”麻央からの贈り物” | ふるさとを守りたい、子供達の未来を守りたい

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日々頭に浮かんだことを語りたいと思います。




7月13日放送のNHKクローズアップ現代+で、開発コストの高騰による新薬の価格高騰の問題が取り上げられていました。


あなたはどう考えますか ~新薬高騰が医療を壊す?~

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3838/index.html
「75歳以上には、保険で使える薬を制限すべきでは?」ある医師の“警告”が波紋を広げている。1回の点滴に100万円以上もするがんの新薬が保険適用されたため、何万人もの患者が使えば医療財政が破たんするというのだ。「年寄りを助けて未来の患者を見捨てるのか」「命を金ではかる気か」…医療現場や省庁、製薬会社、そして患者までも巻き込んだ議論が起こっている。私たちは望む薬を飲めなくなる時代が来るのか?“薬と命の値段”をとことん考える。

引用終わり


確かに薬価の高騰は日本の医療にとって重大な問題だと思いますが、番組の中で医師が懸念していたような「医療財政の破綻」は、日本の場合は心配無用です。


日本国債は10年物国債がマイナス金利で取引されるなど、超低金利が続いており、しかも、100%円建て(自国通貨建て)である日本国債は、日銀が通貨(日本円)を発行して買い入れることでその分の政府の負債を実質的に無くす(返済も利払いも不要)ことが可能なので、現時点(デフレ下)においては、医療費の高騰分は国債発行で補填すれば全く問題ありません。したがって、税金や社会保険料、自己負担率の引き上げは不要です。


もちろん、国債発行による医療費補填を未来永劫続けることはできませんが、税金や社会保険料の原資であるGDPの拡大と、薬価の適正化を実現するための適切な政策を実施すれば、中長期的にも薬価高騰の問題は解決できます。


税率を上げなくても、税金や社会保険料の原資であるGDPが増えれば、税収は増えます。例えば、税率が10%だとすると、国民の年間所得が200万円だと税収は20万円ですが、年間所得が400万円に増えれば税収は2倍の40万円に増えます。大規模財政出動の実施や消費税の減税または廃止などの適切なデフレ対策を実施し、税率を上げなくてもGDPの増加によって税収が増えて、医療費の増加に十分に対応可能な国民経済を早期につくることが必要です。


また、新薬の過度な価格上昇を抑制することも重要です。薬価の適正化には適度な市場競争が必要不可欠であり、政府が科学技術予算の増額や国内の製薬会社への財政支援拡充などの財政出動を実施し、新薬の開発やジェネリック医薬品の製造などの日本の製薬会社の技術力を高め、アメリカなどの海外の製薬会社との間の適度な市場競争を促して、薬価の抑制を図るべきです。


ただ、開発費の高騰によるある程度の薬価の上昇は避けられない部分もあると思います。しかし、その新薬が日本の製薬会社が開発・製造したもので、高い効果があり副作用なども少ないものであれば、多少価格が高くても、日本国民にとってはむしろ良いことです。


この点においては、防衛装備品の調達と共通していると思います。戦闘機や潜水艦などの高額な装備品の調達で防衛予算が増えていることに対して批判があります。日本はアメリカから防衛装備品を高い価格で買わされている場合が多く、この点は確かに問題だと思います。なぜなら、日本政府が支出したお金はアメリカの企業の収益になり、日本の経済成長にはほとんど寄与しないからです。


一方、日本企業が国内で製造した防衛装備品を自衛隊に配備する場合は、政府が同じ金額を支出しても日本のGDP増加に寄与するので、国防だけでなく経済面においても国益にかないます。


現在、防衛省が三菱重工と契約して純国産のステルス戦闘機の開発を目指し、先進技術実証機(心神)の研究開発を進めており、今年には初飛行に成功しています。多額の開発費が投じられていることに対して批判もありますが、純国産戦闘機が量産されれば生産に関わる日本国内の労働者の所得が増えるので、国民にとって非常に有益なのです。


医薬品も上記と同様で、日本企業が国内で新薬を開発したり、ジェネリック医薬品を製造すれば医薬品の開発・製造に関わる国内の労働者の所得が増え、所得が増えた労働者が個人消費を増やすことでGDPの増加につながります。


国債金利が超低水準となっている今は、日本の製薬会社の技術力向上を図るために政府が大規模な財政政策を実施する絶好の機会です。また、検診や予防医療の予算を増やせば将来の医療費は確実に減らせます。今、マイナス金利を最大限に活用し、医療分野における大規模財政出動を実施することこそが将来の国民の健康増進と医療費抑制につながるのです。


番組ではTPPについて全くふれられていませんでしたが、アメリカ政府がTPPを推進している背景には医薬品のデータ保護を強化したり、日本の薬価決定に関与して高い価格で自社の医薬品を販売し利益を拡大したいアメリカの製薬業界の意向があり、薬価高騰問題とTPPには深い関連性があります。にもかかわらず、TPPに全くふれないのは明らかにおかしいと思います。


TPPを推進する安倍政権から何らかの圧力がNHKに対してあったのか、自主規制したのか、そもそも制作者が無能・無知なのかは不明ですが、いずれにしろこれは重大な問題だと思います。東京都知事選挙に立候補している鳥越俊太郎氏は政府与党がメディアへの圧力になりかねない言動をしていることを強く批判していますが、この番組に対しても抗議するべきではないでしょうか。


研究開発に費用がかかったり、開発・製造に関わる労働者に十分な報酬を出すために薬価が上昇するのは仕方ないとしても、製薬会社の経営陣に多額の報酬を出したり、株主配当を増やすために薬価が高騰するのは問題です。これについて十分な検証が必要だと思いますが、番組ではそれが全く行われていませんでした。国民が支払う受信料で運営していて広告料を一切受け取っていない公共放送であるNHKには上記のような報道を行う義務があるのではないでしょうか。


番組にはお笑い芸人の間寛平さんが出演していました。元ガン患者であることから呼ばれたのだと思いますが、彼の発言は内容が薄く感じました。当事者の声を聞くのは重要だと思いますが、「沈みゆく大国アメリカ 逃げ切れ!日本の医療」の著者でジャーナリストの堤未果氏なども呼んだらもっと質の高い番組になったのではないかと思います。



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