ご存じの通り、神社でのお参りの作法は、「再拝二拍手一拝」(二礼二拍手一礼とも)です
拍手は、柏手(かしわで)とも言いますが、そもそも何で手を叩くのと疑問の方もいらっしゃるでしょう
この拍手、実は「古代の日本人の拝礼作法」だったからなんです
日本人の敬礼作法については、『魏志倭人伝』に「ただ手を博ち以て跪拝に当つ」と書かれています
一般的な神社では、拍手の回数は2回ですが、出雲大社では4回、神宮では8回、といった作法もあります
また、神葬祭(神道でのお葬式)では「忍手」といって、ごく小さな音で柏手を打つこともあります
一概に、「忍手」=音が鳴ってはいけない、ではないんですね
日々拝礼作法を行っていますが、柏手は、作法自体は簡易でありながら、最も難しく奥が深い作法だなと感じます
その日の体調や精神の状態もはっきりと柏手の音に反映しますし、ほんの少し力が入ってしまうだけでもダメになってしまいます
神主にも、凛とした柏手を打つ方がいれば、ポンッと軽やかな柏手を打つ方、ゆっくりとした作法なのに音はパンッと打つ方など、まさに十人十色です
ちょうど奉職活動をしていたときに、奉職で採用試験を受けに行った学生が、はじめにその神社の宮司から「お参りしてみなさい。」と言われ、柏手を打ったのを聴いて『もう帰っていい』と言われた、という話を聞いたことがあります
本当かどうかは分かりませんが、確かに、神主たるもの、柏手一つにも「おぉ」と言わせるだけのものがなくてはなりません
そして、今日も神人合一の境地にて打ちます
神の一拍を極めるために・・・
<神主・奈阿>