4月9日 東北への物資輸送報告 その1 | C.I.L.

4月9日 東北への物資輸送報告 その1

~はじめに~

今回の被災地への物資輸送の詳細なルポは、後日知人が運営している情報サイト 「OH!」 に掲載されます。ここは元々 「声優・アニソン情報とデータベースに特化したサイト」 なのですが、震災を受けて運営者が覚醒し、今では震災特番状態と化しております。

ちなみにその運営者は奈良原士郎氏といい、元マイクロマガジン社の編集者で 「ゲーム批評を潰した編集長」 という不名誉な肩書きを持つ人物。(ゲーム批評の裏話と奈良原氏の汚名返上はこちらで!

個人的に言えば奈良原氏は



板橋本 の編集者という関係が。


そういう繋がりから、前々から奈良原氏には 「OH!用にルポ書けない?何か復興支援企画やらない?」 とせっつかれており、ちょうどいずへいが物資輸送を企画していたので 「折角だから相乗りさせて~」 と輸送係を申し出たと。

奈良原氏から活動費をガメて被災地に行くから輸送費(高速代・ガソリン代) はこっちで持てるし、そうすれば浮いた分のお金まで物資に変えられるし、初めからそういう話だったんじゃないかと思うほど無駄のない組み方でした。

というわけで、さっそくご報告をしたいんですが、先に申し上げた通り本格的なルポはOH!に掲載するので、ここではおおまかな流れと、私的な部分だけを公開します。詳細はOH!での記事化を待ってください。

話は 【随時更新中】 いずへい嬢の被災地支援プロジェクトを全力で支援します この記事の最後の更新の直後から始まります。


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※一部ショッキングな画像も含まれているので、それなりに覚悟して読んでください。



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4月8日 23:00 板橋

橋本君が用意してくれた輸送用の車が到着。わざわざ車の持ち主の涼風会 メンバーまで運転手として来てくれた。ステップワゴンとの事で、荷物を積み切れるか不安で仕方なかったが、パズルゲームの要領でなんとかギュウギュウ詰めに。

ただし 「バックミラー?なにそれ?」 状態だった事を付け加えておく。これでもし仮に天才的ペーパードライバーであるオレ様にハンドルが渡ったら、カマ掘り続出で数十台規模の玉突き事故発生が確実である。


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4月8日 23:30 埼玉県某市

いずへい嬢 の自宅へ立ち寄り、彼女の家にあった物資も積み込む。本当はミネラルウォーター1箱も積む予定だったが、流石にそれは無理だったため断念。

それにしても、板橋を出てから30分もかからずに埼玉のいずへいの家に着いたのは驚いた。さすが板橋。埼玉に最も近い東京都。

車中でのオヤツにと渡されたいずへい手作りカステラがべらぼうに美味かったので、グルメライターでもある橋本君に味の感想を聞いたところ、「旦那と子供がいなけりゃ求婚してた」 だそうです。おそらく最大級の賛辞という事だろう。


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4月9日 03:30 福島県須賀川市

須賀川のICを降りてすぐの場所で地元の協力者と待ち合わせ。なんでも実家が農家で、お米を30kgも提供してくれるそうな。しかも当初は 「無洗米じゃないんで申し訳ないんですが……」 と言っていたのに、わざわざ無洗米にしてくれるという際限なく積み上がる善意のピラミッド状態。本当に有り難い。

しかし待ち合わせ時間は05:00で、1時間以上も余裕があった(あり過ぎた) ため、せっかくなので歩いて周辺の様子を見てまわる。

すると、内陸部のため被災地として全く相手にされてない地域なのに写真のように道路がべっこんべっこん。夜明け前だったので一部見通しが悪かったせいもあり、歩道のひび割れや段差に気付かず何度か転びそうになった。


「被災地は沿岸部だけじゃない」


と、早くも思い知らされた。


「無視されてる被災地へのケア」

↑たぶんオレが今後メインに扱うテーマはこれだと思う。地味で目立たないけど、阪神の震災の時も 「致命的な被害を免れた地域」 が最後まで後回しにされて、延々と不便な思いをし続けたそうなので、今回もそれと全く同じ展開が予想される。須賀川だけじゃなく、誰かが 「ここ」 を見てないといけない。(そういえば原発の風評に絶望して自殺したキャベツ名人は須賀川の農家の方だった……)


05:00になり、協力者がお米を持って来てくれたので早速積み込み。これで今回大船渡に運び込む全ての物資が揃った事になる。(善意に甘えて朝5時に呼び出してしまって本当に申し訳ない!)


<目録一覧>
●無洗米       30kg
●男性用Tシャツ  100枚
●男性用長袖シャツ 100枚
●男性用下着     50枚
●男性用靴下    100足
●男性用運動靴    15足
●女性用Tシャツ   60枚
●女性用下着    100枚
●女性用靴下    100足
●キャンディ詰合せ 225入×10袋
●チョコレート   100入×10袋
●くだものラムネ   50入×10袋
●手芸セット     12入×5袋
●ソフトグライダー  30入×3袋
●シャボン玉     24入×5袋
●クレヨン      80個
●トランプ     120個
●犬用おやつ    ダンボール2箱

●大船渡の皆さんへの手紙   1通
●男性用Yシャツ   2枚
●ランニング     2枚入×4
●長袖Uシャツ    2枚
●半袖Uシャツ    2枚
●半ズボン下     2枚入×2
●長ズボン下     3枚
●ヒートテックタイツ 1枚
●トランクス     2枚入×1
●ハンドジェル    5本
●スキンクリーム   5本
●ハンドクリーム   2本
●リップクリーム  16個
●IZUMI特製ポン酢   1本
●焼酎        1本
●IZUMI義父作自然薯 1本
●スペアリブ煮込み(ジャガイモ添え)
●味付けたまご
●ミートソース
●桜抹茶カステラ
●浦嶋さんへの手紙  1通

特別大きい訳じゃないステップワゴンでも、これだけの物資が積み込めるんだなあ。

それはそうと、頑丈な紙袋入りの30kgのお米を持った瞬間に自分の体力のなさと足腰の弱さに愕然としたのはナイショ。自分に子供ができた時に、抱っこと同時に脳天落下式のプロレス技と化すんじゃないかと心配でならない。


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4月9日 08:30 一関IC

「おいおいこれでよく開通させたな!」 というひび割れ・段差当たり前の恐ろしい東北道をひた走り、一関ICで下道に降りる。出発前日の深夜に起きた 「阪神大震災クラスの余震」 により、古川以北が一時通行止めになっていたのだが、運良く開通してくれていたのでとても助かった。ここは被災地への物資輸送の大動脈だけに、道路の修復スピードがハンパじゃない。

また東北道は宮城に入った辺りから50km制限になっていたのだが、速度を守らないとクレイジータクシー的なイカれたドライブを楽しむ事になるのでマジで注意。制限速度を守っていても定期的にバインバイン弾みまくる。飛ばし過ぎると 「バースト→大事故」 の可能性まであるので本当に注意してください。


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4月9日 09:30 岩手県一関市
一関を降りると、駅などから少し離れただけで辺り一面停電中。ここから先は山越えして343号線で陸前高田へ抜けるルートしかないので、その前にいずへい弁当で腹ごなし。悲惨な光景なのは分かり切った事なので、せめてその前に食うもん食っておかないと。


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車内は覚悟を決めよう的な重苦しい雰囲気だったんだが、いずへいプロのおにぎりを一口食べた途端に橋本君が 「おいおいうめーよ!」 といつものモードに。


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そしておかずに箸を伸ばすと、どれもこれも一味違うにくいアンチクショウであり、「今度いずへいちゃん拉致してパーティやろうぜ!」 と、完全にいつもの橋本節に。こういう状況下では橋本君のような陽気なムードメーカーが本当に重要である。

それにしても、美味い飯ってのはテンション上がるな!


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4月9日 09:45 陸前高田市

北上川を渡って山に入り、そこから343号線を通って陸前高田を目指す。一関市はずっと停電中だったが、陸前高田市に入ると電気が復旧してコンビニなども営業していた。

……が。


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4月9日 10:00 陸前高田市(陸前矢作駅と竹駒駅の中間)

「この辺は電気が来てるんだね~」 などと言っていたのも束の間、目の前にガレキの山が。最初は 「この辺は揺れで潰れちゃったのかねえ?」 などと言い合っていたのだが、それが大間違いであると思い知らされる。


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「河口から数km離れている地域」 なのに、気仙川を逆流した津波によって壊滅状態だったのだ。写真の場所は竹駒駅からだいぶ山側(内陸側) の辺りだったのだが、ここがどれだけ海から離れているかぜひ地図を見て確認して欲しい。

ここから先はTV報道などで見せられる街全体がガレキと化した光景や、沿岸部に至っては 「街自体がない」 という更地状態が続き、ハッキリ言って何をどう表現すりゃいいのかわからない。かの高田松原(日本百景・名勝地) なんか土台の部分くらいしか残ってなかった。


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4月9日 10:40 岩手県大船渡市

陸前高田から山を一つ隔てた大船渡市に到着。南から行くと高台を通るため、一見すると被害が少なく感じる。写真は待ち合わせ場所のスーパー。

ここでいずへいの知人(仕事仲間) で、海産物屋を営んでいる浦嶋さんとお会いする。物資を運び込む準備をしてもらう間、少し浦嶋さんと立ち話をしたんだが、なんでもここでは牡蠣の食べ放題をやっており、三陸の牡蠣をこれでもかと食えるそうな。去年は一番多く食べた人で150個くらい平らげたそうだ。(さすがにそれだけ食うと倒れないか?)

いずへいは 「GWになったらおいでよ」 と誘いを受けて楽しみにしていたらしいが、浦嶋商店さんだけじゃなく、殆どの海産物屋さんが倉庫ごと全て流されてしまい、復旧の予定なんか立てられない状態なんだとか。

地元漁師さん達は 「夏くらいには漁に出るよ」 と言っているらしいが、漁に出ても獲って来た魚を冷やしておく氷が全くない。製氷工場も被害を受けた……というより 「無い」 のだ。

というわけでお前ら。

漁師さん達が漁を再開したら大船渡に行くぞ。

保存できないなら、漁師が獲って来た魚を港で待ち構えて踊り食いしてやりゃいい。


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浦嶋さんに先導されて物資の搬入場所へ向かったんだが、一つ上の写真のスーパーがある地点からちょっと坂を下りただけでご覧の状態。高台の様子しか見ずに 「大船渡は被害が少なかったのかな?」 なんて一瞬でも思った自分が恨めしい。

だがこれでも 「陸前高田に比べたら街の形が残っている分だけマシかもね」 と浦嶋氏。


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程なくして物資の搬入先になっている福祉会館へ。無事な建物を使って、集まった物資を地元の方々が協力して分配しているそうなんだが、その 「無事だった建物」 ですらこの状態である。

この周囲の道路は通行量が多く、一見すると普通に生活できているようにも見えるが、よく観察してみると全然水が引けてないし道の歪みも酷い。


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物資搬入を終えて地元の方々と。

右端が浦嶋さんで、左から2番目は酔仙酒造 の方。酔仙は陸前高田にあった酒蔵で、今回の津波で全てがガレキになってしまった。

この浦嶋さんと酔仙酒造さんからのメッセージをご紹介する。

「酔仙のお酒は、現在小売店さんに置いてある物が全てです。だから自粛だなんて言わないで、お店で酔仙を見かけたらじゃんじゃん飲んでください。盛大にお花見してください。物もお金も今まで通り回してください。」



~その2へ続く~



<支援物資輸送プロジェクト>
いずへい (企画発案)
橋本裕介 (輸送サポート:株式会社すずかオフィス)
荒井禎雄 (企画サポート:株式会社すずかオフィス)
OH! (ルポ掲載媒体)
涼風会 (協力)

4月9日 東北への物資輸送報告 その1
4月9日 東北への物資輸送報告 その2
被災地復興プロジェクト 経過報告(涼風会)