『フランス・クラヴサン音楽の精華』
(BMGビクター BVCD-15、1991.2.21)

BMGビクターは発売元で
ライセンスは
ドイツ・ハルモニア・ムンディです。


小川洋子の
『やさしい訴え』を読んでいたら
「グスタフ・レオンハルトは
 チェンバロの神様と
 言われている人です」と
チェンバロ製作者・新田の弟子
薫が言う場面があって
(文春文庫版、81ページ)
そこであがっていた
アルバムのタイトルが
本盤なのでした。

本盤が出た当時の自分は
レオンハルトの新譜を見かけたら即購入
というほど
ハマっていた時期でもあり
当然、持ってましたので
小説の中に出てきたのを見て
「持ってるよ、うふふ」
と、ひとりごちたのでした。
(気持ち悪いやつw)


ただし、実をいえば
本盤は
レオンハルトの中でも
あまり聴かない方のCDなのでした。

ここ最近になって
ラモーの「やさしい訴え」を
聴き比べようと思って
棚から出してきてたりしたのですけど
買った当初
基本的にフランスのクラヴサン曲は
自分に合わないなあと思い
数回、聴いてだけで
ほっぽいといたのでして。(^^ゞ

小説に出ていたということで
改めて聴き直しましたが
やっぱり
あまり萌えないですね(苦笑)


レオンハルトがまた
いわゆる有名曲を外すものだから
馴染みのない曲がほとんど
だというのも
影響していると思うなあ。

このCDが出たとき
ル・ルーの
クラヴサン曲だけを集めた
CDなんて
1枚もありませんでしたが
今では自分の貧しい棚にも
2枚ほどあったりします。

ロワイエの場合
いちばん有名な(と思われる)
「スキタイ人の行進」を
外してますからね。

デュフリの「ポトゥアン」は
曽根麻矢子のCDにも入っていて
いいなあと思ってた曲ですが
それより前に
レオンハルトで
聴いていたのかと
今回、改めて気づき
びっくりしちゃいました。

ラモーにしても
「やさしい訴え」は入ってますが
その他の有名曲は
「ミューズたちの対話」くらいで
見事なまでに一般ウケしない
(と思われる)
セレクトだったりします。


なによりも
「フランス・クラヴサン音楽の精華」
というアンソロジーでありながら
クープランを外すという(苦笑)

クープランに関しては
この後にクープラン一族のCDを
(別のレーベルからw)
リリースしてますので
それを見越して
外したのかもしれませんけど
このCDが出た当時
こういう選曲は
かなりクセがあったと思います。

馴染みのない曲を提供するのが
レオンハルトらしいといえば
いえなくもないのですけど
やっぱりバッハや
フーガっぽい曲が好きだった
当時の自分にとっては
敷居が高いし
面白味が今ひとつ分からない
馴染めない1枚だったわけです。


ライナーも
自分が初めてレオンハルトを聴いた
オーセンティック・ベスト50
シリーズの頃に比べると
記述が少ないですしね。

ただ少ないだけではなく
たとえばデュフリの曲名などで
原語のカタカナ表記で済ませるだけでは
意味が分からないものについて
何の説明もされていません。

人名なのかもしれませんが
だとしたら
「人名だが誰だかは不明」
と書いてくれるだけで
かなり印象が変わるし
曲の受け止め方も変わります。

そういうところの配慮が乏しいのも
本盤の印象を悪くするのに
与っていたように思います。

なお、本盤は後に(2008年に)
新しいオーセンティック・ベスト50の
第14巻として
廉価盤となって再販されました。

その際に
ライナーの記述が
補足されているかもしれませんけど
自分のわずかな見聞から考えるに
おそらく、何の補足も
されていないと思います。


今となっては
レオンハルトの弾く
「やさしい訴え」は
貴重だと思いますが
使用楽器のせいでしょうか
あるいはテンポの問題でしょうか
もしかしたらフランス・クラヴサン曲が
そういう性格なのかもしれませんけど
ぽわんとしている感じで
個人的には今ひとつ。

レオンハルト本人は
想像するに
ロマンチストだと思うんですが
学究の徒としては
ガチガチのリゴリストなので
フランス・クラヴサン曲の世界が
今ひとつ合っていない気がします。

そう感じるのは自分だけでしょうかね。

……自分だけでしょうけど。( ̄▽ ̄)


あ、微妙に悪口になってる?

何だかんだいっても
自分、レオンハルト命ですんで
そこはお間違えなきよう。


ペタしてね