とうとう本日、最終章の最終話!
私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!
目次:【序章】&【第1章】&【第2章】 & 目次:【第3章】&【最終章】
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■最終章:終わりなき遍路■人生の遍路道はまだ続く
6. 遍路のように前書きへ戻る
―2016年3月―
翌日、戸田君が静岡から広島の私の家へやって来た。
戸田君に会うのは12年ぶりくらいで、戸田君は、更に一回り大きくなっていて、声はそのままに大きかった。
相変わらず、ずっと冗談を言い続けているのも変わらないのだが、生き甲斐は「食べる事とテレビを見る事」らしく、私は家にテレビを置いていないので、文句も出る。
いや、テレビはある。
同居していたアメリカ人の友達と共同購入した、日本のテレビが映らない大きなテレビが。
戸田君と久しぶりにお酒を飲み、翌朝、広島を私の車で出発する。
戸田君が運転してくれると言うので、これ幸いと、私は助手席に座り、スマホでナビをセットする。
山陽道を走り、瀬戸大橋を渡り、久しぶりに四国へ渡ると、遍路の頃が懐かしい香川県の景色が目に飛び込んでくる。
あと数キロでしゅんちゃんの家に近づく頃、私が遍路中のしゅんちゃんと戸田君を乗せ、しゅんちゃんの家へ向かった日の事が蘇り懐かしくなっていると、戸田君も同じように思い出しているのか懐かしそうだ。
戸田君「おお!おお!おおー!確か、しゅんちゃんちの周りはこんな感じじゃったよのおー!そうそう!」
私「そうだよねえ!なんか、しゅんちゃんの家に近づいて行ってるーって感じ!」
そのまま戸田君は、数キロ運転していると、急にさっきと様子が変わり、辺りは田んぼなどが沢山ある閑散とした地域になってしまった。
あれ?
こんなとこだったっけ?
戸田君「あら~?しゅんちゃんちは、こんな感じじゃったかいのお?」
そう言いながら、戸田君は運転している。
ナビが右に曲がれと指示を出している。
私「ちょっと!右だって言ってるよ!」
戸田君「えーーー!?今のを右―!?どう見ても違うじゃろう!」
私「うん。違うんだけど、裏道じゃない?」
戸田君「だったら次を右に曲がってみるよ。」
次の道も似たようなものだった。
戸田君は、とりあえず右に曲がると、ナビがルートを再検索し違うルートを示す。
私「あ、後300mで到着ってなってるよ?」
戸田君「えーー?こんなとこ~~?」
その道は、明らかに一般道ではなく、田んぼに囲まれた農道だった。
私「あと、100m。」
100mほど、戸田君は車を真っすぐ走らせ、スマホのナビが『到着』になったので、戸田君は、車をスーッと速度を落とし、道路の真ん中に車を止め到着した。
戸田君「しゅんちゃんちは、何処?」
私「私達の右手のここだって・・・。」
そこは、田んぼのど真ん中で、しゅんちゃんの家が示されている所は、何もない田んぼだった。
戸田君「えーー!?しゅんちゃん家は、引越したん!?」
私「えーーーー!?なんでーーー!?そんなはずないよーー!しゅんちゃんも引越したなんて言ってないし、念のため弟さんに送って貰った住所だから、最新情報だし。」
戸田君「でも、しゅんちゃん家は、田んぼじゃん!」
私「うん・・・。」
戸田君「ちょっと、Googleマップで出してみようやあ!」
戸田君も私もGoogleマップで検索すると、しゅんちゃんの家は、5~6キロも離れた、全然違う場所が示されていた。
私「ははは!!何?この地図アプリ。ゴミアプリだね。」
戸田君「ほんまよー!しゅんちゃん家がなくなったんかあ思ったわあー!ははは!」
ちょっとした面白事件もありつつ、しゅんちゃんのお宅へ。
私は、しゅんちゃんとの思い出のLINEメッセージのやり取りを全てコピーして、封筒に入れて持って行った。
懐かしいしゅんちゃんのお父さんとお母さんに会い、仏壇に手を合わせて封筒を供える。
私「しゅんちゃんとの思い出のLINEのやり取りです。読んでもらっても構わないので。」
すると、前日に一部読んでいた戸田君が口を出す。
戸田君「ああ。それですねえ、『戸田』ってのが、時々話に出るんですけど、戸田の悪口が時々でますから。ははは!その戸田って言うのはですねえ、僕の事ですから。ははは!」
―2016年5月―
その後、しゅんちゃんが亡くなってから2か月経つ。
私が持って行ったLINEメッセージのコピーをしゅんちゃんのお母さんが、泣きながら何度も何度も繰り返し読んでくれているらしく、「しゅんちゃんと友達でいてくれてありがとう」と、しゅんちゃんのお母さんから電話もあった。
どんなに時間が経っても、悲しみが減る事は、ないだろう。
ただ、こうやって悲しんでいる間に私がいつ死ぬとも限らない。
しゅんちゃんが若くして突然亡くなったように。
本当に、落ち込んだり悲しんでいる暇はないのだ。
そうだ!
お遍路をした時も、考えている間に日も刻々と暮れ、前に進まなければいけない事も沢山あった。
待ってくれ!と何度も太陽に叫んでみても、太陽が待ってくれる事などなかったのだ。
悲しみに暮れている時間があるなら、しゅんちゃん達と家族のように過ごした楽しい時間が沢山あった方がいいだろう。
仮に次の瞬間この私が亡くなるとしても、明日には同じように太陽は昇って来る。
しゅんちゃんが亡くなっても、今日この日まで何も変わらず、毎日太陽が昇って来ているように。
そうなのだ。
この宇宙は、私の存在がどうであれ、私の感情や意識など無関係で、まるで私の感情や思考も含めた存在自体、幻だとでも言わんばかりだ。
じゃあ、せめて、この世で自分の意識がある限り、自分自身、やろうと思っている事は、今すぐに、精一杯やろう。
ふと、しゅんちゃんの声が天から聞こえる。
「Noisy!お遍路の話をずっと書くって言ってるけど、いつ書くの?もう、13年経ったよ。書くんなら今じゃない?」
私は、すぐさまパソコンの前に座ると、とりつかれたように連続3周自転車野宿遍路の話を書き始める。
そして、まえがきに戻る。
連続3周自転車野宿遍路 完
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