猫木が思い付きと勢いだけで突っ走る、そんな「十二/国記」なパロディパラレルな妄想駄文
の続きなものにてございまする。
(・Д・)ノ



✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄





じゃり……と、小さく後ずさりキョーコの鞜が土を踏んだ音と手の中から引こうとされていくキョーコの指さきの感覚に蓮麒は伏していた額をあげた。
「め…です、わたし…わたし……んて、できませ……」
ふるふると左右へと振りながら喉から絞り出すような微かな声を零すキョーコ。



顔も見えぬ程に深く俯き小さく肩を縮ませ身を震わせている、そんなキョーコの様子に
「ほらな、キョーコなんかが……」
と、我が意を得たりとばかりにさらなる暴言と嘲笑に唇を歪ませた尚が蓮麒の手からキョーコを奪い返そうと竦ませていた足を踏み出そうとし、蓮麒の影がゆらりと滲み出した、その時。
ベシッと勢い良く尚の横っ面に当たり足元に落ちた鞜。
自慢の顔に鞜を投げ付けられた尚が投げられた方向へとキッときつい視線を向けたそこに見たのは、今までに見たこともない程に怒りの表情を浮かべた自分の母親の姿。
「キョーコちゃんになんて事言いはるか、このアホウは……」
その硬く叱責する言葉に、驚きを覚えた尚の後ろ頭を掴むように地面へと押さえつける腕。
「っ!……なにしやがるっ!!キョーコが母親に捨てられたのなんて本当のことじゃねぇか!!」
「黙っとれ、この馬鹿息子が!」
頬に小石がぶつかる痛みと怒りに顔を歪め、その手から逃れようと暴ばれる尚を押さえつけて怒鳴る父親の声。
宿の顔として母や裏方の父に日々ずっと付いて回り手伝い働いていたキョーコ。そのキョーコへと躾けと教えをしてい両親、特に母の厳しい態度。それを横目に見ながら、キョーコに雑事を押し付け、表面を繕いながら遊び歩いていた尚。
裕福な老舗旅籠の後継のひとり息子、そんな自分に忙しく働くばかりだと思っていた両親から向けられたことのなかったはっきりとした痛罵。
自分が世界の中心であるかのように、キョーコよりも自分が優遇される事に微塵の迷いさえなく当たり前だと思っていた尚は、今の自分へと向けらる両親の怒りに衝撃を隠せずにいた。
そんな尚を置き去りに捨て置いたままで
「キョーコちゃん、ごめんな。堪忍やで……うちがキョーコちゃんに言えないままでおったばっかりに……キョーコちゃんのお母さんはキョーコちゃんを捨てたわけじゃないんよ。冴菜ちゃん、キョーコちゃんの親だけあって頭も良くてな………」
尚の母はキョーコへと語る。
キョーコの母、冴菜は庠学へと進学し上士に選出され官吏試験を受け郷吏となった。
折しも先代の王の浪費で統治が乱れ出れ切り、重い税に疲弊した民と腐敗した政の時代。
特に中央の目も届かぬ地方の事、好き放題に税を集め軍を手懐け、政治を欲しいままにしていた太守の不正に言を述べ正そうとしていた冴菜。
もちろん一官吏の身でそんな事をすれば官位の剥奪どころか口封じにと命の危険さえあり、キョーコの為にも辞めろと止める尚の両親に、だからこそキョーコを頼むと……キョーコの為にも誰かが声を上げ行動せねばいけない、その為に自分は官吏になったのだからと……そう言って、キョーコを頼むと託して行った。
「自分が帰って来れないかもしれないって解ってたから………わざとキョーコちゃんに辛くあたって行ってな……」
結局、太守の政は正されぬまま……キョーコを迎えに来る事もない冴菜。
自分が帰らなければ死んだと思えとそう残した冴菜。その事を口にして冴菜の死を認めてしまうのが辛くて……今の今までに口に出せずにいたけど、まさかそんなキョーコを見て一緒に育った尚がキョーコを支えるどころか暴言を吐き良いように働かせるばかりだったなんてと、尚の母は涙声で謝る。



記憶にあるのは眉間に皺を刻みキョーコを厭うように見ていた母親、そんなはじめて聞く自分の母の事実を茫然と聞いていたキョーコ。
「キョーコちゃんは冴菜ちゃんの娘で、うちがずっと育てた子や。だから………」
尚の母のキョーコの背を押すような説得の響きを含む声。
けれど、うろっと不安げに泳ぐキョーコの視線と震えたままの指さき。
そんなキョーコの手をずっと離さずに握っていた蓮麒、見上げるようにただキョーコの瞳を見つめて問うた。



「……恐ろしいのですか?」



その低い声の問いに、暫し困惑したように震え……やがてコクリとひとつ頷いて答えたのだった。





✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄
 


なんだか説明ばっかで、あんまり話が進みませんでしたとさ。
(´Д` )



さーて、次は蓮麒さんによるキョコさんの王様勧誘説得言いくるめのターン☆の、予定です。
( ´ ▽ ` )ノ



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


web拍手 by FC2