ご覧になる前に...
こちらは 先日のラブコラボ研究所『メロキュン☆卒業レポート』として
提出した「卒業」の蓮サイドのお話になっています。
まずは、「卒業」のほうを、先にご覧いただくことをお勧めします。
「卒業」をお読みいただいてからでないと、??なお話になっております
「卒業」はこちらから..↓
卒業1 卒業2 卒業3 卒業4
原作者様、原作とは一切関係ございません。
原作の設定、お話の進行から浮かんだ妄想をまとめたものになっています。
原作と異なる点、原作ではありえないこともでてまいります。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
( 卒業 side:蓮 1 の続きになります )
「紅...か... まさか、この名を再び使うことになるとはね」
”紅”は、蓮がまだ幼い頃に使っていた少女モデルとしての名前だった。
かの少女が妖精と見間違えるほどの母譲りの美貌を周囲が放っておくはずもなく、
蓮は身元を隠しジュリエナの遠縁ということにして”紅”を演じていた。
最初の頃こそ「小さなジュリエナ」と誉められてうれしくて
楽しんでいたモデルの仕事だったが、仕事を重ね自我が育つにつれ
自分に求められていることは母のコピーであることに悩み苦しむようになった。
そして、蓮は 体の成長を理由に”紅”を封印した。
でも今は、紅を演じることに喜びさえ感じてる。
君が俺を闇から救ってくれたからなんだよ..
君が絶賛してくれたあのアルマンディのCMだって、
君が背中を押してくれたようなものなんだ..
カイン・ヒールとしての仕事が終わってすぐ、
蓮は社に相談し、ある企みを実行に移していた。
その動きにローリィが気がつかないはずもなく、
ある日、蓮は社長室に呼ばれることとなった。
「すまんな、蓮。こんな遅い時間に呼び出して。
社には聞かせられない話なのでな」
そう言って、ローリィは蓮に書類を手渡した。
表紙の文字を一瞥した蓮に怪訝な表情が浮かぶ。
「アルマンディ25周年記念CM?
社さんに知られたらまずい内容なんですか?」
「まぁ、読んでみろ。話はそれからだ」
蓮はソファーに腰掛けると、渡された書類に目を通し始めた。
最後の1枚を読み終えると、テーブルに書類を置き、立ち上がった。
「もう遅いので帰ります。では」
「まだ話は終わってないんだがな、蓮」
「俺は男ですよ?
ジュリエナのCMのリメイクに女装した俺を使うなんてふざけてる」
「お前はアルマンディと専属契約を結んでいる。
ドレスは着ない、という特約はなかったと思うがな。
アルマンディがそれを望むなら、お前は断ることはできない」
ローリィは蓮に座るように促し、にやりと笑う。
「最上君は、性別を超えて、立派にクオンを演じきっていたぞ。
お前、その最上君の先輩面するくせに、これをできないと?」
愛する娘の名を出された蓮は、ローリィを睨みつけた。
「あれをひきあいに出すんですか?
最上さんは、ああいう体格ですから少年の役もこなせるかもしれませんが
俺は、この体型ですよ?
どこをどうすれば女性に擬態できるんです?」
「ああ、それなら心配は無用だ。そこはテンが解決する。
それにな、蓮。
今のお前になら、演じられるんじゃないか?成長した”紅”を。」
唐突に、ローリィの口から飛び出したその名に、蓮は目を見開いた。
そんな蓮を鼻で笑い、ローリィは続けた。
「黒蜥蜴、ラ・カージュ・オ・フォール、サド侯爵夫人...
お前が最近観劇した演目だ。そして、これに共通するのは..
主人公を女装した男性が演じていること。
もうひとつ。
お前、ボイストレーニング始めたんだってな。
トレーナーに話を聞いてきたよ。女声まで出せるそうじゃないか。
蓮、お前...
また、”紅”をやってみたくなったんじゃねぇのか?」
じっと自分を見据えたままのローリィから視線を外せずにいた蓮だったが
観念したように口を開いた。
「全てお見通しなんですね。そうです。そのとおりです。
今の”敦賀蓮”にはカインのような、”敦賀蓮”の色から外れたオファーは来ません。
脚本が作られる前から、俺が演じることを前提に
アテ書きされるものがほとんどになってしまいましたし。
”敦賀蓮”の色を全く要求されないカインを演じることはとても楽しかった。
敦賀蓮の名前を外すことで、役作りも自由にできた。
敦賀蓮ではなく、役そのもので見てもらえることがうれしかったんです」
「ふんっ もっともらしいこといいおって..
直接の理由は最上君だろうが?
彼女が、役によって自在に自身の色を変えるのがうらやましくなった..
ってとこじゃねぇのか?
まぁいい。お前のそんな顔を見るのはずいぶん久しぶりだ。
そういうことなら、今回の件、悪い話じゃねぇだろう?
もとより、アルマンディは敦賀蓮の名前は伏せておくつもりだったんだ」
「でも、どうしてアルマンディがその話を俺に?」
「ああ、それはな、このCMを撮るのってぇのが、トム・アレンだからだよ。
”紅”って名は、彼がつけたんだろう?
どうだ?彼の前で演じるのが怖いか?」
ローリィは、蓮の反応を楽しむように視線を送った。
「逆ですね.. 彼の目に俺の紅がどう評価されるのか楽しみです」
「お前、最初言ってたことと、全く違ってるんだがな..
で、社にはどこまで話してるんだ?」
「”紅”のことは、まだ話していません。
俺の出自にまでかかわってしまいますから。
ただ、演じる幅を広げたいからとしか..」
「そうか..ならばやはり、このCMは社抜きで進めるか。
ハードワーク続きの彼には、人間ドックの予定でも入れさせよう」
アルマンディ25周年記念CMはその洗練された美しさで世間の評判を呼んだ。
画面の中の美女が蓮だとは、誰一人気づかなかった。
それどころか、蓮の演じた”紅”を蓮の熱愛相手だと報道するメディアも現れた。
蓮は、”紅”復活のきっかけとなったあの日のことを思い出し
笑みを深めた。
最上さん.. 君のおかげなんだ。
君がいてくれたから。
俺はね、君が知らないところで、君にずいぶん救われてきたんだよ。
だから今度は俺が君の背中を押す番だ。
俺の腕に飛び込んでもらうために。
アルマンディ25周年記念CM第2弾に、キョーコが起用されることを
蓮はトムから聞いて知っていた。
トムはクーのホームパーティーでキョーコの映像を何本も見せられるうちに
すっかりキョーコのファンになってしまったらしい。
今の時点でアルマンディがキョーコに感じる不安は全くといっていいほどない。
だが蓮は、キョーコをもっと魅力的に仕上げるために
1週間の特別特訓をアルマンディに申し出たのだった。
もともとこの1週間は、紅として蓮もアルマンディに拘束されている。
トムも「キョーコの魅力が増すのなら」と
キョーコのエステタイムに”紅”の撮影を行うことにして蓮の申し出を快諾した。
1週間だ。最上さん。
ウォーキング、ポージング...俺の全てをかけて
俺はこの1週間で、君を紅以上の最高のモデルに仕上げてみせる。
これでまた、君の魅力が世間にばれて
馬の骨を量産してしまうかと思うと癪だけど..
君を手に入れるためにはしかたない。
このアルマンディのCMが君を一流に押し上げる。
一週間もキョーコと一緒にいて、
紅の正体がバレてしまわないかとの危惧は蓮にもあった。
だが、キョーコから合鍵を受け取った翌日から、
蓮の熱愛報道が加熱して大騒ぎになった。
蓮はそれを利用することにした。
まさか、熱愛の相手が俺本人だとはさすがに思わないよね?
最上さんは俺が心変わりしたと思うだろうか?
少しは...気にしてくれるだろうか?
紅についてのプロフィールをローリィからキョーコへ伝えてもらった。
アメリカ人であること。
ジュリエナに近い人間であること...
紅として最初に会うときに、蓮のイメージと重ならないように..
むしろ、ジュリエナがキョーコの脳裏に浮かぶように。
衣装もメイクも、そう意識したものにした。
そうして、”紅”として初めてキョーコと対面した蓮は
思わず彼女を抱きしめていた。
( 卒業 side:蓮 3 へ続きます )
こちらは 先日のラブコラボ研究所『メロキュン☆卒業レポート』として
提出した「卒業」の蓮サイドのお話になっています。
まずは、「卒業」のほうを、先にご覧いただくことをお勧めします。
「卒業」をお読みいただいてからでないと、??なお話になっております
「卒業」はこちらから..↓
卒業1 卒業2 卒業3 卒業4
原作者様、原作とは一切関係ございません。
原作の設定、お話の進行から浮かんだ妄想をまとめたものになっています。
原作と異なる点、原作ではありえないこともでてまいります。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
( 卒業 side:蓮 1 の続きになります )
「紅...か... まさか、この名を再び使うことになるとはね」
”紅”は、蓮がまだ幼い頃に使っていた少女モデルとしての名前だった。
かの少女が妖精と見間違えるほどの母譲りの美貌を周囲が放っておくはずもなく、
蓮は身元を隠しジュリエナの遠縁ということにして”紅”を演じていた。
最初の頃こそ「小さなジュリエナ」と誉められてうれしくて
楽しんでいたモデルの仕事だったが、仕事を重ね自我が育つにつれ
自分に求められていることは母のコピーであることに悩み苦しむようになった。
そして、蓮は 体の成長を理由に”紅”を封印した。
でも今は、紅を演じることに喜びさえ感じてる。
君が俺を闇から救ってくれたからなんだよ..
君が絶賛してくれたあのアルマンディのCMだって、
君が背中を押してくれたようなものなんだ..
カイン・ヒールとしての仕事が終わってすぐ、
蓮は社に相談し、ある企みを実行に移していた。
その動きにローリィが気がつかないはずもなく、
ある日、蓮は社長室に呼ばれることとなった。
「すまんな、蓮。こんな遅い時間に呼び出して。
社には聞かせられない話なのでな」
そう言って、ローリィは蓮に書類を手渡した。
表紙の文字を一瞥した蓮に怪訝な表情が浮かぶ。
「アルマンディ25周年記念CM?
社さんに知られたらまずい内容なんですか?」
「まぁ、読んでみろ。話はそれからだ」
蓮はソファーに腰掛けると、渡された書類に目を通し始めた。
最後の1枚を読み終えると、テーブルに書類を置き、立ち上がった。
「もう遅いので帰ります。では」
「まだ話は終わってないんだがな、蓮」
「俺は男ですよ?
ジュリエナのCMのリメイクに女装した俺を使うなんてふざけてる」
「お前はアルマンディと専属契約を結んでいる。
ドレスは着ない、という特約はなかったと思うがな。
アルマンディがそれを望むなら、お前は断ることはできない」
ローリィは蓮に座るように促し、にやりと笑う。
「最上君は、性別を超えて、立派にクオンを演じきっていたぞ。
お前、その最上君の先輩面するくせに、これをできないと?」
愛する娘の名を出された蓮は、ローリィを睨みつけた。
「あれをひきあいに出すんですか?
最上さんは、ああいう体格ですから少年の役もこなせるかもしれませんが
俺は、この体型ですよ?
どこをどうすれば女性に擬態できるんです?」
「ああ、それなら心配は無用だ。そこはテンが解決する。
それにな、蓮。
今のお前になら、演じられるんじゃないか?成長した”紅”を。」
唐突に、ローリィの口から飛び出したその名に、蓮は目を見開いた。
そんな蓮を鼻で笑い、ローリィは続けた。
「黒蜥蜴、ラ・カージュ・オ・フォール、サド侯爵夫人...
お前が最近観劇した演目だ。そして、これに共通するのは..
主人公を女装した男性が演じていること。
もうひとつ。
お前、ボイストレーニング始めたんだってな。
トレーナーに話を聞いてきたよ。女声まで出せるそうじゃないか。
蓮、お前...
また、”紅”をやってみたくなったんじゃねぇのか?」
じっと自分を見据えたままのローリィから視線を外せずにいた蓮だったが
観念したように口を開いた。
「全てお見通しなんですね。そうです。そのとおりです。
今の”敦賀蓮”にはカインのような、”敦賀蓮”の色から外れたオファーは来ません。
脚本が作られる前から、俺が演じることを前提に
アテ書きされるものがほとんどになってしまいましたし。
”敦賀蓮”の色を全く要求されないカインを演じることはとても楽しかった。
敦賀蓮の名前を外すことで、役作りも自由にできた。
敦賀蓮ではなく、役そのもので見てもらえることがうれしかったんです」
「ふんっ もっともらしいこといいおって..
直接の理由は最上君だろうが?
彼女が、役によって自在に自身の色を変えるのがうらやましくなった..
ってとこじゃねぇのか?
まぁいい。お前のそんな顔を見るのはずいぶん久しぶりだ。
そういうことなら、今回の件、悪い話じゃねぇだろう?
もとより、アルマンディは敦賀蓮の名前は伏せておくつもりだったんだ」
「でも、どうしてアルマンディがその話を俺に?」
「ああ、それはな、このCMを撮るのってぇのが、トム・アレンだからだよ。
”紅”って名は、彼がつけたんだろう?
どうだ?彼の前で演じるのが怖いか?」
ローリィは、蓮の反応を楽しむように視線を送った。
「逆ですね.. 彼の目に俺の紅がどう評価されるのか楽しみです」
「お前、最初言ってたことと、全く違ってるんだがな..
で、社にはどこまで話してるんだ?」
「”紅”のことは、まだ話していません。
俺の出自にまでかかわってしまいますから。
ただ、演じる幅を広げたいからとしか..」
「そうか..ならばやはり、このCMは社抜きで進めるか。
ハードワーク続きの彼には、人間ドックの予定でも入れさせよう」
アルマンディ25周年記念CMはその洗練された美しさで世間の評判を呼んだ。
画面の中の美女が蓮だとは、誰一人気づかなかった。
それどころか、蓮の演じた”紅”を蓮の熱愛相手だと報道するメディアも現れた。
蓮は、”紅”復活のきっかけとなったあの日のことを思い出し
笑みを深めた。
最上さん.. 君のおかげなんだ。
君がいてくれたから。
俺はね、君が知らないところで、君にずいぶん救われてきたんだよ。
だから今度は俺が君の背中を押す番だ。
俺の腕に飛び込んでもらうために。
アルマンディ25周年記念CM第2弾に、キョーコが起用されることを
蓮はトムから聞いて知っていた。
トムはクーのホームパーティーでキョーコの映像を何本も見せられるうちに
すっかりキョーコのファンになってしまったらしい。
今の時点でアルマンディがキョーコに感じる不安は全くといっていいほどない。
だが蓮は、キョーコをもっと魅力的に仕上げるために
1週間の特別特訓をアルマンディに申し出たのだった。
もともとこの1週間は、紅として蓮もアルマンディに拘束されている。
トムも「キョーコの魅力が増すのなら」と
キョーコのエステタイムに”紅”の撮影を行うことにして蓮の申し出を快諾した。
1週間だ。最上さん。
ウォーキング、ポージング...俺の全てをかけて
俺はこの1週間で、君を紅以上の最高のモデルに仕上げてみせる。
これでまた、君の魅力が世間にばれて
馬の骨を量産してしまうかと思うと癪だけど..
君を手に入れるためにはしかたない。
このアルマンディのCMが君を一流に押し上げる。
一週間もキョーコと一緒にいて、
紅の正体がバレてしまわないかとの危惧は蓮にもあった。
だが、キョーコから合鍵を受け取った翌日から、
蓮の熱愛報道が加熱して大騒ぎになった。
蓮はそれを利用することにした。
まさか、熱愛の相手が俺本人だとはさすがに思わないよね?
最上さんは俺が心変わりしたと思うだろうか?
少しは...気にしてくれるだろうか?
紅についてのプロフィールをローリィからキョーコへ伝えてもらった。
アメリカ人であること。
ジュリエナに近い人間であること...
紅として最初に会うときに、蓮のイメージと重ならないように..
むしろ、ジュリエナがキョーコの脳裏に浮かぶように。
衣装もメイクも、そう意識したものにした。
そうして、”紅”として初めてキョーコと対面した蓮は
思わず彼女を抱きしめていた。
( 卒業 side:蓮 3 へ続きます )