隣地天空率の効率的な利用法 | 比嘉ブログ

比嘉ブログ

建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

2月18日土曜日
みなさんおはようございます。
東京は昨晩、雨交じりのぼた雪。この冬はsabui.

 いつものこの頃は、杉花粉に悩まされている頃だが今年は殆ど飛んでない。
せめて杉花粉だけは、このままおとなしくしてもらいたい。

 毎日欠かすことのない朝ドラ「カーネーション」。
昭和30年代前半の様子が今週だ。
子供が白い布を顔に巻き付けて「月光仮面」・・。
サングラスに白いターバンで「怪傑ハリマオ」か!なつかしい。
子供の頃見聞きしたものの影響は大きい。
 ハリマオは東南アジアを舞台とした痛快活劇、しばらくあのあたりには
悪い人が大勢いると思い込んでいた。
当時比嘉も黒いサングラスでハリマオの一人。

 しかしカーネーションは朝ドラがシリーズ後半にありがちな、たるみ感がない。
母親+3姉妹の強烈な個性のぶつかり合いが、尽きる事無い。
さすが世界のコシノ。
 あと一月ほどで終わりと思うと次回のシリーズの出来が気になってくる。
ゲゲゲ以来、朝ドラにはまった比嘉だ。


 なつかし話をしばらく続けたいところだが本日、明海大の鑑定士の為のCAD講習。
出かけなければならない。
今週の講座の様子をお伝えし天空率講座に移ろう。

 今週は不動産鑑定F社の建物想定研修、明海大の1回目の講座と相変わらず
語り続けの一週間。

朝11時からお昼45分を除き、5時半までの集中講座。ぐったりと思いきや
以外と元気そうに映っている。比嘉は途中足がつりそうになった。
左からマツオ、ニイヅマ、モリカワ、イケガメ、フクダ、キムラの各氏。
皆ぐったりで打ち上げの予定もキャンセルらしい・・。やりすぎたかナ。
頑張れ!ちゃんとTP-PLANNERマスターしてちょうだい。
再会を楽しみにしてます。

 さて天空率講座始めるヨ。
前回、東京23区におけるJCBA方式の浸透度をお伝えした。
JCBAHP仕様の公開の効果が大きいのだろうが予想以上に
利用されている。
 それに伴い「一の隣地」の利用もすすんできた。
今回は、その利用法を事例を基に検証してみよう。

用途地域が斜に交差した事例。

形状は西側が東京3種高度と残りは容積率で確定するおいしい事例。
 これは比嘉が想定した架空の敷地と建物・・・・・念の為。

ポイントは南側の隣地斜線。その想定法を考えてみたい。

 JCBAにおける隣地天空率の想定法の原点は、平成14年の国交省資料

この挿絵がJCBA「敷地区分方式」の原点。
隣地境界に面する境界毎に基準線を設定し算定位置を配置する手法だ。
用途境界で勾配が異なる場合は同様に

 
 この挿絵が原点で隣地天空率が始まった。
ところが敷地区分方式では屈曲しさらに隣地境界点が多い場合
天空率利用が困難になる不合理な事例が多くなった。

 その為、「一の隣地」の考え方が公式に取り入れられた。
その原点もやはり国交省(当時は建設省かな)からの質疑応答資料。

この事で表現されているのは、隣地境界線が例図の様に不正形に連続する場合
隣地斜線のチェックが困難な場合、内接近似した仮の隣地境界線毎に行う事
で問題ないとする。

 最後の一文がキモとなる。
「多角形のとり方については合理的な範囲にて行う事が適当である。」

 この事をこの事例を通して考えていくのが本日のテーマ。

物件の斜線規制に対する状況を冒頭の平面図に記された断面位置で確認しよう。
まず南側隣地境界線からの斜線断面


住居系1.25勾配の区域がNGとなる。近隣商業側は問題ない事がわかる。
東西方向のB断面は

東側が道路斜線でNG、西側は隣地と共に東京3種高度もNGだ。
東京3種高度のチェック断面C側は

 高度斜線の影響で7階に設定されている事がわかる。
東京3種高度は東京の条令ゆえ天空率で緩和される事はない。
・・・・・・・・・念の為。

東側道路は、全面商業系の勾配の区域ゆえ余裕でクリアーする。

 これだけの空地があれば12階の高層でも問題ない事がわかる。

さて問題は南側の隣地斜線だ。
境界点間を隣地境界とする天空率開始当初の想定法では

この様にNG。敷地全体の空地を評価しない為この様になる。

 現在、敷地区分方式の場合でもこの様に境界点間で区分しない。
そこでキモの一文。

「多角形のとり方については合理的な範囲にて行う事が適当である。」

 隣地に面する方向が同一となる場合は一にまとめる事が合理的と考えられ一般的。
 東京方式でもこの事を1m以内の凸凹はまとめられるとした。
この事と同様に考えれば良い。

 今回は、まとめ方を敷地区分方式、「一の隣地方式」それぞれで想定し
結果を比較してみる。JCBAではいずれの手法でも問題ないとする。

 まず「一の隣地方式」商業系2.5勾配の区域。


この結果の前に算定位置を設定する基準線の延長位置を考えてみたい。
この場合、住居系1.25勾配の区域をまたいで商業系2.5勾配の区域の

基準線が設定されている。この延長位置に関してはJCBA方式においても
明確な記述がされてない。

 一般的に「一の隣地」は基準線も「一」で連続して想定する。
算定位置は通風、採光が充分確保されているかが問われる。
算定位置が不合理に削除される事は望ましくない為だ。
しかも適合建築物は南側の隣地境界線からの勾配で決定する。
その事で面していると考える。


この区域は完全に高さ制限以下にある為当然問題ない。

全く問題ない事がわかる。
次に問題の住居系1.25の区域。

この1.25勾配の区域の算定位置の延長は

この方式に基づく。





結果は、NGが2カ所。パースで確認すると

 寄せ棟状に想定した適合建築物の西側からの勾配が適合建築物の空を広くし
天空率が大きい。その為、NGとなる。

 そこで再度この敷地を眺めてみる。

この敷地は、国交省が解説した面する考え方

の左側と同様の形状だ。

 これらの解説が意味するところは、ほぼ正形で直行に交わる境界は
それぞれに面した片流れ状の適合建築物を想定し比較する事でも
問題ないと考えられる。

 隣地境界線から敷地の全ての部分が高さ制限内で比較される為だ。

 右側の斜の敷地においても同様に
それぞれの隣地境界線に面した位置からの勾配以下に適合する
適合建築物を想定する事で問題ないと考えられる。

 この場合の基本の考え方は想定した隣地境界線からの高さ制限に
敷地内の全ての部分が適合する事だ。

 面する方向で考えるとこの手の考えの整理がつく。
敷地区分方式で考えてみよう。
敷地区分方式は、敷地境界点間と考えずに面する境界線とする。
まず問題のない2.5勾配から

 

次ぎに1.25勾配(住居系)

問題なくクリアーした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さあ解説しようといきたいところだがカーネーションがはじまる。
それにでかけなければならない。明朝にしよう。
それまで休憩。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12月19日 日
皆さんこんにちは。
本日の東京はひがサンサンと差し春が近くにいるのではとの
思いにさせてくれる。
朝ブログを書こうと思ったらNHKBSで再放送の様だが
 「巨匠たちの青の時代 “マイルス・デイビス」に見入ってしまった。
天才マイルスもディジーガレスピーの音域、テクニックに圧倒され挫折していた事。
フレディーウエブスターをまねる事からしだいに自分独自の世界を作りあげた事。
・・・・・クールなマイルスの人間くさい部分に触れたハッピーな番組だった。
そんな事で遅くなったが昨日の続きを再会したい。
昨日分に加筆している為、再度読み返して頂ければ幸いだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

天空率講座再開!
 昨日までのポイントは、「一の隣地方式」においてNGだった事例が
「敷地区分方式」を用いる事でクリアーした事をお伝えした。

 現在JCBAにおいては、「敷地区分方式」「一の隣地方式」の
いずれの方式でも問題ないとする。混在して利用しなければ良いとされる。

 この場合には「敷地区分方式」で計画建築物をカットする事なくクリアーした
わけだが、その事をまず検証したい。

その前に西側隣地を確認しよう。

まず2.5勾配(商業系)区域は

この場合、基準線の端部から垂直に切断されているがその区域に
塀を含めた全ての計画建築物が含まれる為、問題ないとする。
道路に面した部分も西側隣地勾配線以下に適合建築物を想定する事でも
問題ない。

 1.25区域では

この区域も敷地内の全ての建築物が比較対象となっている。
敷地区分方式を利用する場合には、この様に隣地境界線とする境界から
想定される適合建築物が全ての計画建築物が比較される事が基本だ。

 「多角形のとり方については合理的な範囲にて行う事が適当である。」

「合理的な範囲」として敷地の計画建築物が包含される適合建築物を想定される
範囲。とすると敷地区分方式においてはこの様に直交した隣地境界線の場合
それぞれを隣地境界線に想定する事でも可能になる。

 南側において内接近似する方法も考えられるが塀が屈曲した隣地境界線に沿って
想定されている為、その部分を比較対象とする為には、内接近似するのではなく
寄せ棟状に適合建築物を想定する。
この事で塀も含めた全ての計画建築物が比較される。

 お気づきだろうか、南、西と分けたが、屈曲した南側の隣地を隣地境界線と
して一体で適合建築物を想定する為には、「一の隣地」の想定法および
基準線の想定法を採用する。

 方式にこだわらず原点とする国交省の

この解説にみられる様に
従来の斜線規制に適合する様に部分毎に分けて行う事も
「合理的な範囲にて行う事が適当である。」とする。


 長くなるが今回最後に、南側の隣地境界線がクリアーした
原因を解説しよう。パースで確認すると

赤線で強調したが適合建築物の断面が西側の勾配を受けない。
その分適合の天空率が低下する。

さらに、「一の燐地方式」の場合、後退距離も同一となる為に狭い西側の後退
距離が採用される為、その分適合建築物の天空率が増大する。

 これらの事からJCBAでは「一の隣地方式」が最も安全側とするが
一方で従来からの敷地区分方式も利用可とする為、設計者はこれらを
合理的に判断し土地の有効活用に利用して頂きたい。

 「・・方式」という言葉が一人歩きしがちだが、
基準法本来の考え方から合理的に判断する必要がある。

 2日にわたり長くなった。良い天気だ出かけるぞ! 次回までお元気で!。


比嘉ブログ