トラワレの今・5 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「今ね、手を離したよ」

「うん、ちゃんと背中で感じたよ」



たったこれだけのことがなんですぐに出来ないの?って、自分でも呆れるけど

大野さんは、俺に合わせて待っててくれる


そういう些細なことが嬉しくて、身体と身体に隙間を作る勇気をくれる



「次は…腕を離します」

「うん」



少しずつ腕の力を抜いていくと、大野さんの腕からも少しずつ力が抜けていく




「…智」



胸に押し付けていた顔を離した



「ニノ、大丈夫?」



すぐに抱きつきたくなったけど、大野さんが何かを言いいたそうにしてるから、必死に我慢する



「うん、ちゃんと聞ける…なに?」

「やっとここに来れた…


ニノが待っててくれたから、俺は頑張れた


待っててくれてありがとう


いっぱい待たせてごめんね」



待ってるのは当たり前なんだから、ごめんなんて要らないのに…




「ただいま、ニノ」




優しい顔で言ってくれるだろうなって思ってたけど

それは想像よりも何十倍も優しい顔で


また胸がぎゅーーっと苦しくなる



「ただいま…ただいま、ニノ」

「おかっ…おっ…うぅっ…」

「…聞きたい、言われたいな」



俺も早く言いたいんだけど

目眩がするくらい苦しくて、言葉が上手く出てこない



「一回ゆっくり息しよう?


吸って~、吐いて~」

「すー…はぁー…」



大野さんの呼吸に合わせて息をすると、少しだけ楽になった



「大丈夫?言える?」



大丈夫、言える

俺もちゃんと言いたいから



「ただいま、ニノ」

「…おかえりなさい

大野さんっ おかえりなさいっ

待ってた…俺、待ってた!ずっと…待ってたよっ!大野さんがかえっでぐるの゙ばっでだぼっ」



途中まではなんとかクリアに言えたんだけど

最後のほうは涙がドバーッと出てきてもう限界だった



「ありがとう…待っててくれてありがとう…ニノ」

「ぶえーーん…ふぇーーん…」



大野さんは約束通りすぐに抱きしめてくれて、俺はまた盛大に泣いていた






「少し眠る?」

「んーん、大丈夫…」



このまま化石になっちゃうかもってくらい抱きしめてもらって、ようやく俺の涙が落ち着いた



泣きすぎて頭がぼんやりしてて、すぐにでも寝てしまいそうだったけど

目が覚めたら大野さんは消えてるんじゃないかって、少しだけ怖かった



「ニノが起きるまでずっと側に居るから、寝ても平気だよ?」



俺の考えていることなんか全部お見通しの大野さんは


少しも離れないように俺をベッドまで運んで、少しも離れないように一緒に横になってくれた




「コート脱がなきゃ…スーツも…皺になっちゃう…」

「そんなのいいよ」

「でも…」



俺のはどんなにクシャクシャになってもいいけど、大野さんのはそれじゃ困る



「少しくらい離してももう泣いたりしないから、だから…」



背中に回していた腕を解こうとしたら、グッと引き寄せられた



「やだ」

「…大野さん?」

「離さない」

「コートとスーツ、脱ぐだけだよ?」

「嫌だ、離したくない」



息が苦しくなるくらい強く抱きしめてくれて嬉しいけど

大野さんが、少し…震えてる?




「そうですね、俺もこのままがいいです

皺の一つや二つ、どうってことないですもん」

「…もう離さないから」

「はい、離さないでください」



先に思いきり泣かせてもらったから、次は大野さんの番



「離れませんから、俺はずっとこの腕の中に居ますから」

「…うん、ありがと…」



身体の震えが止まるまで、今度は俺が力いっぱい抱きしめた

















つづく