レンズ考⑥ エルマー 50mm 1:3.5  | norimのブログ

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カメラの歴史の中には、後世に名が残るような幾つかの名レンズが存在する。











ツァイス系      プラナー、テッサー、ゾナー、ビオゴン、フレクトゴン





シュナイダー系   アンギュロン、クセナー、クセノン、クルタゴン





フォクトレンダー系 カラースコパー、カラーヘリアー、アポランター、ウルトロン、ノクトン





ライツ系        エルマー、ズマール、ズマリット、ズマロン、ズミクロン、ズミルックス、ノクチルックス











35mmフィルムカメラ用のレンズのみを挙げてみた。









 ツァイスは戦前世界最大の光学機器メーカであり、世界最高の技術力を持っていた。





ドイツ敗戦により東西ドイツ分割の影響と日本のカメラメーカの台頭によりツァイス社は衰退してしまった。





 シュナイダーは、往年世界最大のレンズメーカーであった。





中でもクセノンは、ライカが自社以外で採用した唯一のレンズでもあり、数百万台は売れたコダックレチナシリーズ(35mmカメラの普及に最も貢献した)の標準レンズにも採用された事もある。現在では一部国外のカメラメーカーにレンズを納めてはいるものの、主に業務用レンズの製造が主体である。





 フォクトレンダーは、世界最古の光学機器メーカであるが、ツァイスに吸収された。











1970年以降から現在に至るまで、カメラとレンズは、キャノンやニコンなど日本メーカーの台頭により、これら老舗メーカーは衰退した。フォクトレンダーの会社名と商品名は日本のコシナが引き継ぎ、ツァイスブランドのレンズもまた、ヤシカ・京セラ時代を経て、今では日本のSONYとコシナが製造している。



唯一残ったライツ社は、今ではライカ社に名称を替え高級機のみを製造している。











 今回の主役は、そんな、往年の数ある銘玉の中の一つ「ライツ エルマー f=5cm 1:3.5」だ。





このレンズは、ライカの標準レンズとして30年も君臨したレンズでライカの写りを世に知らしめたレンズでもある。(少し前のブログ


にももう少し詳しい説明をした)





 昨年バルナックライカ(1950年代まで製造された古いライカカメラ)を購入したいきさつから、そのカメラに最も合うレンズという事で、このレンズを手に入れた。当初はバルナック専用としてしか使わないつもりではあったが、試しにデジカメで使ってみると、これが想像以上に良い事がわかったので、ここに紹介することにした。





過去のブログでも何度か書いたが、私の持っているエルマーは、赤エルマーというエルマー50/3.5の最後期のものである。








































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今改めて、このバルナックライカ(写真はライカIIIc+エルマー50/3.5)を見てみると、フィルムカメラとしては必要最低限の大きさにまとめられており、これ以上は削れない大きさと機能を持っている。





エルマーは沈胴型のレンズであり、撮影しない時はレンズがカメラの内部に格納できるように設計されている。上記一番右の写真が格納された状態のエルマーである。











エルマーの素晴らしさは、このコンパクトさと写りの良さを両立している事にある。





最近のレンズは、やれ周辺の解像度がどうだ、MTFがどうだ、F値がどうだと、スペックばかりを追い求め巨大化したものか、キットレンズとしてかなり性能を犠牲にした安価なものの両極端に別れ、大きさと写りを両立させているレンズが少ない事が残念だ。






































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(ライカIIIc+エルマー50/3.5 フィルム撮影)











エルマーをつけたIIIcを持ち歩いていると、その小ささと使いやすさと格好良さと写りの良さのバランスは、現在のカメラですら、太刀打ち出来ないのではないかと思わせるほどである。










とまあ、ここまではフィルムカメラとしてのエルマーの話であったが、今回驚いたのが、エルマー+デジカメの相性である。






















最近α7につけて何回か撮ってみたのであるが、解像感がちゃんと2400万画素のα7についてきている事がわかった。




また、背景のボケ具合もオールドレンズながらの霞がかった感じでとても気に入っている。























そしてなによりもとてもコンパクト。上の写真は沈胴させた状態のエルマーだ。










下記にα7+エルマー50/3.5の作例をあげる。リンク先をダウンロードすれば、解像度も見れる。



(最近Picasaの仕様が変わって、WEBからは完全に拡大することは出来なくなった。)

*追記 これを書いた日はGoogleが遅かっただけでWEBから拡大できました。

ただし、iphone等からは出来ないようです。




等倍でみると画面中央部の2/3は非常にシャープで、両端それぞれ1/6の部分は解像度が悪くなっているが、解像度が鈍っているだけで破綻しているほどではない。



手持ちのレンズ50mm以下では周辺解像の良さは、



 プラナー45≧ズミクロン50>ズマロン35=ノクトンクラシック35>エルマー50 である。



綺麗な風景写真を画面全体にシャープに撮りたい時は、気になるかもしれない。


































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( α7 + エルマー 50/3.5 )









f3.5と暗いレンズではあるが、最新の高感度センサーのおかげで夜景も綺麗に撮れるし、ヘリコイドアダプターを併用すればそこそこ接写もできるはずだ。



(2014年2月24日現在、予約しているコシナのヘリコイドアダプターは未だ入荷していない・・)







エルマー 50/3.5は、最高にコンパクトで、しかも格好よく、フィルムでもデジタルでも使える「最強のスナップレンズ」である。







*余談ではあるが、最近気がついた事でAPS-CのNEX-5Nで撮ると大概のオールドレンズで周辺までシャープに写る。これはデジカメのテレセントリック問題とオールドレンズ自体の周辺解像度の問題が絡んでいると思われる。



APS-Cでは、フルサイズ対応レンズの2/3程度しか使ってない為、丁度シャープに写る所しか使ってないわけだ。周辺解像度が気になる人でオールドレンズを使う場合は、APS-Cの方がお勧めだ。



個人的な意見としては、人間の目の写りに近い写真が好きなので、中心に解像度が来ることは良しとしているが、ビオゴンのようにフルサイズデジカメで周辺乱れを起こす現象はいただけないとしている。




この解決には、画像センサーの技術革新を待たなければならないが、もし有機CMOSセンサーがその解決策なのであれば近い将来に理想的なカメラが出るのかも知れない。







(ILCE-7 Elmar 50/3.5 Redscale)