猫木の思いつきと勢いのみで突っ走る、そんな「十二/国記」なパロディパラレルの妄想駄文
の続きなものらしいっすよ。
(・Д・)ノ


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その生涯に2度だけ人語で鳴く白雉と呼ばれる鳥。
その初めの一声は王の即位を、終いの二声で王の崩御を告げるべく白雉は鳴く。



白雉、一声を発す。
その報らせは早馬に乗り国の隅々へと伝えられた。
長きに渡る王の不在、緩やかに確実に荒んでいた蓮国に新たなる新王の登極の報らせを受け、民は声を上げ歌を歌い世が更けるまで喜びに浮かれた。
勿論、皆理解している。新王が立ったとて直ぐ様に荒野に緑と実りが実るでも、妖魔の襲来が消えて無くなる訳でもない事など。
けれど、玉座に女王が在る、ただそれだけで……少なくとも今この時より悪くなる事はない。
きっと、今日より明日、明日より先は今この時よりも国は安定するのだと信じることが出来る筈なのだと。
それは、蓮国の民が待ち望んだ希望の報らせであった。
祝事に国中がはしゃいだような空気の中、どこか少しだけ、そんな祭に浮かれた中にも異色な戸惑いを漂わせていた郷があった。他でもなく、新王となったキョーコのいた郷である。
街を上げての祝事、辻々には里祠や郷府から給われた振舞い、更には松乃園がその財を持って人に粥や肉と酒を子らには飴なとが贅沢に振舞われていた。
だが、その松乃園で麒麟と新王の誓約を直に目撃した者たち、彼らは口をそろえるように言うたのだ。
「この国は大丈夫。本当にそれはもう大丈夫だよ………」
祭に浮かされたのとはまた違った、確固たる確信を秘めた声で、何処か目線を逃すように天へと彷徨わせながら。
そうあの時、松乃園の庭園へと降り立った麒麟を追って来たその者たちは見たのだ。
蓮麒と新王の誓約と……その後のちょっとした出来事を。




「キョーコ、お前は……俺のもんだろうがっ!!」
張り上げられた怒声。
それは、キョーコが蓮麒へと赦しを発してより暫く後、即位式と発令は未だではあるが麒麟との誓約によりキョーコはすでにその身を仙へと変え王であると言えた。そのキョーコの身をこの郷から雲海の上、王の住まうべきへと宮城へ移したいと蓮麒は告げた。
元来の礼儀正しさ故、長年親代りに育ててくれて尚の両親へと挨拶を述べ街の人々へと別れを述べていたキョーコ。
そこへ……キョーコを好きに扱えるのは自分の権利であると疑いもしていなかった尚が、玩具を取り上げられた子供が癇癪を起こしたようにそう声を荒げたのだ。
キョーコを自分の下に置き、自分をずっとこれからも肯定しその総てを自分に尽くすのが当たり前だと、当然の様に思っていた尚。キョーコがこの国の誰よりと尊く遥か遠くの存在になると言う事を受け入れることなど、自尊心の塊のような尚には認められず、父親の抑えを振り切るようにキョーコの腕を乱雑に掴み取ろうと怒りのままに手を伸ばした、その時。
キョーコとその隣に立つ蓮麒、その間に立ち塞がるように蓮麒の影より出たものがあった。
赤褐色の眼をした白色の毛に灰で縞に模様の入った虎の身体に長い尾の翼を持つ大きな獣、麒麟の指令である妖魔。
尚へと剥く鋭い牙と爪………そして、そんな何よりも尚の足を竦ませたものがあった。
尚へと向けられた蓮麒の瞳、それは決して慈愛の神獣などとは信じられぬような鋭い眼差し。



「主上……あの痴れ者が申す事はまことでしょうか?」



ひんやりと暗く地を這うような低い声。
隣立つ蓮麒にふるふるとまるで追い詰められた小動物の如くに怯えながらも器用にも尚へは恨み怨みをドロドロニョロニョロと発していたキョーコ、はっと気付いたように怒りを飲み込み答える。
「いいえ。私は私のもの。空っぽだった私から、この国の玉座に……何より私を半身と呼んでくれた貴方に少しでも相応しく在る為に、新しく私を作るの。」
未だ離されていなかった麒麟の手を握り、キョーコは過去の求め足掻いていた自分と向き合うようにまっすぐに告げる。
その誰よりもよく知っていた筈なのに見たことのないキョーコの瞳に、身体の一部を切り離されれたような衝撃を覚えた尚は呆然とただ立ち尽くす。
そうして、新王となったキョーコと蓮麒は暁天へと登り去っていったのだった。




その場に……より一層に近くにいた者がぼそりと零す。
「俺、聞いちゃったんだよ。……キョーコちゃんが松太郎のもんじゃないって否定したのを聞いた麒麟が……………」
麒麟は零したのだと、ぼそりと尚へと気が逸れていたキョーコには気付かぬほどに微かに小さく



「それは良かった、そうでなくば、血を見ずに済む様に多少………手間がかかる所でしたから」



と、そう呟く慈愛の神獣である筈の麒麟がキョーコを見る、その眼にあった恐ろしほどの執着。
それを思い出した彼は思わずにぶるりと身を震わせ、天へと目を遣りながら言うた。




「この国は大丈夫だよ………だって、あの半神半獣が全力でその至宝を逃さずに護ってくだろうからさ……」





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タイトル回収もしたし、お終いっぽい感じではありんすけんども………書きたかったのは半分くらいしか消化出来てなかったりしたりしとりますのよ。
やさぐれ松くんとか、キョコさんの寝所で開きなおる裏麒麟さん的なのとか………別にいらないかな?
ここで終わるか続けるか、どしよっかな……
( ̄ー ̄)



どーでも良さげな、出せずに終わったプチ設定。

蓮麒さんはブチ切れると敬語。

蓮麒さんの出した虎さんな指令さんの名前は嘉月。
獣型の自分に乗っけるよりも二人乗りがしたかったらしい蓮麒さん。嘉月にキョコさんと乗っかって飛んで城に帰るんだけど、その道中にもっふもふの毛並みを撫で撫でしたいとキョコさんに言われて、撫でられて喉を鳴らす嘉月にジェラシーな感じで不機嫌になったりしたりするらしいよ。笑



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

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