『宗像教授異考録 第八集』
三作品が収録されている。
■第1話 「廃線」
日本の地方の衰退という社会問題とその地への郷愁を描いた小品。
わずか24ページの漫画だが良くできている。
■第2話 「九呂古志家の崩壊」
縄文時代以前から続くとされる新潟県の旧家、九呂古志(くろこし)家。
この家に伝わる“黒入道”の因縁を宗像教授が暴く。
新潟県を中心とする日本海側ではつい最近まで石油が産出された。日本書紀が書かれた頃から、この地方では石油が採れた事が判っている。こうした事実に、歴史・民俗学を絡めて創作されたストーリー。ラストのオチには古生物学まで絡んでいる。博学な星野さんならではの物語だナと思う。
■第3話 「失われた島」
大分県の別府湾にかつて存在したといわれる瓜生島。この島は1596年の地震・津波によって沈んだ、とルイス・フロイスがローマに報告している。
あたかもありそうな歴史的な地質変動に、大法螺(?)をミックスして捏ね上げたプチ・サスペンス作品。
地質学・地球物理学と民俗学・考古学・歴史学の垣根を宗像教授(=作者:星野氏)の想像が強引に飛び越える。
【 星野 之宣 作品 関連記事 】
■ 宗像教授異考録 第四集
■ 宗像教授異考録 第三集
■ 宗像教授異考録 第二集
■ 宗像教授異考録 第一集
■ 宗像教授伝奇考
■ 巨人達の伝説