第二百五十九話 <童話風>うみべの まちの ほんやさん | ねこバナ。

第二百五十九話 <童話風>うみべの まちの ほんやさん

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あたしは みつけた ほんやさん
うみべの まちの ほんやさん
ふるくて くらくて きたなくて
みんなは いやだと いうけれど
あたしは だいすき ほんやさん
うみべの まちの ほんやさん

ほそい ろじうら そのかげに
ちいさい おみせが ぽつねんと
よごれた がらすの とびらには
ねこばな しょてんと かいてある

ほんやの おくでは おじさんが
おひげを はやした おじさんが
まあるい めがねを ひからせて
むっつり ほんを よんでいる

おおきな つくえの そのよこに
いつも おおきな ねこがいる
ふわふわ けがわの ぶちねこは
おきもの みたいに すわってる

おみせの なかには ふるいほん
ずらりと ならんで いるけれど
あのほん そのほん どこにある
わたしは さっぱり わからない

おじさん わらって いいました
それはね だれにも わからない
わたしの あたまの なかにある
もくろく みなきゃ わからない

えほんに ぶんこに だいずかん
とおくの くにの ふるいほん
いろいろ めくって よんでみる
ふしぎな においに つつまれる

さしえが とつぜん おどりだす
もじから けしきが みえてくる
ほんの なかから たくさんの
せかいが あふれて とびだすの

ねえねえ おじさん これ いくら
ちいさな こねこの えほんなの
あたしは とっても ほしいけど
ねだんが かいて ないみたい

おじさん ふうむと よこをみて
なあなあ おまえは どうおもう
ぶちねこ にゃあと ひとさけび
そうかい それじゃ ひゃくえんだ

ねこが ねだんを きめてるの
なんだか おかしな ほんやさん
そうかい そうだね おかしいね
おじさん わらって いいました

おじさん あしたも またくるね
はいはい いつでも いらっしゃい
ぶちねこ なあおと ごあいさつ
あたしは えほんを だきしめた

あしたも きたいな ほんやさん
ふるくて くらくて きたなくて
ふしぎな においに つつまれる
ねこが たたずむ ほんやさん

うみべの まちの ほんやさん



おしまい



※ 第百三十三話 猫花書店 稀覯本の巻 もどうぞ



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