猫木が思いつきのまま勢いで突っ走っております「十二/国記」のパロディな妄想駄文
の続きなものとなってたりするみたいだーよ。
(・Д・)ノ



✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄





唐突に舞い降りた優美な獣にその場の誰もが息を飲み言葉をなくし、ただ目を奪われていた。
緊迫した空気の中、追って来た街びとや宿に宿泊していた者たちなどからの視線を一身に浴びた獣は、まるでそんなものは意にも介さずにふるりとその鬣を振るうようにすると、見る間にその姿を転変させた。
空間が歪むような霞むような一瞬の瞬きの間を置いて、獣がいた場所に立っていたのは、ひとりの男。
見上げるほどの長身と飾りは少なくとも一見してわかる上質な袍の上からでも見て取れる鍛えられたしなやかな身体。
何よりも、その流れる髪は先ほどの獣の鬣と同じ見事な金色に輝いていた。


誰もが幼い頃から遠い空の上の物語として語られて教えられた尊き聖獣。
仁にして争いを厭い妖魔を降し使役し、王以外に膝を折らず、その身位は王の隣、宰輔の位に据えらている。
普段目にする事のないその金の色の髪が示す者、神の天意を告げ国に王を選ぶ獣、その名を麒麟と言う。




遠巻きにしていた者たちが次々に膝をつき首を下げ服礼してゆく。
じっと自分を見下ろす翠の瞳、夕陽が射しその時にだけ赤茶に色を変えるその瞳の不思議な色に魅入られたように視線を絡め取られていたキョーコも、はっと気付いたように慌てて膝を折ろうとするが
「必要ありません。」
柔らかな低音とすぅと伸ばされた大きな手に掬い取られるようにして止められた。
えっ……?と、驚き固まるキョーコ。そんなキョーコの頬を両手でそっと挟むように上向けて、その茶の瞳を覗き込む麒麟。
「貴女は、私に礼を取る必要はありません。」
キョーコにそう繰り返し言い聞かせる形の良い唇。
麒麟を前に膝をつく必要のない者
「王気を感じて参りました。やっと……やっと見つけた、わたしの主上」
それ、崑崙山の神々を除き麒麟の主たる王、ただひとり。
ふわりと神々しくも蕩けるよう主に逢えた喜びに身を震わせたこの国の麒麟、蓮麒は笑み零していた。



ざわめきに満ちる群衆から取り残されたように
「……お、王気?」
パチパチと瞬きを繰り返す、まだ理解の追付かぬままのキョーコが問う。
にこりと笑った蓮麒がすっとその手のひらにキョーコの後頭部あたりから捕らえて見せた、黒色の小さなキョーコのようなもの
「はい。実に……愛らしい」
うっとりとそう零す蓮麒。
キョーコはかぁっと頬が焼けるような熱と、同時に何故か……蓮麒の手の上、そのまま頬ずりでもせんがはがりにされている怯えたような小さな自分を見て飢えた獣に爪でも掛けられたようなぞわりとした悪い震えが背中を走るのを感じていた。
ワタワタと本体に逃げ戻ろうとするにょろりとした小さな黒いキョーコと知らず知らずに後ずさるキョーコの足。それを無駄にするようにキョーコの腰を捕まえる蓮麒の手。
「さぁ、誓約を……主命に叛かず、貴女のそばを離れず、ただ御身を護り愛すことをお誓い致すことの赦しを……」
歌うよう甘く紡がれる誓約、其れを赦すこと即ち、キョーコを唯一の主としその身を不老不死の仙へと変える誓い。
いつの間にか絡め取られていたキョーコの手。その指先に唇を寄せる蓮麒。
キョーコを見つめる翠の瞳に秘められた熱。
ふるりと震えるキョーコの唇が開く、その前に



「………キョーコが王なワケあるかっ!!」




叫ぶその男の声に、麒麟の瞳は不快そうに眇められた。





✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄




あいや?前後編で終わる予定だったのに。
(´Д` )
んで、当初の目的な明るくコメディーも行方不明で、蓮キョコさんも、君ら誰だね?って感じがひしひしとしておりますが…………大丈夫っすかねぃ?
よかったらもうちょいとお付き合いくださいまし。
(;´▽`A``


あ、原作じゃ麒麟は獣型から人型に転変するとお洋服なしな全裸さんになっちゃうんだけど、流石に全裸久遠さんはちょっと……笑


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


web拍手 by FC2