猫木の思い付きと勢いで突っ走っております「十二/国記」のパロディパラレルな妄想駄文
の続きなものとなってるみたいですよ。


うぉぉぉーい?
なーに、さらっとこっそりと姑息にも、前編と中編の文字を訂正改編して「壱」とか「弐」とか「参」なんて付けてんじゃねーよ!?
とのお声が聞こえて来そうな気がしております、猫木です。
はい。案の定、前中後編で纏めれませんでしたとさー。
ごめんなさーい!
。(´д`lll) 




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「そうだ!キョーコなんかが王だなんて、間違いに決まってるっ!!」



響く尚の怒鳴る声にビクリと反応するキョーコの肩。その薄い肩にそっと手を置いた蓮麒、ゆっくりと振り返るようにその顔を尚へと向ける。
黄海から産まれ、荒廃と共にひとを襲う妖魔ですら降し使役させる翠の瞳。その瞳が投げるような冷たい視線に尚の足が竦む。
「何を持って………この方が王の資質では可笑しいと?」
静かに問う低い声。
蓮麒を取り巻く静かに苛立った空気にキョーコは自分の頭頂部あたりからにょろにょろと楽しげに嬉しげに擦り寄ろうとする黒い小さな自分を咄嗟に繫ぎとめていた。
一方、尚は蓮麒その声と視線に含まれた怒気にヒヤリと背筋が冷えるような感覚を覚え視線を逸らすが、街一の大きな旅籠の後継とその整った容姿で主に女から常にちやほやと甘やかされ、不遜な負けん気と自信を持ち育った尚はグッと足を踏みしめるように耐えてなお続ける。
「キョーコだぜ?よく見ろよ!そんな色気もないつまんねぇ女、王様になんて相応しい訳あるか!!」
駄々をこねる幼子のような、まるで自分にその正当性を言い聞かせるようなキョーコを貶めけなす尚の吐き捨てる言葉。
「主上……あの者は余程に目が悪いので?」
呆れたように尚から視線を外した蓮麒が硬直するキョーコへと問うと、キョーコの答えも待たずに告げる。キョーコへと迷いの欠片もない真剣な目眼差しを注ぎながら。
「私には主上は誰よりも、この上なく愛らしく綺麗に見えますよ。」
閉じ込めて誰の目にも触れさせたたくないほどだ……蓮麒の口から零れた小さく小さく続くどこか恐ろしい様な言葉は、幸いかな、誰の耳にも届かないでいた。
あっさりと自分を無視して躱すようなその蓮麒の様子と、まるで口説くような慣れぬ褒め言葉に頬を染めおどおどと戸惑うキョーコにますますと癇癪を起こした尚は怒鳴る。
「目が悪いのはお前の方だろ!?よく見ろよ、キョーコなんてそこらに掃いて捨てるほどいる地味女が女王!?そいつはな、俺のためってヘラヘラして朝から晩まで働くのがお似合いなんだよ!なんせ………自分の母親にだって捨てられたようなやつなんだからなっ!!」
激昂のままに尚の口から出たあまりの暴言。幼い頃から母に縋っては泣いているキョーコの姿を見て知ってはいた尚、はっと顔色を変えるが……多少気まずさを飲み込んだ様ではいても、次の言葉を出せずに黙り込んだままでいた。
幼馴染とも許嫁とも言える尚から投げ付けられた言葉にキョーコは表情をなくし凍り付いていく。
キョーコの脳裏に過るのは自分を忌々しげに一瞥し伸ばした手を払いのけ背を向ける母の後ろ姿。
ぎゅうっと強く握り締められる。
その手がふわっとあたたかなぬくもりで包まれた。
「この手は……何かを掴もうと必死に足掻いた手だ。」
付していたキョーコを覗き込む深い翠の瞳。
手のひらに爪が食い込む程に強く握られた震える指を溶かすように、優しくゆっくりと解く大きな手。
母に置いて行かれたキョーコが必死になって熟してきた宿の水仕事から料理に至るまでの様々な雑事。
それに加え、年を重ねる程に尚が当然のようにキョーコに押し付けるようになっていった小学の手習いから公田の管理などのな面倒ごと、尚の遊ぶ金の無心に応えるために寝る間を削っての針仕事などで、キョーコの細い指は少女の手とは思えぬ細かな傷痕が付き硬くカサつき、爪は割れ色を変え所によればヒビさえ走っていた。
「私にはこの手は美しく、至高の宝のように思えます。」
自分の手を取った蓮麒。
ゆっくりと両膝を折り地に膝をつけ、捕まえた蓮麒はキョーコへとふわりと神々しくも微笑みかけ、麒麟の額、転変すれば麒麟の力の源たる一角の生える場所へとその両の手の指を付し賜るようにそっと触れさせた。




「何よりも、主上……貴女は私に必要なのです。」



さらりと風にその金の髪を遊ばせて額を預ける膝をつく麒麟と粗末な袍を着た痩身の少女。
まるで絵のようなその光景にただ息を飲み黙り込む観衆。




針を落とす音さえ聞こえそうな程の、張り詰めた一拍の空白の間を置いて。
キョーコの頭は俯き、ふるふると小さく………でも、確かに左右へと、否定を示し振るわれたのだった。





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んー、松くんが普通に酷いね……
べっこりさせようか?
(=◇=;∑ヾ( ̄0 ̄;ノ


しっかし、猫木は相変わらずに計画性がない。
行き当たりバッタリ勢いのみで書き散らかしてしまっておりますのよ。
5……5話辺りまでで終わらせる予定ですから、ゆ……許しておくんなんし?
(´Д` )



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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