束の間の幸せ… | 学校なんていらない~不登校小学生ちゃりこの父娘自転車旅行記

学校なんていらない~不登校小学生ちゃりこの父娘自転車旅行記

いじめにあって不登校になり、父とホームスクーリングですごした女の子、ちゃりこが日本各地を自転車で旅をして、たくさんの人たちとふれあい、成長していった記録。腐りきった学校、卑怯な教師、そんなものは捨て去ってもいい。人の優しさ、親切、は学校の外側に必ずある。

今日は、いいお天気の一日だった。
ちゃりこも私も、すっかり寝坊ぐせがついてしまっている。
遅く起きてから、私は、食材の買い物へ。
帰ってくると、ようやくちゃりこが起きていて、朝ごはんを用意した。

午後は、お昼ごはんを食べてから、ちゃりこと私は自転車に乗って出かけた。
二十分ほど走って、おはじみの目白庭園へ。
今の時季は、梅がまだ咲いている。
その他に、今まで観たことのなかった、寒アヤメが咲いていた。
淡い紫色の花が、ひっそりと二つ開いていた。
係の人に訊ねてみると、昨年から咲き始めたらしい。
こんな時季にアヤメを観ることができるとは思ってもみなかった。
梅の木には、メジロがたくさんやってきて、花びらをつついては蜜を吸っていた。
「メジロって、他の木にとまっているのは観ないし、梅の花が散ったあとは見かけなくなるけど、一年しか生きられないの?」
と私が的はずれらしいことを訊くと、ちゃりこが、
「他の季節でも、くだものを刺したりして置いておくと、つつきにくるみたいだよ」
と教えてくれた。
「へえ、ちゃりこは、ちっちゃい頃からたくさん図鑑なんかを読んでいたから、生き物のことをいろんなこと、知ってるよなあ」
と言うと、ちゃりこ、呆れたように、
「図鑑でも知っていたけど、おとうさん、清水坂公園の福寿草のガイドさんが話してくれたこと、あったじゃない? おとうさんも一緒に聞いていたんだよ」
と…
吸収する力が違うんだろうなあ…

ちゃりこと私が、シートを広げて寝転がって、梅の香りに包まれながら話していると、結婚披露宴を終えたらしき和装の新郎新婦がやってきて、カメラマンに撮影をしてもらっていた。
「ちゃりこが結婚したら、おとうさんはどうなっちゃうのかなあ…」
と言ってみた。
ちゃりこ、十歳くらいまでなら、悲しそうな顔をして、
「おとうさんとするの~」
なんて言ってくれていたんだけれど、もちろん、今はそんなことを言うはずもなくて、
「私みたいに協調性のない人間は結婚なんてできないよ」
と答えた。
前の日の夜にも話したのだけれど、卒業を控えての学校に対する更なる疑問や不信、大学に対してもあまり肯定的な思いは持っていないこと…等々を話して、帰ってきた。
ポカポカ陽気の、梅の香りに包まれた、草の上に寝転がっての会話にしては、ふさわしくない、ネガティブな内容になってしまったけれど、こんな話でものんびりとできるのは、それはそれでありがたいことなのかもしれない…

夕ごはんは、受験も終わったので、久しぶりに、ちゃりこと二人で餃子作り。
パリッと仕上がって、満足…

束の間の幸せ、なんだろうなあ…