります。国民年金の保険料を支払っていれば、障害基礎年金や障害厚生年金を受取れますが、未納していたことによって全く受取れなくなることもあります。

 

特に若い人は、年金なんて老後のことだと関心が薄い人も多くいると思いますので、あまり何も考えずに保険料を未納している人も少なくないようです。しかし、公的年金は、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金もあり、生命保険のような機能も持っています。可能であればできるだけ保険料は納めるようにし、収入が少なくて保険料を納めるのが経済的に厳しいのであればせめて保険料免除の手続をしておいた方が身のためです。

 

※:特例として、平成2841日より前に、障害の原因となった傷病の初診日(その傷病で初めて診療を受けた日)や死亡日があった場合は、初診日や死亡日の前日時点で、その前の月までの1年間で保険料を未納していなければ、条件を満たしたことになっています。


(日本人が知らない公的年金制度)
○公的年金のことをどのくらい知っていますか?
○高齢じゃなくても受け取れる年金がある

○公的年金は保険料が積み立てられていない
○年金の保険料いくらか知ってます?
○国民年金の保険料は免除されることがある  
○国民年金の老齢基礎年金の受給要件
○老齢基礎年金の金額は?
○老齢厚生年金の受給要件
○老齢基礎年金の金額は?
○公的年金は保険料だけで賄えていない
○年金の受給者数と被保険者数はどちらが多い?
○国民年金の被保険者
○障害年金の金額

○国民年金の遺族年金の金額
○国民年金の保険料を安くする方法
○老齢年金を早く受取る方法