こんな長くなるつもりじゃなかったのになぁ………


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なにがどうしていきなりこんなことに?
ここから逃げだしてしまいたい。
だけど、私の手を捕まえているひと。
そのひとは言う、言葉にしろと………
なんだって言える。
それが役と台本に乗った台詞なら
でも、目の前の吸い込まれそうに深い黒い瞳が騙せるとは思えない。
ふるふると首を左右に振る。
「っ……ふぅ…ぅぅ」
何か言わないといけないと思うのに、喉が詰まったみたいに言葉にならない。


「ごめんね……今の関係を心地良いと思ってくれているのは嬉しい。でも、俺も君もこのままじゃ前に進めない。」


嫌だ………この低い声を聞いていたくない。ぎゅぅと瞼を瞑る、頬が濡れるのも嫌で嫌でしょうがない。


「だから、もう諦めて俺に捕まって?大丈夫、お付き合いして欲しいんじゃないから。一生離さないって契約をしよう?」


恐ろしく甘い声が持ちかけるどこがズレたような契約。
無理矢理に息を吸い込むと、ぐじゅっと鼻が鳴る。
「……な、んで?」
「ん?だって、告白して付き合ったとしても、最上さん『いつか捨てられる』とか思ってそうで嫌なんだ。いつでも痕跡さえなく消える準備してそうな所が許せない。………だから、取り返しがつかないように法的に契約して繋いでしまおうって決めたんだ。」
にっこりと笑う敦賀さん。
決定事項のように当たり前に宣言されて、思わずパシパシと瞬きを繰り返す。
「そのために今までずっと、何にも言わないままで………でも、じわじわとラブミー部への依頼とかスタンプとかを挟まなくして、ちょっとづつ距離を縮めてスキンシップにだって慣らして行ってたんだからね?」
ふわっと抱きしめてくる腕といい香りのするあたたかな胸。
「これだけ近付かせてくれるのは俺が先輩だからだけじゃないって、そう思うのは俺の思い込み?………こうやって触れさせてくれるようになってから、どれだけ俺が理性と戦って来たか……」
はぁぁって頭の上でため息を吐き出されるが、なんのことだかよくわからない。
ぎゅっと抱き込まれる敦賀セラピーな腕の中。


「俺はね?最上キョーコが存在意義だと思うほど君に依存していて恐ろしいほどに執着してるから、最上さんが俺の手を一度でも取ったなら離さないって誓えるよ。」


こつっと額を合わせて覗き込む黒い瞳。
浄化してしまいそうな神々スマイル。


「だから、結婚しよう?」


まるで最後通告のような低い声。



「……後戻り、ききませんよ?……私…執念深いんですから。」


ぼそりと吐き出せば、にいっと唇に乗った笑みが深くなるのが見えた。



「望むところだね。それにね?俺の方がずっとタチが悪いってきっとすぐにわかるよ?」



気の変わる前に、さぁさぁと急かすようにサインさせられた書類。
その私のサインのすぐ側に書かれた夫となるひとの名前に、私が驚いて泣いてゴロゴロと悶えて怒って………
「後戻りも取り返しもつかないよ?」
なんて笑いながらウキウキと私の手の届かなそうな高さの飾り棚の中へとしまい込むひとに



なんだか騙されたような気持ちになってしまった。




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やっぱり詐欺師。
(´Д` )


裏テーマ
「愛してるとか言わないプロポーズ」
そんな感じ。


きっと、この蓮さんは鼻先に人参がぶら下がってるから予定より恐ろしいはやさでアメリカから戻ってくると思うの。
( ´ ▽ ` )ノ



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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