お正月特番 「サダオちゃんのお雑煮できるかな?」 (無駄に長編) | C.I.L.

お正月特番 「サダオちゃんのお雑煮できるかな?」 (無駄に長編)

2008年の大晦日。

サダオは彼女様 と一緒に年越し蕎麦を食べ……いや、蕎麦を食べるというより普段通り飲んだくれ 、その帰りに滅多に行かない2駅くらい離れた土地のスーパーを偵察。

すると行き慣れた近所のスーパーとは品揃えが微妙に違い、気付けば楽しくて楽しくてついうっかりお祭りモードに突入。せっかくなので三が日を生き抜くための食材を買い込んでみることに。

そこで彼女様が 「お雑煮どうするの?スープは家で作るの?」 と聞いてくるので、オレ様は 「そんなもん出来合いのスープを薄めて使えばいいだろ!」 と返そうかと思ったんだが、彼女様の目が 「サダオちゃんならきっとスープを取るところから自分でやるんだよね?」 と語りかけている気がしたので、強迫観念に駆られてついつい鶏がらを手にしてしまう可哀想なオレ。

しかしオレは自慢じゃないが料理自体は好きだけどスープを取る作業だけはあまりやったことがなかった。一般的なお出汁を取る程度なら普通にやるんだが、鶏がらスープはコスト面の問題と圧力鍋がないという設備面の問題から、いつもパック入りだったり固形だったり粉末だったりする物を使っていたのだ。

でもここで 「鶏がらスープは作ったことないんだよね……」 なんて言えないじゃん?

何かあったらとりあえず 「できます!」 と言っちゃうじゃん?

最初から "できないヤツ" と思われるより、できると言い張って後で後悔した方がいいじゃん?


それはともかく、さて困った。

そもそも鶏がらスープを作る時に、どれくらいの鶏がらが必要になるのかという時点でわからない。例えるなら 「わからないことがあったら聞きなさい」 という教師に対し、心の中で 「わからないところがわかりません」 と囁く生徒のような心境である。

だが彼女様の手前あまりオロオロするのも嫌だったので、とりあえず漢らしくパック入りの鶏がらを2個購入。これで足りるのかどうか知らんが、とりあえず購入。

彼女様の 「スープの元は使わないの?」 という声に対し、「いらないよ。こういう物には化調とか使わないから。」 とダンディな切り替えしをしてのけた後で独り狼狽。

化学調味料超大事。マジ重要。ウェイパーなかったら死ぬ。

だが 化調不使用を謳ってしまったんだからしょうがない。今さら 「やっぱ使う」 なんてとてもじゃないが言えない。こうやって自分を追い詰めて最終的にミラクルを巻き起こすのがオレの流儀。



<閑話休題という名の現実逃避>



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スーパーで見かけたオレが日本一美味しいと思うふりかけ。その名も 「さるかに合戦」 さん。これは広島のやま磯 というメーカーが随分と長い間販売し続けているロングセラー商品なんだが、オレの人生の中でこれを越えるふりかけには出会ったことがない。あれこれ余計なことをしていないからか、とにかく海苔とごまの風味が引き立ってて、シンプルなのにマジで美味い。通販もやってるみたいだからお前ら騙されたと思って買え。絶対に美味いから買え。



<渋々現実に戻る>



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家に帰り、大好きなインターネッツで作り方を調べ、さっそく一番でかい鍋でスープを取ってみたサダオ。鶏がらを包丁で骨ごとザク切りにし、鍋に水と酒を5:5くらいで入れ、ネギの青い部分やニンニクと生姜なんかと一緒にひたすらコトコト煮込み続けたのがコレ。


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延々と弱火で煮込んで限界まで頑張ったつもりだったんだが、なんだかイマイチ味が弱い。全体的にまとまりのある良い味になってるとは思うんだが、なんというかパンチ力不足っていうの?優しすぎる味っていうの?……やはり鶏がらの量が足りなかったのではないかという疑念が頭に浮かぶ。


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しかし悩んでばかりもいられないので、ポジティブシンキンで煮豚と煮玉子を作ってみたよ!(なぜ?)

いやね、せっかくだから年を跨いでホコリを被り続けそうな食材を全て使ってしまおうかと思ってね。鶏がらスープにも保存状態が悪すぎて台無しになっちゃった日本酒、大量に貰いすぎて使い切れず端が傷んでグジュグジュになっちゃってたネギ、放置しすぎてカビっぽくなっちゃった生姜とかを色々とぶち込んだし、ついでに台所の大掃除を兼ねてしまおうかと思いまして。


<不遇すぎる食材達>
・ホコリまみれの紹興酒
・痛みかけの長ネギ
・固くなって色の変わった豚バラ肉
・あれこれ取り揃えたはいいがどれも中途半端に残ってしまっている調味料類
etc……

これら可哀想な子たちにも最後にスポットライトを浴びせてやりたいじゃん!今使わなかったらきっと生ゴミなんだし!

というわけで、中途半端に残ってた醤油を中心にありったけ鍋にぶち込み、同じく余裕で期限を過ぎてしまってる連中と一緒に地道に煮詰め、最後に火を止めてゆで卵を投入。


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この煮豚と煮玉子を作ってる間に気付けば日付が変わっていたわけでハピニュイヤ。

そしてこの醤油ダレを器に取り、鶏がらスープで薄めてつけ汁を作り、たまたまお歳暮で貰った平打ちのうどんを茹でて試作品完成。


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試作1号機完成!

サダオちゃんが初めての鶏がらスープで作ったつけ麺with煮豚&煮玉子(ただし麺はうどん)


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いやーんなんか美味しそう~!つけ汁の香ばしい醤油の香りも最高だし、これはまたもやヒット作の誕生なんじゃないんすか?

と、ここで彼女様からツッコミが。

「ねえねえ "雑煮" はどこ行った?あれだけ威勢良くボクお雑煮全部手作りする!とタンカ切ったじゃん?」


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バカだなハニー。

どこに目をつけているんだい?


ちゃんとお餅が入ってるじゃないか!


コレはうどんじゃないから。うどん入りの雑煮だから。マジでマジで。荒井家の雑煮はコレなんだよ。マジマジ。

いやーよかった。無事に解決した。

やっぱ手間をかけただけあって美味いし、お餅も食べられたし、いいじゃんコレで。

な?


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半日後。

サダオは何か悔しかったらしく、近所の元日でも営業しているスーパーを徘徊。そこで冷凍の手羽元のパックを発見し即購入。ついでに安売りしてたタマネギなんかも購入。

家に帰るなり彼女様に 「昨日のスープと合わせるから手羽元メインで適当にスープ取って」 と漢らしく命令。彼女様は昆布や家に余りまくっているリンゴ等も投入し、オレもオレで食卓の上に放置されまくっていたカツオぶしパックや乾燥えびのパックなどもぶち込み、ますます雑煮からかけ離れてラーメン方面へ突き進む。

いったい何がやりたいんだろうオレ。(激しく迷走中)


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頃合を見て手羽元を取り出しハンマーで叩き割ろうとしたんだが、滑るのかフローリング用のゴムハンマーだからなのかどうも上手く砕けない。

仕方ないので押入れの中にあった古くてダメになっちゃってるマイナスドライバーを引っ張り出してリトライ。悪戦苦闘のすえ、なんとか骨髄をむき出しにすることに成功。


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そして完成した鶏スープ2番機。最初のスープに比べると鶏の風味は濃厚なんだが、香味野菜やリンゴの味も出ているため甘味もある。そして昆布・大量に入れたカツオぶし・乾燥えび等から魚介の風味も出ていて、どの角度から見てもラーメンスープです。明らかに雑煮のスープじゃありません。本当にあ(ry


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2種類のスープを合体させ、そこに醤油ダレを少し合わせ、食べ残した煮豚なんかも投入。サダオ名人、遂に腹をくくってラーメンスープと割り切った模様です。


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スープの味が程よく馴染んだところで、スーパーで買ってきた中華麺を茹でる。


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試作2号機。煮豚ラーメンwith余った煮玉子。

でもホラ!お餅入ってるし!これも雑煮だって!マジでマジで。餅が入ってる汁物はなんでも雑煮なんだよ!マジでマジで。

が、悲しいことにあんまり美味しくない……。

何がダメって中華麺が臭すぎてこのスープに合わない……。

サダオ名人、年の初めから投了の予感。


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あけて1月2日。

サダオ名人、今度はもやしパックと豚肉で野菜炒めを作り始める。


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そしてそこに "すったもんだ" かつ "ローリングストーン" な鶏スープを入れ、醤油ダレで味を調え、最後に片栗粉を入れてとろみを付ける。


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このスープは中華麺ではなく、クセのない太麺が合うと思い、試作1号機で使った平打ちのうどんを茹でる。(そして意地で餅を乗せる)

うどんが茹で上がったら上からあんかけ状のスープをかけて完成。


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ちょっと見栄えは悪いが試作3号機。中華風野菜あんかけうどんwith餅。

あちこち転がり続けた鶏スープだが、コレが抜群に美味くてびっくりした。醤油ダレの香ばしい風味と、スープの甘味と、それを受け止めるうどんのどっしりさ、そして雑煮の証である餅

そうそう忘れてた。

コレ雑煮だから。

荒井家の雑煮ってコレのことだから。マジでマジで。力うどんじゃなくて雑煮ね?ZO☆U☆NI♪

なんとか彼女様に対する 「お雑煮手作りする!」 という宣言を実現できた。いや~よかったよかった。

今年も幸先の良いスタートだぜ!


(ちなみにこのスープはまだまだ残っておりますので、後2日くらいは謎の七転八倒自称雑煮パーティが続きます)