あまりにもしつこく言い寄ってくる深草少将に対し、ついに小野小町は根負けしてしまいます。
「わかりました。それでは百夜、私のところに通ってきてください。百夜目に、あなたの愛を受け入れましょう」
と、約束するんです。
深草少将は大喜び。
毎夜小町のいる窓辺に通っては、「僕です。きました」とささやき続けました。
そして九十九夜まで、少将は小町との約束を守り続けます。
……しかし、深草少将と小野小町の家は、どれぐらい離れていたのでしょうね?
小町としては断る口実に「百夜通ってみろ!」と言ったわけですから、相当遠かったのだろうと思います。
小町は「あてがはずれた」と思ったことでしょう。
伝説の結末には、さまざまなパターンがあります。
1.九十九夜目に深草少将は風邪をひいてしまい、そのまま命を落とした
2.少将が九十九回訪ねてきた後、小町は逃げ出した
3.百夜目になって、いきなり少将の恋が醒めた
などなど。
3番目のパターンでは、小町はおめかしをして待っていたとするものも多いみたい。
冷たい美女に対する、モテない男のひがみが爆発してる気がするわ(^^ゞ
でも、百夜目は通うのをやめたってのはあり得る話しにも思います。
深草少将は、怖かったんじゃないでしょうか。
憧れ、恋焦がれ、慕い抜いた女性と、実際にあ~だこ~だすると想像したら、嬉しさよりも怖さが先立つんじゃないかな。
いわば、女神が普通の女性になっちゃうわけですよ。
なんと無残な凋落ぶり。
忽然と、「こりゃ夢見てる方が楽しいな」と達観しちゃったのだとしても、不思議はない気がします。
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